表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が隣に住んだ理由  作者: 臥亜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/20

家族の時間

 次の日の夕方。


 ひろは仕事を早く終えて帰ってきた。


 


 玄関を開けると、庭から笑い声が聞こえた。


 


 外を見ると。


 


 子供たちと、えりがいた。


 


 長女と次男が、庭でしゃぼん玉を飛ばしている。


 


 えりが笑いながら言った。


「もっと強く吹くと大きくなるよ」


 


 次男が一生懸命吹いた。


 


 大きなしゃぼん玉が空へ上がる。


 


「できた!」


 


 えりは拍手した。


 


「すごい」


 


 ひろはその光景を少し離れて見ていた。


 


 えりはひろに気づいた。


 


「あ」


 


 少し照れたように笑う。


 


「勝手に遊んじゃいました」


 


 ひろは首を振った。


 


「いいよ」


 


 長女が言った。


 


「パパ!」


 


「うん?」


 


「おねえさんね」


 


「うん」


 


「しゃぼん玉上手」


 


 えりは笑った。


 


「そんなことないよ」


 


 次男が聞いた。


 


「おねえさん子供いる?」


 


 えりは少しだけ止まった。


 


 そして笑った。


 


「いないよ」


 


「じゃあなんで上手?」


 


 えりは少し考えてから言った。


 


「昔」


 


「うん?」


 


「いっぱい遊んだから」


 


 その言い方は、どこか優しかった。


 


 妻が庭に出てきた。


 


「コーヒー入れたよ」


 


「ありがとう」


 


 テーブルに四人で座った。


 


 子供たちはジュース。


 


 えりはコーヒーを飲んだ。


 


「おいしい」


 


 妻は少し笑った。


 


「インスタントだけど」


 


「十分です」


 


 えりは静かに言った。


 


「こういう時間」


 


「うん?」


 


「好きです」


 


 少しだけ空を見る。


 


 夕焼けだった。


 


 長女が聞いた。


 


「おねえさん」


 


「なに?」


 


「また遊べる?」


 


 えりは少し黙った。


 


 でもすぐ笑った。


 


「遊べるよ」


 


 優しく答えた。


 


 ひろはその横顔を見ていた。


 


 えりは子供たちを見ていた。


 


 その目は。


 


 少しだけ。


 


 寂しそうだった。


 


 でも。


 


 とても優しかった。


 


 しばらくして。


 


 えりは立ち上がった。


 


「そろそろ帰ります」


 


 長女が言った。


 


「もう?」


 


「うん」


 


 えりはしゃがんで、二人の頭をなでた。


 


「またね」


 


 次男が言った。


 


「明日も!」


 


 えりは少し笑った。


 


「うん」


 


 そして。


 


 ひろの方を見た。


 


 その目は、少しだけ言葉を含んでいた。


 


 まるで。


 


 何かを伝えようとしているようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