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Infinite Abilities Online   作者: 星長晶人
煮えたぎる溶岩編

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サバイバルイベント

お久し振りですみません。


来週も更新します。

 姉ちゃんのストーカー事件から発覚したプレイヤー内に“乗っ取り女王(ハッキング・クイーン)”の手先がいるという事実。

 そしてナッシュという前線プレイヤーの離脱。


 これらは前線で戦ってきたプレイヤー内に衝撃を与えるには充分だった。


 今隣で戦っているプレイヤーがもしかしたらこの状況を作った元凶の手先かもしれない。

 そんな疑心暗鬼がプレイヤー達の中に渦巻き、しばし攻略が停滞した。そんなことは関係ないとばかりにダンジョンへと挑んだ『狂戦騎士団』と『暗黒魔術師団』を除いてだが。


 彼の戦闘狂は言った。


「この中の強ぇヤツが敵だってんなら大歓迎だ。本気で殺し合えるだろ?」


 と。

 純粋なゲームであればきっと、PKに手を出したと思われる。

 しかし彼の言う通り、女王の手先が潜んでいるにしても、今の今まで噂すら聞いていなかったのだ。裏で大々的に動いているわけではなさそうなので、人数は少ないと考えてもいい。それに女王の手先だからといって人を殺して回るようなこともなかった。


 結論として、裏切りが出たとしても対処できるように万全の準備を整える。


 なお手先第一号を出した《ナイツ・オブ・マジック》は釈明のために全ギルドメンバーに所謂踏み絵のようなモノを実施させ、潔白を証明させたと表明した。


 ただ公には混乱を招く可能性があるためナッシュの素性については伏せられている。

 あくまでもトップギルド、プレイヤー間での話だ。


 とはいえどこに潜んでいるかもわからない相手のことを考えて互いに疑心暗鬼になっているわけにもいかない。どことなくギクシャクしてはいたが、攻略は待ってくれないのだ。


 そしてこういう時に限って、期間限定かつ攻略に必須なイベントが開催される。


 『無人島サバイバル ~奪え、助け、開拓せよ! お前が島の覇者だ~』。


 ……とかいうイベントらしい。タイトルのダサさやなんだそのサブタイトルというツッコミは置いておいて。


 概要としては限られたアイテムを持参した状態で無人島に参加希望プレイヤーが放たれる。生き延びるべく過ごしつつ、無人島の限定ストーリーを攻略しろというイベントのようだ。


 とある海のダンジョン解放に必要なイベントらしい。見つかってはいるが入れないダンジョンだったので、やるしかない。全ダンジョンの攻略もデスゲーム脱出に必要なことだ。


 個数制限のあるイベント用の収納バッグに持ち込むアイテムを入れて、イベント開催当日に無人島へと移動する。

 装備品にも制限があるのだが、通常アイテムとは別枠なのが不幸中の幸いか。特に俺は武器を多く使うので敵に合わせて武器を変更するといういつもの戦い方ができなくなってしまう。とはいえ厳選する必要はあるだろう。


 装備品は装備している武器防具とバッグに収納するそれらが別換算なので、予備の武器をできるだけ持っていく必要があるのだ。

 またイベント終了後にイベントで入手したモノを持ち帰り用バッグに入れて持ち帰るという設定らしく、イベント入手アイテムを持って帰れる個数も決まっている。


 限られたアイテムの中でなにを選ぶのかは、プレイヤー次第だろうが。

 装備品、通常アイテム各十個が持ち込みの制限個数となっている。


 ……とりあえずサバイバルに対応できそうな道具類を持ち込むのが定石だよな。


 素材で調合をする必要が出てくるかもしれない。

 挙げればキリがないが、最低限必要なモノを挙げた方が良さそうだ。


 まず今回のイベントでは特殊パラメータが追加される。それが空腹度だ。文字通り空腹の度合いを示すステータスで、食事をしないと徐々に減少する。空腹度がゼロになってから一定時間経過すると餓死してしまうのだ。

 サバイバルをより過酷にするための措置だろうが、調理器具を持ち込む必要が出てくるのだ。焼いて食べるだけならまだしも、普通の人間が味気のない焼き肉を延々と食べ続けられるとは思えない。島なので海から塩くらいなら取れるだろうが。


 しかし貴重な一枠をそれで埋めてしまっていいモノかとも思う。ギルドなら何人かに持っていかせるだけでいいのだろうが、生憎と俺はソロだ。頼りになる仲間達はいるが、何分モンスターなので料理には精通していない。

 俺達にとって幸運なのはスキルの制限がないことだ。調理器具を使わない料理でも『料理』がないと必ず失敗する。だが最低でも取得しておけば問題なくなるのだ。


 そして、俺にはサバイバルを生き抜く上で妙案があった。


 なんなら、現地調達した素材で器具を作ればいいんじゃないか?


