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Infinite Abilities Online   作者: 星長晶人
煮えたぎる溶岩編

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島の秘密

昨夜更新し忘れていました。……GE3に夢中になってたとか言えない。

 造った拠点を思わぬ理由で破棄することになってしまったので、仕方なく朝まで洞窟でストーリーをやろうかと思う。


 アルティとシルヴァのみを連れているので、幅二メートルほどしかない洞窟内の通路でも充分戦えるだろう。


 というか、洞窟の敵では相手にならなかった。


 二体が強すぎることもあり、俺も遠距離からアマテラスをぶっぱするだけで良くなっている。

 洞窟外のモンスターと比べると多少強くなっているようだが、まだ足りない。二体からしたらただの獲物でしかないようだ。


 途中採掘なども行いつつ、一旦モンスターの素材回収は適度にして先へ進んだ。


 リィナと姉ちゃんから貰ったマッピング・フラグメントにより、道順はもうわかっている。二人共ストーリーをクリアしているので最後、ボスのいる場所までの道が明らかになっていた。

 洞窟内では麓の入り口から入り組んだ道が続いており、地下にボスがいるようだ。ボスは島の丁度真ん中の地下で待ち受けているらしい。道中でも多少イベントがあるようなので、それらを回収しながら向かっている。山の火口にもイベントがあるようだ。


 イベントが洞窟に入った瞬間から始まっているようで、「立チ去レ、立チ去レェ……」と不気味な声が響き渡った。アルティは怖がっていたが、怖がる要素もまだなさそうなのでがんがん進んでいる。


 二人から貰ったマップ情報を見ると、洞窟内を入って上側に進むと火口付近に出て、下側に進むと島中央の地下へ続くようだ。所々埋まっていない箇所はあるようなので、それらを埋めてマップを完成させながら進んでいる。

 ストーリーは火口付近と地下へ進む道中で存在し、火口付近の方は行き止まりになっているが続編ストーリーのヒントになる展開が待っているとのことらしいので、先にそちらを見てから本筋を追っていこうと思う。


 段々と暑くなっていく洞窟内を進み、遂に火口付近へと出た。


「……付近ってか、火口じゃねぇか」


 溶岩の煮え滾る火口があるところへ出てきてしまった。とても暑い。アルティがくったりしている。途中シルヴァが背負おうとしていたが熱伝導がするせいか熱くて乗っていられないらしい。表情に変わりはないがいつもよりシルヴァがしょんぼりしている気がした。だが俺が慰めようと手を伸ばすと避けるのだ。おそらく熱くて触れないから気を遣っているのだろう。


 ここでイベントが始まると聞いていたのだが、なにかがある様子はない。と思っていると、ばしゃっと火口からなにやら音がした。音のした方を見ると、火口から黒焦げになった骨の手が這い出てきているところだった。びくっとアルティが反応している。

 続いてもう片方の手も出てきて、這うように頭も出てきた。


 とはいえなんの変哲もない焦げた骸骨にしか見えなかった。アルティが過剰に怯えているだけだ。


「あいつ、許さねぇぞ……っ。俺を、俺を騙しやがって……!」


 もう考える頭も口を動かす筋肉もないが、かたかたと顎を動かして怨念を吐き出した。イベント的に考えて、過去協力者か誰かに裏切られて火口に突き落とされたとかそんなところだろうか?


「おいてめえ! 身体を寄越せよ、あいつに取られた俺の身体の代わりに、お前の身体を寄越せよぉ……!」


 恨み言を呟きながら、丁度良さそうな肉体――俺を標的にしたらしく、火口から這い出てきた骸骨は立ち上がって襲いかかってきた。どうやらこのままイベント戦闘に入るようだ。


 しかし、銀の一閃が骸骨を即座に切断しHPを消し飛ばしてしまった。


「……」


 やった張本人、シルヴァは変わらず無表情だ。彼女からしてみれば姉と仰ぐアルティが怖がっているのでさっさと片づけようぐらいの考えだったのかもしれないが。

 ……やっぱうちの子達は強すぎるな。

 そう思っていると、倒された後のイベントが始まっていた。


「ぐあぁ! くそっ、俺はこんなところで……っ。あいつは言ったんだ、世界をくれるって。なのに、どうして、俺は……っ。こんな幻の世界ですら手に、できない、のか……」


 意味深なことを言いながら、焦げた骸骨は倒れていく。すると溶岩が一人でに動いて骸骨を呑み込み火口へと引き摺り込んでいった。……ここで死ぬとああなるのか、それともあの骸骨がこの火口に呪われてでもしてるんだろうか。どっちにしろ確かめる術はないかな。


 なんとも呆気ない終わり方だったが、大事そうだったことは聞けた。「幻の世界」これが今回のキーワードになりそうだ。だがどういう意味かはよくわからない。そもそもゲームの中なのだから幻だしな。

