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Infinite Abilities Online   作者: 星長晶人
煮えたぎる溶岩編

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拠点作り

 俺達が草原に行くと、早速プレイヤーを見かけた。


 見たことのないプレイヤーも多かったので、トッププレイヤーではなさそうだ。いつだったかのアップデートでギルドの象徴であるマークを設定することができるようになったため、今は所属ギルドのマークをどこかしらにつけている者が多いはずだ。

 それがないので、ギルドに所属していない中、下級プレイヤーなのかもしれなかった。


「なあ、ちょっといいか?」


 俺はその中で固まっているプレイヤーに声をかけた。揃ってこちらに顔を向けてくる中で、


「良かったらこの島の地図を買わないか? 全体の地形を描いたヤツを一万、モンスターの生息域をざっと描いたヤツを二万。何枚か欲しいなら追加一枚五千で売るぞ」


 金に困っているわけではなかったが、マップのない島で地図を売るなら金を取るくらいが丁度いい。タダで渡すには惜しい情報でもあることだし。

 俺の言葉に、彼らは顔を見合わせていた。


「サンプルがこれだ。一応島を一周して出現するモンスターと種類は書いておいたが、もしかしたら遭遇してないヤツがいるかもしれないという点は念頭に置いて欲しい」


 情報にない強いモンスターが現れてお前のせいで犠牲者が、とか非難を浴びたくないからな。ある程度自己責任であるという理解はしてもらう必要があった。


「……凄い、詳細な地図ですね」


 彼らの内一人が驚いたように呟いた。スキルレベルを上げていたおかげで日本地図程度のクオリティで描き上げることができている。一万という金額でも売れるとは思うのだが。


「まぁそういうスキルだからな」

「その割には、山の方で六十とかのモンスターと遭遇してますけど、もしかして相当強いんですか?」

「まぁ、そこそこだな」


 苦笑して答えると、肩に登ったアルティはぺちぺちと俺の頬を叩いてきた。「もっと自信を持て」とか「皆がいるから強いだろ」とかその辺の文句を言いたいのだろう。


「有り難く買わせてもらいます。その、追加で人数分同じのを貰っていいですか?」


 購入してくれるようだ。彼らの人数は六人なので、五枚追加か。


「合計四万五千になるか」

「はい。お願いします」


 プレイヤー同士のアイテムの売買は、アイテム一覧から選択して交換を選び対象のプレイヤーを選べばいい。交換では互いが提示したモノに同意しなければ行われないため、金額が間違っていた場合はキャンセルすることが可能だ。

 俺は交換前に五枚分の『模写』を行う。本体の地図にインクのついていない羽根ペンの先で軽く触れ、その後にインクをつける。別の六枚にペンを一筆走らせれば、自動的に地図が描かれた。


「じゃあ交換の申請をするから」


 一言言ってから、購入の宣言をした彼の上に表示された名前を見て模写された地図(モンスター生息域あり)というアイテム六枚を選択して交換を申請する。すぐに四万五千の金額が提示されたのでOKを押して交換を成立させた。


「ありがとうございます」

「礼なんていいよ。ただあくまで目安だから、過信はしすぎるなよ」

「はい」


 一応忠告だけはしておいて、他のプレイヤー達にも地図を売り払っていく。

 こっそりどんなプレイヤーがどこに拠点を設けているのか地図に記載していきつつ、だったが。


 おそらく初日は拠点を見つけて生活の基盤を作ることを重視すると思って、一日で島の全貌を知りたかったのだ。二日目から本格的に行動を開始するだろうと思って、地図を売りつける。金儲けが目的ならある程度稼げる方法だとは思うが、デスゲームという状況下なので敵の情報が欲しいと思っているプレイヤーが多く、更には今回経験値が報酬なのでトッププレイヤー以外も参加していることから、ある程度は安全を取れるようにと思ってのことだ。

 島を一通りは回ったが未だ最大レベル六十と低い。それにこの無人島でのストーリーをクリアすると出られるという話だったが、ストーリーには出会わなかった。おそらく山の洞窟に入るとレベルが上がっていくのだろうとは思っているのだが。


