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Infinite Abilities Online   作者: 星長晶人
幻想世界の異常編

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リヴァイアサンとバハムート

 ジズがいなくなったと思ったら次の巨大モンスターがいる。


 目眩く変わる現状に、プレイヤー達は驚きを隠せなかった。


『ジズに続いて僕が力を貸すよ。思念体だけどね』


「それでも充分だ」


『いくよ、海古竜槍士・リヴァイアサン』


「ああ。【海古竜槍士・リヴァイアサン】!」


 リューヤはジズの時と同じようにリヴァイアサンの言葉を復唱する。


 すると今度は澄んだ綺麗な水がリューヤの全身を包み込み、収まると再び全く違う格好をしたリューヤが立っていた。


 やけに長い水色のマフラーを首に巻き、紺色の瞳と青い髪になる。袖のない竜模様の紺の和服の縁は水色でそれを着ている胸元で水色が交差し、リヴァアが持っている水のリングに似ていた。裸足で何も靴などを履いていない。剥き出しの腕には外側にヒレのようなモノがついており、生えた紺色の尻尾にも背ビレがついていた。そして左手には青い槍がある。


「……ジズよりも攻撃向きだな、リヴァイアサン」


『当たり前だよ。慈愛を持つジズと違って僕は慈愛なんて欠片も持ってないからね。ただ、標的を喰らうだけ』


 リヴァイアサンはリューヤの声に応え、思念体が消える。するとリューヤが淡い水色に輝き出した。


「……さて。まずは一発目だ。リヴァア、よく見てろよ。【海竜激竜巻】!」


 リューヤは槍を両手で持つと横薙ぎに振るう。する先端から巨大な水の竜巻が放たれ、テアロドスをズタズタに引き裂く。


「まだまだ、【オーシャンスプラッシュ】!」


 さらにリューヤはアビリティを唱える。渦潮がテアロドスの下半身を捕らえ、放たれたいくつもの水の柱が小さな海竜となってテアドロスに噛みつく。


「……最後だ。【海古竜激進槍】!」


 リューヤはそう言うと駆け出す。全身を透き通った綺麗な水が覆い、次第に超巨大な海竜の姿を取っていく。リューヤは槍を先端にして水の海竜を纏い、テアロドスに突っ込んでいく。


『グアアアアアアァァァァァァ!!』


 テアロドスはリューヤに押され、吹き飛ばされる。合計でHPが一本と四分の一、消し飛んだ。


『はっ。娘達の前でいいとこを見せるくらい、してもいいよな?』


 するとすぐに鋼色の身体をした翼が生えた二本足で立つ巨大な蜥蜴のような姿をしたバハムートが登場する。


「……早いな。ってかあんた親バカだろ」


 リューヤは苦笑しつつ言った。


『……うるせえ。そんなことより、娘達がいるとなれば俺も手を貸さない訳にはいけねえからな、いくぜ!』


「おう」


 バハムートは照れたように誤魔化して、気を取り直して力を発動させる呪文を唱え始める。


『間違えるなよ、剛鋼竜騎士・バハムート』


「……【剛鋼竜騎士・バハムート】!」


 リューヤがバハムートの言葉を復唱し、鋼の液体が全身を包み込む。と同時にバハムートの思念体は虚空に消えた。


 それが収まった時にはリューヤの髪と瞳が鋼色になり、首から下を覆う鋼色の甲冑を身に着けていた。両手に二メートルもある鋼色の双斧を持っており、背中からは蝙蝠のような翼が、尻の辺りから尻尾が生えていて、両方共鋼色だった。


「……シルヴァ達。これがお前達の父親の力だ、よく見とけよ! 【鋼天竜斧斬】!」


 リューヤは言って跳躍と共に大きく飛翔し、上空まで行くと一気にテアロドスに向かって斧を構え急降下していく。


『ガアアアアアアアアァァァァァァァァ!!』


 テアロドスは真っ二つにはならなかったが鋼の煌めきを伴う強大な一撃をまともにくらい浅くない切り傷を負い、絶叫を上げる。


「……【バハムート・ディントルネード】!」


 だがリューヤは容赦なく次の攻撃に移る。斧を前に突き出し鋼色の魔方陣を展開する。鋼の巨大な竜巻が、テアロドスに向かって突き進みズタズタに切り刻む。


「……【剛鋼竜天羅戟】!」


 リューヤは消えた思念体の代わりのように鋼を纏ってテアロドスに突っ込んでいく。鋼は次第にバハムートの姿となり斧を構えて低く速く飛翔するリューヤと共にテアロドスに襲いかかり、大きく袈裟斬りした。


『……ガ、アァ……』


 テアロドスは瀕死の状態で呻く。バハムートの三回攻撃でHPは一本と半分程が減り、七本あったHPも残り一本にまで減っていた。


 リューヤの姿が元の黒に戻った。


『……ふん。貴様如きに俺の力が使いこなせると思うな』


 そして四体目、巨大な漆黒の獣――ベヒーモスが思念体として出現する。


「……」


 ジズは眷属たる鳥系モンスター達に、リヴァイアサンはリヴァアに、バハムートは第一回グランドクエストで手に入れたサモンバハムートとテイムバハムート達に、それぞれ会った。ベヒーモスのみがたった一体であるのだが、その一体が重要だった。


 同じく階級があるベヒーモスの最上位、アスラベヒーモスのベヒーがいた。


『……ふん』


 ベヒーモスはただ鼻を鳴らしてそっぽを向くだけだったが、ベヒーはジッとベヒーモスの思念体を見つめる。


『……』


「……」


 二体は微妙な空気を作り出す。


「……お前達な、何か言えよ。気まずいだろ? それとベヒーモス。お前が年上なんだからしっかりしろ」


 そんな空気を呆れた様子のリューヤが壊す。巨大なベヒーモスに向かって説教するまである。


『……ふん。貴様に言われなくとも分かっている。見ていろ、ベヒーとやら。これが四体の中でも最高の攻撃力を誇る俺の、力だ!』


「……やれば出来るじゃねえかよ、いくぜ!」


『俺に命令するな!』


 瀕死状態のテアロドスと、対峙するリューヤとリューヤに幻想世界を託した四体が、今決着の時を迎えようとしていた。

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