 と。まぁこの程度誰にでも思いつくだろう。しかし実行に移すにはスキルとスキルレベルが不足していたりと、生産が本職のプレイヤーでもなければ実現不可能だったろう。

 とはいえ俺は見境なくスキルを取得して回っているので、ある程度フォローが利く。


 ということで、頼りになるプレイヤーの下で研鑽を重ねているわけだ。


「……なにか顔ついてる?」


 言葉少なく無表情で尋ねてきたのは、そのプレイヤーであるアリシャだ。彼女の経営する店に入り浸って生産スキルを極めている。以前にも同じようなことで工房を借りていたので、今回必要なスキルレベルなどは達成できそうだった。


「いや、なんでもない。アリシャが参加してくれれば心強かっただろうなと思ってな」


 苦笑して首を振りつつ、作業へと集中する。


「……ごめんなさい」


 アリシャは顔を伏せて謝ってきた。


「いいよ、なんか事情があるんだろうし」


 そう。アリシャは今回の無人島イベントに参加しない。理由は言ってくれないが、どこか申し訳なさそうにも見えた。なんだかんだでIAO内では最も付き合いが多いプレイヤーだ。プレイヤーを除くとアルティが一番になるのだが。力になってやりたいが、どうしたらいいのかもわからない。


 アリシャのことは置いておいて、今は攻略のために精を出すべきだろうか。


「……リューヤ、ちょっと楽しそう。死亡確率は高いのに」

「そうか?」


 だが確かに期待している自分もいる。不謹慎だが、ゲームのイベントだからだろうか。

 彼女の言う通り、今回のイベントは死亡率が高い。死に直結する空腹度に加え、街中のような安全圏が存在しないのだ。開始三日はプレイヤー同士の攻撃が無効化されるので、仮にこの機会にPKを狙っているヤツがいても初っ端から襲われて大混乱になるような事態はないようだ。ただ島には当然モンスターが棲んでいるため、夜間襲われないとも限らない。料理の匂いに釣られてやってきてせっかくの食事がダメになるということも考えられる。普段ならプレイヤー同士は味方という認識が強い中、ナッシュの一件や安全圏のないイベントの開催などで若干ぴりついているような気がした。

 特にトップギルドなんかはそうだ。


 その点ソロならある程度全員が敵だとでも思っていれば問題ないだろう。


「まぁでも、やっぱりゲームのイベントだからかな。少しでも楽しむ気持ちがなければ、ずっとなんて息が詰まるだろ」


 寝る間も惜しんで鍛えているようなプレイヤーだったら、特にそう思うのかもしれない。むしろ死と隣り合わせの状況が日頃からあるせいで大したサバイバルにならない可能性もある。


「せめて、少しくらいは楽しまないと勿体ない」


 VRとはいえサバイバル生活に憧れないことはない。世代が世代ならテレビ番組で観て盛り上がっただろう。残念ながら、俺が知っているサバイバル生活の番組はとっくの昔に終わっており、俺がいいなと思ったのも過去の映像を観ての話なのだが。


「……そんなの考えたことなかった」

「かもな。でも最初はそうだったはずだろ? ゲームを楽しみにして、新たな世界に足を踏み入れて」

「……」

「俺は誘われてやっただけだからまだしも、βテスターとしてやったプレイヤーならもっと先の世界を見てみたいってなるんじゃないかと思うんだが」


 アリシャもβテストには参加していたはずだ。


「…………そう、かも」

「だろ? なら楽しめる時に楽しんでおくべきだ。このイベントはレベル制限ないから出てくるモンスターも、通常モンスターなら強くはないはずだからな」


 ボスは流石に攻略最前線と同等の強さを誇っているだろうが。


「……ん」


 頷くアリシャの口元が仄かに緩んでいるように見えた。おそらく目の錯覚だろうが。


 ともあれアリシャに手伝ってもらってサバイバルに必要そうな道具の大半を作成できるようになった俺は、最初に素材採集を行うため必要な道具は持っていくようにして、持参するモノを選別していく。


 そうしてイベント開催当日。

 無人島へ向かうための船が来るという港に参加プレイヤーが集合していた。


 トップギルドの多くが参加するせいでかなり人数が多い。知り合いもちらほら見かけたが、仲間達をまとめるので大変そうだった。挨拶は偶然会った時にでもしておこう。人数の多いところは有利そうだがその分管理も大変だろう。そういう意味であればサバイバル慣れしていそうなエアリアが率いる『SASUKE』は最有力候補とも言えた。


 そんな俺達を乗せてくれるのは、なんと巨大ウミガメだった。ウミガメの甲羅に高級ホテルが乗っかっているような姿のウミガメホテルというヤツらしい。

 ホテル各部屋に泊まって、無人島に着くまでの時間を有意義に過ごした。


 そして遂に、新イベントの地へと降り立った。


――――――――――


 リューシャの所持品一覧。


 装備欄 防具

 頭:なし

 首:黒灰のマフラー

 腕:封刻の手袋

 胴:スサノオ〈灰〉

 胴2:黒邪のコート

 腰:ケルベロボトム

 脚:影狼の靴

 アクセサリについては数が多いため割愛。


 左手武器:レジェンダリ・オブ・アヴァロン

 右手武器:ロッド・ザ・リッパー


 所持装備品

 1:聖竜剣・ホーリードラゴン

 2:邪竜剣・イービルドラゴン

 3:アルファ・ディ・ベルガリエ

 4:天叢雲剣

 5:ヤマタノオロチ

 6:アマテラス

 7:カグツチ

 8:オオクニヌシ

 9:コノハナサクヤヒメ

 10:超絶怒涛の釣竿


 所持アイテム一覧

 1:剥ぎ取りナイフ

 2:職人七つ道具

 3:羽根ペンと羊皮紙

 4:超級魔力回復薬×99個

 5:超級体力回復薬×99個

 6:万能治療薬×99個

 7:冷凍保存巨肉×99個

 8:乾燥保存巨肉×99個

 9:調味料セットEX

 10:モンスターBOX

通常アイテムは複数個持てるモノとそうでないモノがあり、複数持てる場合は99個までとなっています。


……今更ですがこの説明をしてたかどうか覚えがないので、見返して調整するかもしれません。

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