「お兄ちゃん、今日はどうするの?」


 妹のリィナが所属する『戦乙女』にも会っていた。


「今日は拠点作りかな。大半のプレイヤーには地図を渡し終えたし。多分トッププレイヤーは洞窟の方に行くんだろ?」

「うん。レベルを上げるにはそっち行かなきゃいけなさそうだからね」

「まぁ俺も数日後に行くとは思うけど、モンスターのレベルとかわかったら連携してくれると嬉しい」

「うん、お兄ちゃんも気をつけてね」

「ああ」


 リィナと言葉を交わしてから、俺は拠点を設置する場所を考えて移動した。


 俺が拠点にしようと思っている場所は、森の中だ。あまりプレイヤーの多い草原に拠点を作るのも「こっから俺達の縄張りなんだよ!」みたいな小競り合いに巻き込まれなくて済むだろう。森の中に簡素な拠点を建てて過ごそうかと思っているところだ。


 森の方へ移動して、比較的モンスターのレベルが低い場所で、木々の間隔が広い場所を探す。とは言っても昨日森を歩いた時にある程度この辺がいいかな、という宛ては考えておいた。


「よし、この辺にしようかな」


 俺は昨日と同じような地点に辿り着いて、周辺を見渡す。木々の間隔が広いためにモノを建てるスペースがあり、しかし少し歩けば木が密集していて木材を採取しやすくなっている。この辺の木は杉の木に近い形をしている。簡素な絵では葉に覆われた部分が三角で描かれるあれだ。


「お前達は昨日と同じようにその辺でモンスターを狩ったり素材を集めたりしててくれ。無茶だけはしないようにな。あと迷子にならないよう気をつけろよ」

「キュウ」

「はい」


 俺の言葉に、アルティはわかったという風に片手を挙げて応じた。シルヴァも頷いたことを確認して、それぞれの作業に移る。


 まずは木材の確保だ。腰に提げた剣を抜き放ち、『伐採』のスキルを発動させて根本から切り落とした。すると木が倒れてくる時に煙を噴いてぽんと木材に変化する。枝と木材に変わって落ちてきたので、それを拾い上げた。

 所々ゲームだからこその要素があるな。まだ木を切り分けるようにしていないか、技術的にできないのだろう。最初からそういうゲームとして売り出すなら兎も角、元々楽だった『伐採』がいきなり面倒になってモチベーションが下がっても問題だからな。運営側の配慮だろうか?


 木の実がなっていればそれも一緒に落ちてくるはずだが、今回の木にはなさそうだ。

 切り倒すと丸太一本と枝三十本が手に入った。丸太を攻撃すると板になった木材十個が入手できる。枝は枝でなにかに使えるかもしれない。ぱっと思いつくのは焚き火だな。せっかくだから二体が戻ってくる目印として、肉でも焼いていよう。働いていると腹が減るしな。戻ってこなくても俺が食べればいい。

 そう思って何本か木を切り倒したところで、枝を適当に並べて火を放つ【ファイア】を唱えて点火する。魔法だと凄い楽だ。昔家族でレジャーに行った時は酷かった。親父の拘りで火を点ける道具を持たずに行ったのが間違いだったな。


 辛い記憶を心の奥底に押し込みつつ、枝を組んでいく。途中で拾っていた蔓を使って枝を固定させる。五本の枝を使う。一本を垂直に立てて四方は斜めに立てた一本の頂点で括った。倒れないことを確認して同じモノをもう一つ作る。ゲームだと曲がった枝がなくて楽だ。現実ならもっと枝を厳選するとか色々あるだろうに。

 それらを並べて太めの枝を一本選んで乗せる。そこへモンスターからドロップした骨つき豚肉を取り出した。漫画などでよく見る肉の真ん中を骨が突き抜けたようなアイテムだ。先程組み上げたモノを焚き火の真上に配置して、肉の骨部分を蔓で上の枝から垂らす。焚き火の先端に肉が当たるような高さに調整して左右から吊り下げた。下の表面が焼けてきたら骨の部分を持って回せばいい。スキルで『火耐性』も習得しているので、ある程度なら火に触れても軽傷で済むはずだ。


