第2話 「クラスメイト」
由美子になって、 2ヶ月がたちました。
無事中学校に入学した私は、 身体が軽くて腰も痛くなくて、 私の時代には制服が着れなかったけど今では可愛い制服を着ていた。
あれからお互いに自分のことを教えあったけど中学生としてやっていけるか自身がなかった。
でも、 この由美子の身体はちゃんと覚えてくれてたみたい。
体育の授業や、 ごく普通の授業も楽だったし、 普段の癖も自然に出てきて周りには怪しまれることはなかった……
「ゆみちゃん おべんと食べよ~」
「うん」
ここの中学校は、 市立で市内の他の小学校からも来る生徒もいる。
さっき声をかけてくれたのは、 小学校5年から同じクラスだった由美子の友達です。
私はまだ、 小学校時代の由美子のことを言われたりすると少し戸惑うけど、話題がすぐ変わったりするから気にされていないみたい。
「あ~ ゆみちゃんの卵焼きおいしそうだね」
「あっ ひとついいよ」
「ありがと~ じゃあ あたしは、イチゴをあげるね」
昔と比べて、 学校の昼食というものは結構楽しいものね…… と感じていた。
「お~い 由美子! これから試合があるから、 日直頼むぞ~」
「タ タカシくん!? いきなり声をかけないでよ。びっくりするじゃない」
「わるいわるい 由美子がボーっと弁当を食べていたからさ」
「で、 これから 試合するの?」
「そうなんだよ。隣りの中学校まで行って、対抗試合さ」
「へ~ そうなんだ。わかった、やっといてあげるね(笑) そのかわりお礼は、ジュース1本よ」
「わかったわかった じゃ、頼むよ」
タカシくんは、 由美子の幼馴染の男の子です。
小学生のとき、よく由美子の家にきて遊んでいたそうです。
「ね ね ゆみちゃん、仲いいんだね」
「えっ そ そんな…… ただの幼馴染よ」
思わぬ攻撃に、 顔を赤くしてしまった……
「でもさ 幼馴染って結構お互いに好きな人が多いよね」
「そうだね」
「でさ、ゆみちゃんもそうなんでしょ?」
「うん……」
はっ?
「あ~ やっぱりそうなんだ~ ただの幼馴染じゃないじゃん」
「もう なおちゃんたら、ひっかけないでよ」
「いいじゃん 好きなら好きでさ、タカシくんも 好きだといいね」
「うん そうだといいんだけどな……」
私は由美子になってから、 タカシくんを好きになってしまった。
由美子は、好きなんだろうか。
このまま好きになって、 元のおばあちゃんに戻ったら由美子やタカシくんの関係も複雑に……
学校の授業も終って、 由美子の自宅がある団地についた。
あれ? あそこで眺めているのはタカシくん?
「ね タカシくん どうしたの?」
遠くのほうを眺めていた、 タカシくんに声をかけてみた。
「由美子か」
なんか 気落ちしている返事がかえってきた
「どうしちゃったの?」
「実は最後のほうに 試合に出させてもらったんだけど、 負けちまったんだ」
そうか…… 負けちゃったんだ
「練習試合だもん まだ大会まで日があるじゃない。 ミスを克服すれば、 勝てるよ」
「そうだな…」
う~ん どうすればいいんだろう……
ガチャ キィ~
ん?
「あら そこにいるのはタカシくんじゃないの」
ドアが開いて出てきたのは、 おばあちゃんになった由美子だった。
「あ おばあちゃん こんばんは」
「はい こんばんは、タカシくん どうしたの?」
あまり触れられてほしくないのか、気の無い返事が……
「うん……」
一言だけ話して、 タカシは自分の家に帰って行った。
それを見ていた由美子は、少し思いつめた表情をしていた。
「おばあちゃん?」
おばあちゃんになった由美子は問いかけていた……
「う ううん、なんでもないよ。由美子はもう帰るのかい?」
「うん、 おじいちゃんが帰ってくるからね。 早くおばあちゃんの家に行って夕飯の用意をしておかないとね」
「じゃあ 気をつけて行くんだよ」
「わかった~」
由美子になったおばあちゃんは、 ただいま~ っといいながら家に入って行った……
エレベーターの中で、 おばあちゃんになった由美子は考えていた。
なんか、 おばあちゃんの様子が変だったな……
朝は元気だったし~
なんか思いつめるようなことが学校であったのかな……
タカシくんを見つめていたし……
まさか おばあちゃん、タカシくんを好きになったんじゃ……!?
中学校でのお弁当の交換やっていましたね~。
男の子の名前は、幼馴染から借りました。(呼びやすい名前のほうが書きやすかったもので・・・)