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第1話 「不思議な出来事」

 ある団地で起きた不思議な話………


 無事小学校を卒業した由美子のお祝いにきたおばあちゃんと二人でリビングのソファーに座ってくつろいでいた。


 「わぁ おばあちゃんありがとう…… 卒業のお祝いにパソコンなんてすごいよ」


 由美子は、 おばあちゃんからプレゼントされた21世紀最初の最新パソコンを触りながら喜んでいた。


 「そうかい? 最近のプレゼントにしゃちゃあ えらいもんと思わなかったがねぇ」


 お茶を飲みながら孫の喜ぶ顔をボーっと見ていた。


 「ううん やっぱりすごいよ これってさあ~」


 パソコンの初期設定が一通り終り、 由美子はお礼にクッキーを作り始めた。


 「そういや 孝太と玲子さんは、 どこかに出かけたんかえ?」


 粉とバターなど色々ねり混ぜたものを500円玉サイズの丸い大きさに型をとっていた由美子は……


 「うん、 お父さんは仕事に行ってるよ。 お母さんは、 自治会の人たちと一緒に日帰り旅行に行っちゃった」


 ズズーっと、 お茶を飲んでいたおばあちゃんは……


 「そうなの…… じゃあ今日は、夕飯食べてから帰ろうかね」


 おばあちゃんはいつも、 遠くに住んでいるので月に1~3回しか孫の家にこれないのであった。


 「夕飯もあたしが作るから、 食べてってよね」


 由美子は、 おばあちゃんが夕飯まで付き合ってくれることになったので喜んだ。


 そのあと色々と話しているうちに、クッキーが出来あがった。


 アツアツのクッキーを、 あらかじめ少し温めていたお皿の上に盛って、 ソファーに向かった。


 「おばあちゃん クッキー出来たよ。一緒に食べようよ」


 うっすらと焦げ目のあるキツネ色のクッキーをみて……


 「おやまあ! 由美子はクッキーもうまく作れるもんなんだねぇ」


 出来あがったクッキーを一つつまみ、 口へと運ばれていく……


 「あ あたしも食べよっと!」


 甘いものに目が無い由美子は、 同じくクッキーを口へと運んだ……


 そのときだった……



 関東大震災級とまではいかないが大きな地震があり、 防火用に買ってあった消火器が倒れリビングの部屋は真っ白になった……


 「うぇ~ 地震は怖かったけど、 なんで消火器が倒れるのよ~」


 自分も消火器の泡に包まれて白くなって少しパニックに落ちた由美子はそう言いつつ、 顔を拭いたが、 目の前に自分とそっくりな女の子がポカ~ンっと座っていたので驚いた。


 「なっ! なんであたしがもう一人いるのよ」


 声を出して、 由美子は違和感を感じた……


 「こ これは…… あたし おばあちゃんになっているみたい……」


 声を聞いていた、 おばあちゃんは……


 「もしかして 目の前にいるのは、 私の姿をした由美子かえ?」


 若くなったおばあちゃんは、 由美子の声で尋ねた。


 「うん どうやら おばあちゃんとあたし 入れかわちゃったみたい」


 少し困った顔をしながら由美子は言った……


 「しょうがないわねぇ とにかく入れかわったからには、 しばらくこのまま生活してみるしかないねぇ」


 「え~ そんなぁ~ 中学校を楽しみにしていたのに、 このまますごすなんていやよ~」


 残念がる由美子……


 「まあ 入れかわった原因がわからない以上、 やりようがないしねぇ」


 「それは そうだけど…」


 「じゃ そういうことで、 しばらくそういきましょ」


 「うん……」


 なんとなく納得がいかぬまま、 由美子は折れてしまった。


 「そうなると… お互いに名前は、入っているほうを呼んだ方がいいわね」


 「そうだね、お父さんたちに相談できないし、そのほうがいいかも」


 由美子は別に名前が変わることには気にしていないようだった…


 ピンポ~ン! ピンポ~ン


 「ゆみこ~ お母さんよ 荷物があるから ドア開けてくれる」


 突然のドアホンに驚いた二人だったが、 しぶしぶ由美子になったおばあちゃんがドアを開けに行った…


 「きゃあ なにこれ 由美子、 泡だらけじゃないの」


 そう まだリビングルームには、 消火器の泡が撒き散らした状態だったのだ…




 「うんもう 使えなくしちゃって……」


 下手に弁解すると、 最悪の状態になると考えた二人は黙秘権を発動した……


 「ほらほら 片付けるわよ、 お母さんは夕飯食べていくんでしょ?」


 意識がもうろうとしていたおばあちゃんになった由美子は…


 「う うん そうだね……」


 とポツリと言って黙り込んでしまった…

10年以上前に、あるHPで掲載していただいた作品で、各サイトの閉鎖に伴い投稿したもの。

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