第二話:銀山温泉(山形県)
水曜日の正午。
そのお店は多くのお客さんで賑わっていた。ちょうどお昼時である。若いサラリーマンやOL、マダムたちと様々だ。
晴斗はその店で注文を取ったり、料理を運んだりしていた。
彩乃はシェフたちと一緒に厨房で料理を作っている。
「すみません、ふわとろオムライスを二つ」
「ふわとろオムライスが二つですね」
晴斗は注文を受けた後、「ふわとろ、二つ!」と厨房に注文を通す。はーい、と奥から彩乃が返事をする。
「お待たせしました。ふわとろオムライスになります」
出来た料理を晴斗は運ぶ。「ごゆっくりどうぞ」
お昼時ということもあり、お店は忙しかった。
その後も、晴斗たちは昼ピークの運営をこなした。
気付けば、午後三時になっていた。お昼の営業が終わる時間である。
シェフたちが休憩に入る。それぞれがご飯を食べたり、タバコを吸ったり、事務所の休憩室でゆっくりする。晴斗や彩乃も休憩する。
「ねえ、あなた。ちょっと好乃を迎えに行ってくるわね!」
彩乃が事務所で着替えて言った。
好乃は幼稚園にいた。お昼の営業を終えた後、彩乃が娘を迎えに行くことになっていた。
「うん、いってらっしゃい」
晴斗がそう言うと、「じゃあ」と言ってすぐに彩乃は出て行った。
好乃の幼稚園は、そのお店の近くにあった。歩いて十分ほどの所にある。彩乃は歩いて、そこへ向かった。
晴斗はお腹が空いたので、着替えてコンビニへ向かうことにした。
晴斗が事務所でおにぎりを食べていると、玄関で声がした。
「パパ、ただいま!」
好乃の声である。彼女はすぐに事務所に入って来た。
「好乃、おかえり!」
晴斗は娘を抱きしめる。
「パパ、なにたべてるの?」
それから、彼女がそう訊いた。
「おにぎりだよ」
「おにぎり、おいしいそうだね」
「うん、おいしい」
「ねえ、パパ、あそぼう!」
それから、好乃が笑顔で言った。
「遊ぶ? 何して遊ぶの?」
「ボールであそぶ!」
「ボールね。いいよ!」
そのおにぎりを食べた後、晴斗は事務所にある小さなゴムボールを持って好乃と一緒に外へ出る。
お店の外で晴斗たちはそのボールで遊ぶことにした。晴斗はそのボールを軽く投げ、それを好乃がキャッチする。それを何回かやった後、今度、晴斗はそのボールを地面に置き、ボールを蹴る。好乃はそれを追いかけてキャッチする。その後、彼女も晴斗同様に地面にボールを置くと、それを蹴った。晴斗はそのボールを足で止める。
好乃は楽しそうに遊んでいた。晴斗もその時間が幸せに感じていた。
しばらく晴斗たちは遊んでいた。それから、ふと晴斗はポケットのスマホを取り出し、時計を見る。午後四時になろうとしていた。
「好乃、今日はもうおしまいね」
晴斗はそう言って、ボール遊びを中断する。
「えー」
好乃はもっと遊びたそうな顔をした。
「もう四時だから、パパお仕事しないといけないよ。ママと先に帰ってね」
晴斗がそう言うと、「わかった」と彼女は言った。
「ママ~」
それから、好乃は事務所へ行く。そこに彩乃が休んでいた。
「帰ろう!」
「うん、帰ろうか」と、彩乃は笑顔で言った。
それから、好乃たちが外へ出てくる。
「あなた、じゃあ、私たち帰るね」と、彩乃は言った。
「うん、また明日」
晴斗も笑顔で言って、二人を見送る。
好乃が幼稚園に通い始めてから彩乃は夜の営業には出ず、娘をお迎えした後、少しだけお店に寄って好乃をパパに会わせて一緒に遊んだ後、午後四時には二人で帰るという生活になっていった。お店から自宅まで歩いて帰るには時間が掛かることもあり、帰りは電車なのだという。
彩乃は帰った後、好乃をお風呂に入れたり、夕ご飯を作って食べさせたりする。
