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Infinite Abilities Online   作者: 星長晶人
煮えたぎる溶岩編

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アルティの救済

この話は、あと一話続きます


他の三作は明日出来れば更新します

 宿屋の女将アリーンからの情報で、俺はアルティが囚われているという街の倉庫に向かった。


 そこに向かっている二人の男が、何やら解体用の装置を持っているとのことで、俺は急いだ。装置といっても何か実験器具のようなモノではなく、ちょっとした設定用の装置だ。


 街中でモンスターの解体を行うには、さすがに道端では制限がかかる。


 調理場などの専門的な場所でのみ行える訳だが、その制限を取っ払ってどこでも解体が出来るようにするのが、その装置である。


 つまり、今から解体するってことだ。俺は足を急がせてそいつらが倉庫のシャッターを、暗証番号を入力して開けたところを見計らって、後ろから蹴りをくらわせる形で二人を中に飛び込ませる。


 俺のアルティを奪ったヤツがその中にいた。


 アルティは鳥籠のような檻に閉じ込められ、怯えたようにビクビクと身体を震わせている。


 ……何があったかなんて、聞く必要がなかった。


「……てめえら……っ!」


 ただ怒りと悲しみと、あと何か今まで感じたことのないモノが湧き上がってきた。ギロリと男達を睨みつける。


「チィ! てめえら、こいつをぶっ殺しちまえば大金は俺達のもんだ!」


 一人の男がそう言うと、各々が武器を構える。……街中は戦闘禁止だが、倉庫の中に戦闘制限解除装置と呼ばれるモノが設置してあり、倉庫での戦闘は可能となっている。これが予想出来た(アリーンから教えてもらった)からこそ、俺はシャッターを開けたタイミングで二人を蹴飛ばしたんだが。


「……金のために、アルティを殺そうとしたのか!」


 俺は分かってはいたが、言葉にされると憤りが加速し、ブアッと何かが湧き出てくる感覚さえした。


「金のために動いて何が悪いってんだよ! どうせAIなんだから死んだっていいだろうが!」


 必死にも見える男の言葉を聞いた瞬間、頭の中でブチッと音がした。何の音かを考える前に、俺の身体が動く。全力で駆け出すと、そいつの顔面に飛び蹴りをくらわせた。


「ぐぼぁ!」


「……て、てめえ!」


 奇妙な呻き声を上げて男が吹っ飛び、他の男達が一斉に睨んで突っ込んでくる。……全員近接職か。武器は個々で違うとしても、激レア武器がないことを見るとトッププレイヤーでもないようだ。


 まあ、こんなことをするようなヤツがトッププレイヤーな訳ないが。トッププレイヤーなら稼ぎで事足る。


「……『ウエポンチェンジ』」


 俺は戦闘態勢じゃなかったため若干の遅れが出た男達を油断なく確認しながら、俺は左手に片刃両手剣を呼び出す。……何でレアでもないこの武器にしたのかは、よく分からない。


 俺が呼び出した両手剣は、刃がギザギザになっていて、名前が鮫牙剣というそのまま、「斬る」というより「抉る」という剣だ。もちろんゲームなのでそこまで露骨な見た目にはならないが、若干剣と切り口が変わる。


「ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 俺が鮫牙剣を振るって一人の両手を半ばから切り落とすと、そいつは絶叫を上げた。……何を情けなく喚いてんだか。ゲーム内の軽減された痛みだろうに。それとも痛みがないというより両手を斬られたことに喚いてるんだろうか。


 どっちにしろ情けないし、耳障りだ。


「……」


 俺は感情を表から消し、次々と身体の部位を切り落としてHPを削っていく。その度に耳障りな悲鳴を上げる男達を冷たく見据えながら、しかしHPは全損させない。


「……【セリアス・スラッシュ】」


 俺は男達を一人残らず地に伏せさせると、アルティが囚われた籠を切れ味がかなり上昇するアビリティを発動して切り裂く。もちろんアルティには当たらないようにだ。


「……キュウ」


 すっかり怯えてブルブルと震えているアルティ。……アルティをここまで怯えさせやがったのか、こいつらは。


 俺の知らない何かはさらに熱く燃え上がってくる。


「……アルティ」


 俺は優しく声をかけて掬うようにアルティを抱え、胸元に抱いて優しく撫でてやる。


「……キュウ」


 アルティは俺だと分かったのかギュウと抱き着いてきて、ポロポロと涙を流し始めた。……余程怖かったんだろう。アルティは最強のモンスターの一角とはいえ、まだ子供。それなのに金のため兵器で殺し売れるというのは、精神がおかしいとしか思えない。


