ゲートオープン
リヴァアを仲間にした俺は、イカルゴクラーケンの素材を渡すためにとりあえず、アリシャの鍛冶屋に向かった。
「……」
アリシャの鍛冶屋に着くと、アリシャが睨んでいた。……どうした?
「用件はわかるからいい」
じゃあ何だ?
「イカルゴクラーケンの討伐、もう総合掲示板に出てるから」
マジか。早いな。
「んで? 何で俺は睨まれてんの?」
素材はちゃんとゲットしたぞ?
「はぁ。エリアボスを一人で、しかも二体倒したとなれば、かなり有名になる。ついでに、エリアボス限定装備のスキルも手に入る。ジャイアントゴーレムの……」
「『巨石像の加護』な」
守備系が上がるスキル。
「それとイカルゴクラーケンのスキルも。これはバランスが悪い。だから、トップギルドに睨まれる」
それはちょっと嫌だな。まあ、自分達でクリアしようと思ってたのを横取りされる訳だし、仕方ないか。
「まあ、別にいいだろ。もうしばらくはアリシャに素材を渡すし」
「……ん。ならいい」
おいおい。稼げばいいってか。職人だな。
「じゃあ、とりあえずイカルゴクラーケンを倒して手に入った素材を出すか」
俺はアイテムウインドウからイカルゴクラーケンの素材を出す。
「ん。鍵と特殊素材以外は買い取っていい?」
ああ。南の森攻略に必要らしいからな。
「鍵はどこのだ? っと……」
ふむ。グラインド港への鍵、か。
「港町っぽいな。丁度いい」
リヴァアも参加出来るし、魔法使いでもいけそうだ。
「それで、だ。もう一つあるんだが」
「何?」
「イベントクエストって何だ?」
「レアアイテムが報酬のクエスト。エリアボスを五回以内の攻撃で倒すとかで発生する……」
言ってから、考えるようにする。
「まさか……」
思い至ったようで、目を見開いて俺を見る。
「やっちゃった」
笑って言うことにした。
「……チート」
チートじゃないし。実力だし。
「そんなこと言うんだったら報酬見せてやんねえぞ?」
意地悪く笑って言う。
「……ごめんなさい」
即謝った。そんなに見たいのか。
「じゃあ、これがそうだ」
海賊の財宝と深海の剣を出す。
「深海の秘宝の一つ……凄い」
知ってるんだな。
「これの改造を頼みたいんだが、出来るか?」
「……いい、けど。財宝で出来る」
財宝を使えるのか。
「じゃあ、それで頼む」
「うん。『武器加工』、深海の剣」
今度は加工か。
「……出来た。長剣、オーシャンブレード」
おぉ。青く輝く長剣だ。
「ウイングブレードより強力。アヴァロンソードといい勝負」
さすが秘宝。アヴァロンソードといい勝負とか、強いな。
「次はイカルゴクラーケンの特殊防具。『防具生成』、海王烏賊の指輪」
海王烏賊なのか、あいつ。リヴァイアサンと張り合える気がしない。まあ、リヴァイアサンが大人だったらな。
「ん、出来た。海王烏賊の指輪。お代は前言った通りいらない」
「サンキュ」
受け取って、早速装備する。……ん?
「『テイム』と『ライド』が増えてる。あと、スキル融合が出来るらしい」
リヴァアをテイムしたからと、リヴァアに乗ったからだろうか。スキル融合って何だ?
「スキル融合は、上限に達したスキルを一つにまとめること。アビリティは減らないからいい」
スキルを融合させるだけか。
「えーっと? 『殴術』+『蹴術』=『体術』?」
まんまだな。
「なあ。スキル一覧って減るのか?」
「減らない。むしろ増える」
ならいいか。
「スキル融合!」
『体術』を手に入れた。【連撃】のアビリティが追加された。
二つのスキルの上限は20だったらしい。黒魔法はまだ全然らしいが。
「とりあえず、忘れ去られている鍵を使いに行こうか」
二つも持ってるし。
「私も行く」
という訳で、アリシャも行くことになった。
▼△▼△▼△
「おいおい、あれ、噂の最強プレイヤーだぜ」
「やっとゲートを開けてくれるみたいだな」
俺が転移ゲートの前に行くと、そんな声が聞こえた。
「転移ゲートオープン、タリムタウン」
鍵をゲートの真ん中に差して、回す。
「うおっ?」
景色が変わっていた。
「ここがタリムタウンか。店がいっぱいある。商業の街だろうか」
いい装備が手に入りそうだな。まあ、俺以外は、だが。
「転移ゲートオープン、グラインド港」
タリムタウンのゲートからグラインド港に転移する。
「潮の香りだ。海が近いんだな」
俺にはうってつけの場所だ。
「転移、始まりの街」
とりあえず始まりの街に戻る。
転移すると、ゲートの周りに人だかりが出来ていた。
「タリムタウンとグラインド港へのゲートが繋がったぞ!」
俺はその中心で宣言した。
「「「わああああああぁぁぁぁ!!」」」
歓声が上がる。いいな、こういうの。
「私はタリムタウンに行く。リューヤは?」
皆がゲートを使ってどっかに行った後、アリシャが聞いてきた。
「魔法系スキルを集めるために三つのスキル販売店を探してみるさ」
その後は魔法使いに転職してグラインド港で狩りまくる。
「じゃあ、また」
アリシャは先にゲートで転移する。
「んじゃ、金はあるから買い集めるか」
あんまり使ってなかったからな、結構貯まった。
俺はスキル販売店へと向かった。
結局、俺が買ったのは魔法スキルのみ。
『白魔法』、『光魔法』、『闇魔法』、『複合魔法』、『時魔法』、『召喚魔法』。
後ろ三つは高くて、金がほとんどなくなったが。
スキルスロットは以下の通り。
スキルスロット1:魔杖剣 Lv15
スキルスロット2:索敵 Lv30
スキルスロット3:黒魔法 Lv30
スキルスロット4:白魔法 Lv1
スキルスロット5:光魔法 Lv1
スキルスロット6:闇魔法 Lv1
サブスキルスロット1:複合魔法 Lv1
サブスキルスロット2:時魔法 Lv1
サブスキルスロット3:召喚魔法 Lv1
サブスキルスロット4:体術 Lv1
サブスキルスロット5:一騎当千 Lv5
……魔法ばっか。ってか、『召喚魔法』って魔法なんかね。サモンっぽいけど。
とりあえず、グラインド港で試すか。