その間、晴斗は夜の営業をシェフやフロアの従業員たちと一緒に回すのだ。
晴斗が厨房へ行くと、シェフたちが夜の運営に向けて準備をしていた。夜の営業は午後五時から始まる。
晴斗は一度、事務所へ戻る。事務所の机に買い出しのメモを見つけ、買い出しへ行く。シェフたちに一言言って、晴斗は近所のスーパーへ車で向かった。
買い出しを終えると、午後四時四十五分だった。
晴斗はコック帽とエプロンに着替えて、厨房へ入った。夜は晴斗が厨房でシェフたちと一緒に料理の手伝いをする。
料理は二年前に彩乃に教わっていた。
彩乃が作るあの「ふわとろオムライス」も作り方を教わり、晴斗も作れるようになっていた。
そして、午後五時になり、開店する。五時になってすぐはお客さんは入ってこないが、十五分くらいして若い二人の女性組が入って来た。
「いらっしゃいませ!」
と、フロアの女性店員が元気よく挨拶をする。
二人の女性たちは奥のテーブル席に座る。それからすぐに二人はメニューを見る。少しして、女性客の一人が店員を呼んだ。女性店員は注文を取る。
それから、「ふわとろオムライスを二つと白ワインのグラス二つで!」と、彼女が注文を厨房へ通した。
「はいよー」と、晴斗が大声で言う。シェフたちがいそいそと料理を作り始める。
「白ワインのグラス二つ」と言って晴斗がそれを出し、女性の店員がそれをテーブルへ運ぶ。
「ふわとろオムライス、二つ!」
それから、シェフの一人が言った。再びその女性店員が料理を運ぶ。
午後六時になると、続々とお客さんがやって来た。
「六番さん、ふわとろオムライス三つと、生ビール三つです」
女性店員がそう注文を告げる。
「はいよー」と晴斗が返事をして、そのオムライスを作り始めた。
晴斗は手順通り、それをこなす。
――ふわとろにするコツは、火加減と焼き加減が大事なの――
以前、彩乃がそのオムライスの作り方を教えてくれた時に言っていたことだ。
晴斗は彼女の作るのをしっかりと見て覚える。彼女は手際よくこなしていた。もう何百回、何千回と作っているからだろう。とても美味しそうに見えた。
『このくらいになったら、火を止めて』
彼女はそう言って、火を止める。それから、ケチャップライスの上にその玉子焼きを乗せる。玉子焼きを半分くらいのところでナイフを入れる。
すると、中からふわとろっとした半熟の玉子が流れるように出てきた。
「よし!」
晴斗の目の前には、彩乃が作るようなふわとろのオムライスが出来上がった。
うまくいったなと晴斗は思い、つい嬉しくなる。
最後に特製のソースをオムライスの上に掛けたら完成である。
「六番さんのふわとろオムライス、三つ出来たよ!」
晴斗は大声でフロアの女性に言った。
「はーい!」と彼女は返事をして、それを運んだ。お待たせしました、と彼女はテーブルに料理を置いてぺこりと頭を下げる。
その後も、晴斗はシェフたちと一緒に料理をどんどん作る。
夜九時頃になると、お客さんもまばらになってきた。
夜十時を過ぎ、閉店になる。シェフたちは厨房の片付けをし、フロアの従業員たちもフロアの片付けをする。
晴斗は在庫の確認と、当日までの材料の廃棄をする。
片付けが終わったのは、午後十一時である。
「今日も一日お疲れ様でした」
片付けを終えた後、晴斗は全員を厨房に集め、手短に終礼を行う。
「今日も皆さんのおかげでなんとかお店を回せました。いつも本当にありがとうございます。また明日もよろしくお願いします。お疲れ様でした」
「「「お疲れ様でした!」」」
全員が大声で挨拶する。それから、全員が厨房を出て事務所へ向かう。着替えを済ませた人から帰宅していく。
晴斗もその日の仕事を終える。全員が帰ると、電気を消して最後に店の鍵を閉める。駐車場へ向かい、車に乗るとすぐに自宅の高田馬場まで走らせた。