 AIだから別にいい? あり得ない。アルティは俺の大事な仲間で、大切な相棒だ。しかもアルティはこう見えて女の子であり、若干ビビリの気がある。


「……【シャドウブレード】」


 だから、けじめをつける必要がある。


 俺はアルティのアビリティを呟き、男達全員に影で出来た刃を喉元に突きつける。


「ひっ……!」


 何人かが息の詰まったような短い悲鳴を上げるが、無視だ。


「……キュ?」


「……アルティ。こいつらはお前を誘拐し、金のために殺して売ろうとした非道なヤツらだ。殺すか殺さないか、お前が決めろ」


 子供のアルティには酷な選択肢を突きつけたもんだと思う。でも必要なことだ。


「……」


 俺がアビリティを使わせたことで顔を上げていたアルティが、俯く。答えを出すのに、静かな時間が流れた。男達もアルティの決断次第では瞬時に首を切られてしまうのだ。逃げようとしても、歯向かおうとしても殺される可能性がある。だから動けない。


「……キュウ」


 アルティは首を左右に振って、影の刃を消す。……どうやら許してやるらしい。優しい子だ。


「……そうか。アルティは優しいな」


 正直俺は二度とアルティに手を出せないよう始末してやりたい気分だったが、微笑んでアルティの頭を撫で倉庫を後にしようと歩を進める。


「……アルティに感謝するんだな。お前らの命は、アルティがいたから助かったんだ」


 俺は最後にそう言っておく。


「……ふっ」


 すると背後から声が聞こえた。「ふっ」、何だろうか。まあどうでもいい。


「……ふざけんなああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 ……ああ、残念だ。


 背後から元の部位が戻って起き上がり、武器を持って突っ込んでくる男達。見なくても気配だけで把握出来た。


「……アルティを攫っておいて、アルティに許されて命があるってのに、襲いかかってくるとはな」


 心底腹が立つ。


「……『ウエポンチェンジ』」


 俺は左手に持っている鮫牙剣から、古代の超兵器に武器を変える。


「は……?」


 男達はいきなり目の前に現れた四角い二門の大砲にきょとんとした顔をしているのだろう。間の抜けた声を上げていた。


「……」


 俺は後ろを振り向かず、しかし躊躇なくアルファ・ディ・ベルガリエを乱射する。後方の全方位に向けて、ランダムに。


 ……後ろからはアルファ・ディ・ベルガリエの乱射音と悪態をつく声と悲鳴が聞こえている。


 死を恐怖する悲鳴が、耳に響く。


「……っ」


 俺はアルティを傷つけるヤツを許さない。しかも一度は許されたのに、懲りず襲ってくるようなヤツらだった。アルティを殺そうとしたことを悪びれもしなかった。


 だから、気に病む必要はない。


「……クソッ」


 そう自分に言い聞かせても、湧き上がってくる嫌悪感は消えない。


「……キュウ?」


 アルティが俺を見上げて首を傾げていたが、少し乱暴に頭を撫でることで誤魔化す。


 長くIAOをプレイしているが、人を殺すのは初めてだった。


「……お兄ちゃん……?」


 倉庫を出ると妹のリィナ率いる集団が来ていた。リィナは俺の顔を見たのか心配な声で呼ぶが、無視する。


「……」


 そのまま宿へと向かった。……今日はもう寝たい。寝て、忘れてしまいたい。いくらアルティを誘拐し売買しようとしたヤツら相手とはいえ、殺しをしたという事実は変わらない。


「……」


 どこか息苦しい感覚を覚えながら、宿へと戻っていった。

やっとここまで来ました


デスゲーム設定活かすの遅すぎだろ、と自分でも思います

百話余裕で超えてますもん

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