 焼肉の匂いでアルティは戻ってこられるだろう。シルヴァは……まぁ、迷子になることはないか。


 森の中で焚き火するヤツがどれくらいいるのかはわからないが、もくもくと空へ上がっていく煙も目印には持ってこいだ。……つまりその分モンスターも寄ってきやすいってわけだが。


 がさがさと茂みを掻き分けて俺の方へ寄ってくるモンスターを『全方位索敵』で感知し、『居合い』を発動しながら右腰の剣を振るった。敵のレベルが二十程度だったので、一振りで倒せる。

 『全方位索敵』は地中や空中まで感知できる上に範囲もかなり広いスキルだ。まだこちらに近づいてくるモンスターがいるので、先手を打つならどっちかの武器を変えておいた方がいいかもしれない。


「『ウエポン・チェンジ』」


 左腰に提げているロッド・ザ・リッパーをアマテラスに変更した。光線銃であるアマテラスなら遠くの敵も攻撃できる。『天照銃術』という固有スキルで念のため発火を抑えておく。茂みを貫いて発火したら森林火災に発展したとか嫌すぎる。俺はこう、木と木の間にハンモックを作って自然の中で昼寝するようなことにちょっとした憧れがあるのに。

 自然破壊、ダメ絶対。


 剣を鞘に収めてアマテラスを抜き放ち、感知したモンスターのいる方へ銃口を向ける。そのままトリガーを引けば光線が放たれて姿を見せていなかったモンスターを倒せた。近づくモンスターの対処はそんな感じでいいと思うので、次に住処を造るとしよう。『建築』から始まるスキルがあれば道具がなくても小屋ぐらいが建てられる。


 俺は森に生えた木々の中から細めの木を四本ほど見繕った。それらを柱にする予定だ。細めにしたのはあまり太いと柱として立てた時に周囲の壁として使う板との太さが違いすぎて違和感が出てきそうだからだ。


 まず四本の柱を決め、素材にした板が丁度いい長さになるよう距離を調整する。大体板の長さは五メートルくらいなので、柱は四方五メートル間隔で立てることになる。正確には四メートル八十センチぐらいだが、そんな細かいことはどうでもいい。

 柱に切り込みを入れてそこに板の端をはめる形にしようと思う。縦と横にはめるための切り込みを入れて、地面に魔法を撃って穴を開け柱を立てた。現実だと上手く柱を立てることができないとは思うが、ゲームだからか隙間を埋めるとがっしりと固定される。それを四回繰り返して柱を立てた。

 そうしている間に肉が焼けたので、空腹度を補うために焚き火の上から外してかぶりつく。……まぁ、そこそこの美味しさかな。


 普段きちんと調理されたモノしか食べていないためにイマイチにも感じるが、充分食べられる味だ。調味料だけは調達できる気がしなかったのでアイテムとして持ってきてしまったので、そのおかげかもしれない。素材そのままの味とは言うが、塩胡椒なしで肉を食べるのは流石にどうかと思う。思ってしまうのは現代人だからなのかもしれないが。


 ただこういうシンプルな食べ方も、サバイバルの醍醐味と言えるのかもしれない。


 ただ鍋やフライパンなどは持ってきていないので、また焚き火の上に肉を吊るしておく。


 柱の切り込みに合わせて四辺の板をはめ込む。それが床の原型になる予定だ。板をそのまま上に置くようにできるよう、切り込みを入れる位置を僅かに上下させていた。横に並べる方を板一枚分上にしておいたのだ。板の幅より柱の方が太いので、若干はめるような形にしつつ縦の板の上に置いていく。しかし固定はどうするか。蔓でなんとかできればいいのだが、難しいかもしれない。

 横に板を並べ終えてから、ステータスウインドウを開きスキル一覧を眺めてみる。生産系スキルを確認して数分、俺は良さそうなスキルを発見した。一応イベント前に確認していたが、スキルが多すぎて覚え切れていない。こういう場面でちょくちょくそういうのが判明するんだよな。


 『木工』のスキルで木の釘を作れそうだ。加えて『木材精錬』があれば更に頑丈に加工できる。


 そして、釘をとりあえずたくさん作って、縦の板に横向きの板を固定していく。そうして床部分が完成する頃には、日が暮れ始めていた。

来週の更新は微妙ですが、更新できるよう頑張ります。

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