家に着くと、午後十時半を過ぎていた。
「あなた、おかえり」
寝室から彩乃が出てきて言った。好乃はもう寝ていた。
「ただいま」
「ご飯、冷蔵庫にあるから、それあっためて食べてね」と、彼女はあくびをしながら言う。
「うん、ありがとう」と、晴斗は笑顔で言った。
冷蔵庫を開けると、焼うどんがあった。晴斗はそれをチンする。温まった焼うどんを電子レンジから取り出し、それをダイニングテーブルに置く。冷蔵庫から缶ビールと箸を持って席に着く。
晴斗はすぐさま缶ビールを開けて飲む。
「ぷはーっ!」
うまい。仕事終わりのビールは別格だった。
それから、焼うどんを食べる。その焼うどんは出汁が効いていて、美味しかった。彩乃の作る料理は美味いなぁと晴斗はつくづく思う。晴斗はどんどんその焼うどんを食べ、ビールを飲んだ。
食べ終えた後、晴斗は食器を洗う。また明日も早いので、すぐにお風呂へ入り寝ることにした。
それから、翌週の土曜日。
晴斗たちは羽田空港へ来ていた。山形空港行きの飛行機に乗ろうとしていた。
この二日間、晴斗たちは銀山温泉へ行く。三人は楽しみにしていた。
早速、三人はその飛行機に乗る。飛行機は離陸する。それから一時間ほど飛行機に乗り、ようやく山形空港に着いた。
空港に着いて、今度はバスに乗り、そこから一時間ほどで銀山温泉に着いた。
「わー、すごい!」
彩乃がその建物が並ぶ景色を見て感嘆する。
木造三層、四層の旅館が軒を並べていた。そして、新緑が映えていてとても綺麗である。テレビで観たことある景色だなと晴斗は思った。
「すごいねえ!」と、晴斗も思わず声が出た。
そこから少し歩いた所に、その日泊まる旅館が見えた。
「パパ、これ、なんてかいてあるの?」
ふと、好乃がそう訊いた。その建物中央に「木戸佐左エ門」と書かれていた。
「きどささえもん、かな?」と、晴斗は言った。
「きどささえもん?」と、好乃が訊き返す。
「うん。お名前みたいだね」
「おなまえか!」
この木戸佐左エ門という人物は何の人だろうと晴斗は思った。後で、ここの従業員に訊いてみようと思った。
ガラガラと扉を開けて晴斗はそこへ入る。その後、彩乃たちも入った。
「いらっしゃいませ」と、年配の女将が出迎えてくれた。
「こんにちは」と、晴斗が挨拶する。「本日予約している山崎です」
「山崎様ですね。お待ちしておりました。どうぞ、お上がりください」
その女将はそう言って、晴斗たちを部屋へ案内する。
晴斗たちは別館の客室に案内された。そのお部屋は、和室で落ち着いた雰囲気のある部屋だった。
「ごゆっくりどうぞ」と女将は言って、そこから離れた。
早速、晴斗たちは部屋でくつろぐことにした。
三十分ほどゆっくりした後、晴斗たちは温泉へ行くことにした。
大浴場の前に着き、三人は立ち止まる。
「好乃、今回はパパと一緒にお風呂に入る?」
それから、晴斗が好乃にそう訊く。
「え? パパと?」と、好乃が驚くように言った。「入っていいの?」
「うん、パパとも入れるよ」と、晴斗は答える。「それとも、ママと入る?」
「じゃあ、パパと入る!」と、好乃は嬉しそうに言う。
「よし、じゃあ行こう!」
晴斗はそう言って、男湯の暖簾を潜る。好乃もその後について行く。
彩乃はニコニコして二人を見送った後、女湯の暖簾を潜った。
男湯に入った晴斗と好乃は、早速、自分たちの服を脱ぐ。好乃はまだ自分で服を脱げないので、晴斗は彼女の服を脱がせた。それから、晴斗はミニタオルを持って、好乃と一緒に大浴場へ入った。
中に入って、晴斗は大浴場のお湯を桶で掬い、自分の身体に掛ける。ちょっと熱いかもしれないと思い、晴斗は好乃にシャワーでぬるめのお湯を掛け流した。