 細かいことは後々考えるとして、とりあえずここから離れようか。アルティが辛そうだしな。


 どんな概要なのかすらわかっていないイベントストーリで予測を立てるのも難しい。先に進んで情報を集めていくとしようか。


 次にイベントと関係ありそうな場所は、この洞窟で唯一骸骨のモンスターが出現する一室から行く必要がある。先程のイベントでも骸骨が出てきたが、どうやらこの洞窟では通常骸骨系モンスターが出現しない。常時出てくるのがこの一室のみということで、なにかあるのではないかと探したら見つけられるそうだ。

 室内にいる骸骨の船乗り、だろうか? を一体残らず殲滅してから室内の鳥オブジェクトを右へ捻ると奥の隠し扉が開く仕組みになっているらしい。よく見つけたな、こんな隠し部屋。俺なら素通りしている。その辺りで勘が働くのはゲーマーと素人の違いなのだろうか。

 隠し部屋に入るとボードとテーブルがあり、椅子がいくつもあるのも確認できた。テーブルとボードにはそれぞれなにかの書類がある。近づいてざっとだけ目を通すと、


「世界構築理論……?」


 なにやら壮大な話になってきた。要約すると、「世界を創るには世界を形作るだけの魔力と、それを半永久的に維持する仕組みが必要だ」ということ。それを世界丸々ではなく一つの島として形成するにはどうすれば良いかを会議していた形跡が見受けられる。世界を魔力で創ると仮定するのなら、確かに普通の魔方陣では難しい。魔方陣は発動したら消えるモノだからな。ある程度残るとはいえいつかは消えるモノだ。世界を維持するには特別なアイテムが必要そうだとは思うが。

 そう考えていくと興味深い可能性が記されているのだが、おそらく俺には関係のない話だ。

 世界を構築できるだけの魔力とはどれくらいなのか、どうやって確保するのかも議論されている。そういう話が好きな人には嬉しい部屋なのかもしれない。


「そして、新世界創造計画、か」


 大それた目標を掲げたモノだと思う。おそらくここにいた者達はこの計画に沿って動いていたのだろう。先程部屋に出現していた骸骨達が計画を立てたのだろうか? だが船乗りのような格好をしていた。また別の人なのか。その辺りはよくわからないな。骸骨は研究者というよりどちらかと言うと海賊のような出で立ちをしていたように思う。海賊がこんな大それた計画を打ち立てるだろうか。


 謎は多いが、一旦これまでになるだろう。一応もう少し調べてみるが、これ以上の情報は得られなさそうだ。


 特に続いての情報は得られず、次の地へ向かった。


 位置は洞窟の入り口から見て真下になる。


「監獄か」


 牢屋が立ち並ぶ一角に辿り着いた。ここもイベントはないが、関係する情報が手に入るという。

 牢屋の中には白骨死体が転がっている。どれもみすぼらしいボロ切れのような服を着たままだ。見ていて気持ちのいい光景ではないな。


 俺は牢屋の様子を通路から眺めて回る。内一つに、手記が残されていた。怖がるアルティはシルヴァと一緒に牢の外で待ってもらい、俺だけが牢屋に足を踏み入れる。そしてなにを筆代わりに使ったのかはわからないが、上手く読み取れないほど汚い文字だ。

 軽い日記のようで、牢に閉じ込められる前は研究者だったことが判明する。読み進めていくと、突如「ヤツら」が来て彼らを蹂躙したようだ。幽閉したのは先程の計画に関する情報を得るためだったのだろうか。「誰かが口を割って隠し部屋を暴かれなければいいが」という記述があったので、確信してもいいのだろうが。……しかし手記に隠し部屋があることを書いていいのだろうか。懸念しているこの人が真っ先に知らせたことになりそうだ。

 しかしその数日後には誰かが拷問を受けて口を割ったらしいと記述されている。この人はどうやらバレなかったようだ。誰かは明かされていないようで、仲間だったはずの研究者達で疑心暗鬼になっていく様も描かれていた。嫌な手記だったが読み進めていくと隠し部屋が「ヤツら」に見つかり、研究成果を乗っ取られたという。「ヤツら」の頭では計画を維持できないと思っていたようだが、どうやらその裏切った研究者に維持させていたようだ。


 手記を読んで大体の状況がわかった。

 研究者達が新世界創造計画を立ち上げこの島を創り出した。だが試行実験の際に近くを通りかかった「ヤツら」が誤って上陸してしまい、成功するかに見えた計画は頓挫する。「ヤツら」はここでなんらかの研究を行っていた彼らを拷問し、なんの研究だったのかを問い詰めた。結果一人が白状して計画の全貌を知られ奪われたということだろう。


 悲惨な話ではあるが、「ヤツら」とはなんで、研究者はなぜそんな研究をしていたのか、など疑問は尽きない。推測はできるが正解に辿り着けるかどうかはその人の頭次第だろうか。俺にはわからなかった。


「先に進んでみるか」


 メインストーリーとは異なるが、充分作り込まれた話のようだ。


 俺は牢獄を後にして、洞窟の中を進んでいく。


 そしてようやく、最奥へと辿り着くのだった。

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