第4話 「キャンプファイヤー」
林間学校2日目です。
昨夜テントの中で盛り上がりすぎたせいか、 一日中眠かったです。
今日の行動は、 山の中を歩くのと、 キャンプファイヤーというものをするそうです。
山歩きは年取ってからですと結構きついものですが、 由美子の身体は若いだけあって、 軽くて動きやすいですね。
今日なんか、 傾斜がきついところもあったけど、 平気で歩けましたよ。
あ そろそろ 恒例のキャンプファイヤーがはじまりますよ。
キャーキャー
結構みんな楽しんでいるな~
だ だめだな~
キャンプファイヤー始まる前に、 なおちゃんから 「ダンスのとき、 タカシくんとペア組んじゃいなよ」 って言うから、 さっきからタカシくんのこと目で追いかけてしまっている。
「さ~ 次は、おまちかねのダンスだ~! 男女でペアを作って楽しもうぜ!」
レク担当の委員長が叫んだよ~
「お~い 由美子 ペア組もうぜ~」
あ タカシくんだ。私でいいのかな……
「えっ 私でいいの?」
そう言いつつ、 手はもうタカシの手と組んでいた。
「うん 由美子がいいんだ。気心が知れているからリラックスできるしさ…」
ん…… 私もタカシくんとならいいよ。
「もしかして 嫌だった?」
「ううん、私も タカシくんとペアになりたいと思っていたんだ。できれば……」
「できれば?」
ポッ
「ダ ダンスだけじゃなくって、 本当のペアにもなりたいの」
瞬間的に硬直状態になった タカシ……
「ねえ タカシくん、私たち 幼馴染から恋人どうしになれないかな?」
はい 大きく息を吸って 吐いて~ さあタカシくんの一声は……
「ああ なれるよ。だって俺もさ、由美子のこと好きだし まさか両思いだなんて…」
うわー やったね~
タカシくん顔面アップ
「由美子……」
チュ
「タ タカシくん…」
すっかり二人の世界に入っていった二人だったが、 ここは広場だ……
「ヒューヒュー」
まわりから 声をかけられる…
「やるじゃん タカシ! やっぱおまえらお似合いのカップルだ!」
ワイワイ ガヤガヤ……
「うっ すっかりダンス中だったのを忘れてたよ~」
もうやってしまったことは、 既成事実なのだ… (笑)
こうして、林間学校第二日目は過ぎていった……
林間学校3日目です。
楽しかった林間学校も終り、 学校に着きました。
林間学校に行っている間に、 タカシくんと私は公認のカップルになりましたよ。
みんなに冷やかされて、 二人は一緒に家に帰ることになりました。
「ね タカシくん、 手をつないでもいい?」
照れ(笑)
「うん……」
私は、 タカシくんと手をつないで歩いていた。
あと少しで家に着いちゃうな……
ん? あれは、 私になった由美子だ。 家がある団地の上の通路から、 手をつなぎながら歩いているのを見られてしまった!
どうしよう……
「じゃ 由美子、俺このまま帰るからさ、ここで別れよう」
「うん、タカシくん 送ってくれてありがとう」
タカシくんの家は、 ここから少し先の一軒家に住んでいる……
さてと、 由美子にはどう説明しようかな…
由美子になった、 おばあちゃんは覚悟を決めて家に向かった……
「おばあちゃん!」
私になった由美子は、 私を見つけると叫んだ。
「なんなのよ あれは。 手をつないじゃってさ~」
興奮してきた由美子は、 息が荒くなってきた。
「そ それは その~」
まさか、タカシくんに告白して両思いだったということと、キスをしちゃったなんて、言えないし……
「えっ! キスまでしちゃったの? あのタカシくんと?」
あ つい うっかり声に出していたみたいだ。
「ねえ どうなのよ」
もう 開き直るしかないねえ……
「いいじゃないの 好きな者どうしなんだからさ」
プルプルプル状態の由美子……
「よくないわよ。あたしの身体を返してよ!」
私の身体にしがみついてきたと思ったら、 ゆっくりと倒れていった……
「由美子?」
だめだ さすっても、 声をかけても反応が無い……
きゅ 救急車呼ばなきゃ…
ガチャ
「た たいへん 救急車 救急車呼んで!」
奥から、 由美子のお母さんが出てきた……
「キャー!」
倒れている おばあちゃんを見て叫んだ。
「叫んでる 場合じゃないの!」
「え ええそうね、救急車呼ばなくてはね……」
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プルルルル………
ガチャ
「もしもし………」
こうして、私になった由美子は病院へ運ばれていった……
臨海学校での告白劇はありませんでした。
旅館では結構 壁の厚さが薄いのと、ドアの反対側では聞かれるかもしれないですしね。
海は 日焼けした部分が長く残りました。
色は そんなに濃くはなかったですけど。