そして、晴斗はお湯に浸かる。その後、好乃は手前の段差のところにゆっくりと身体を沈めた。
「はー、気持ちー」
晴斗は温泉に浸かると、思わずそう声を漏らした。
「あついよ!」
それから、好乃がそう訴える。
「熱かったら、出てシャワーで身体を冷やしていいからね」
晴斗がそう言うと、「わかった」と彼女は言い、「でも、きもちいいね!」と笑った。
少しして、外に露天風呂があることに気付いた晴斗は今度そこへ行ってみることにした。
「好乃、もう一個、お風呂に行こう!」
晴斗がそう言うと、「もういっこ?」と、彼女が訊いた。
「うん、外にあるみたいだよ」
そう言って、晴斗はそのお風呂を出る。外へ出る扉から露天風呂に向かった。
「はー、すずしい!」
外へ出ると、好乃が言った。外は涼しかった。
「涼しいね」と、晴斗は頷く。
そして、晴斗は露天風呂に入った。
「熱くない?」と、好乃が訊く。
「少し熱いけど、大丈夫だよ」
晴斗がそう言うと、好乃は頷いてそこへゆっくりと入った。
「あつ!」
そこに入って好乃が言う。
「ちょっとね。ゆっくり入ってごらん。気持ちいいから」
晴斗がそう言うと、好乃はゆっくりとその露天風呂に浸かった。
「ふー、きもちいい」
だいぶ慣れてきたのか、彼女はそう言った。
「ねー、気持ちいいでしょ?」
「うん」
「ねえ、パパ。ここは、みずぶろないの?」
それから、好乃がそう訊いた。
「ここは、ないみたいだね」
晴斗がそう言うと、「えー、よしの、みずぶろはいりたかった」と、彼女は残念そうに言った。
「そっか。……でも、ここはお風呂が二つだけみたいだから、好乃さん、全クリです!」
それから、晴斗が笑顔でそう言うと、「よしの、ぜんくり! やったー!!」と、彼女ははしゃいだ。
「パパ、もう熱い。もう出ていい?」
少しして、好乃がそう言った。
「うん、出よっか」と、晴斗は言う。
最後に晴斗たちはシャワーで身体と頭を洗い、温泉から出た。
タオルで身体を拭き、着替える。晴斗は自分がドライヤーをした後、好乃の髪も乾かした。
「喉渇いた!」
お風呂を出て、好乃がそう言った。晴斗も何か飲みたかった。
「冷たい物でも飲もう!」
ロビーに自販機があった。そこで瓶の牛乳とコーヒーがあったので、一つずつ買った。
好乃は早速、その牛乳を飲む。それ飲んで彼女はぷはーっと息を吐いた。
晴斗もコーヒー牛乳を一気に飲む。ぷはーっと晴斗も息を吐く。
二人で飲み物を飲んでいると、ちょうど彩乃がお風呂から出てきた。
「あー、いいなー」
彼女が晴斗たちの所に駆け寄って来て言った。
「あ、ママもニューニューのむ?」と、好乃が自分の飲んでいる牛乳瓶を母親に手渡した。
「好乃、ありがとう。いただきます」
彩乃は彼女にお礼を言ってそれを飲んだ。
「うーん、おいしい!」と、彩乃は好乃に微笑んだ。「好乃、お風呂気持ち良かった?」それから、彩乃が彼女に訊く。
「うん、さいこうだった!」と、好乃は満足げに言った。
「そう。良かったね!」
彩乃は笑顔で応える。
「ゆっくりできた?」
それから、今度、晴斗が彩乃に訊いた。
「うん、一人でゆっくり長風呂が出来たよ」と、彩乃は笑顔で言った。
「そっか。それは良かった。部屋に戻ろうか」
晴斗はそう言い、三人は部屋へ戻った。
それから、三人は部屋でのんびりと過ごす。
夜六時頃、部屋の扉がノックする。
「失礼いたします」と、二人の女将がそこへ入って来た。「お夕食をお持ち致しました」
女将はそう言って、夕飯の会席料理をテーブルへ運んだ。もう一人の女将も同じように料理を運ぶ。三人分の料理を運んだ後、「お飲み物は何になさいますか?」と、女将の一人が訊く。
「何がありますか?」と、晴斗は訊いた。
「瓶ビールに、烏龍茶、それから、オレンジジュースがございます」
「それじゃあ、瓶ビールを二本とオレンジジュース一本で」
「かしこまりました」
それから、瓶ビールを二本と瓶のオレンジジュースを一本持って来てくれた。
「一時間後にまたお伺いします。ごゆっくりどうぞ」
女将の一人がそう言って、二人は部屋を出る。
「じゃあ、乾杯」
晴斗はグラスを持って言う。彩乃もビールグラスを持ち、好乃もオレンジジュースのグラスを持つと、三人でグラスを鳴らした。
三人はそれぞれ飲む。晴斗や彩乃はビールを飲んで息を吐く。好乃もオレンジジュースを飲んで、はー、と息を吐いた。
その会席料理は美味しそうだった。お肉は山形の尾花沢牛という牛の肉らしい。それから、鴨肉もあった。
三人はそれぞれの会席料理を食べた。どれも美味いと晴斗は思った。料理を食べながら、ビールを飲む。晴斗はとても幸せに感じた。それから、晴斗は二人の方を見る。二人とも美味しそうにその料理を堪能していた。
ご飯を食べ終わると、三人はテレビを観ながらゆっくりしていた。
七時頃に先程の女将がやって来て、食べたものを片付けてくれた。
「あの、そういや……」
晴斗は片付けをしている女将に声を掛ける。
「はい? どうなさいましたか?」
「あの、外の門の看板に名前があるじゃないですか? 木戸……なんとかって」
「木戸佐左エ門ですか?」
「きどさざえもん……。その方って、どなたなのかなって?」
晴斗がそう訊くと、女将は笑顔で答える。
「木戸佐左エ門は、銀山開拓の祖といわれております」
「銀山開拓の祖ですか」
「そうです。昔、一六世紀にこの辺の銀山川上流に銀鉱山が開かれまして、その後、銀山温泉が開かれたと言われているんです」と、女将は説明する。
「へー」
「その木戸佐左エ門は、一六六七年石川県七尾市から銀山川沿いの延沢銀山という所へ銀を採掘に来ていた山師でした。その頃、すでに銀山温泉は発見されていて、その二年後に銀山が閉山された後も、彼はこの地に留まったとされているようです。因みに、ここが能登屋ですが、それから二〇〇年以上も後、一八九二年の創業なんです。創業時の館主は「木戸佐左エ門」と襲名したそうです。そして、今では一七代目になるわけです」
「十七代目!」と、彩乃は驚く。
「へー、そうなんですね」と、晴斗が頷いた。
「はい。それと、旅館名の能登屋というのは、初代・木戸佐左エ門の出身地から命名したと言われております」と、女将は話した。
「なるほど」
「あ、お客様、こちら片付けた後、すぐにお布団を敷かせて頂いてもよろしいですか?」
それから、女将がそう晴斗たちに訊いた。
「ああ、お願いします」と、晴斗は言う。
「かしこまりました」
女将はすぐに片付けを済ませる。それから少しして、別の女将がやって来て三人分の布団を敷いてくれた。
その後、晴斗たちは布団に横になり、ゴロゴロとしながら過ごしていた。
気が付くと、好乃は眠っていた。
晴斗は少ししてから温泉に入った。温泉から戻ると、彩乃ももう寝ていた。
晴斗も横になる。気が付けば、晴斗も眠りについていた。
朝七時半に晴斗は目が覚めた。それから、八時半頃に、好乃と彩乃が起きてきた。三人は朝風呂へ行くことにした。好乃はママと入るらしかった。
朝風呂を出て九時になると、女将が朝食を部屋へ持って来てくれた。
朝食は和食の定食である。晴斗たちは朝食を食べた。
朝食を食べ終えて、三人は身支度を済ませ、午前十時前にチェックアウトをする。
バスに乗り、晴斗たちは空港へ戻る。それから、飛行機で羽田へと帰る。
ふと晴斗は今回の旅行を思い出す。銀山温泉も良かったなと晴斗は思った。その後、次はどの温泉へ入ろうか、と考える。