GAME OVER…?
俺はウサギの大群と対面していた。討伐数は数えていない。というか視界右上にカウンターがあるため数える必要が無いのだ。(100匹と書いてあった)このウサギ共の素早い動きにより翻弄され、数の暴力で俺に高速の蹴りを仕掛けてくる。無骨な短剣でそれらを対処するには中々骨が折れたが70回以上のリテイクからある程度の動きの予測がついた。
「プギィ!」
そして今、最後の1匹の首元に短剣を刺し、長い戦いに終止符を打った。
「うおぉぉぉぉ!!完!全!クリアじゃあああ!」
今までの話はゲームの中の話。技術の進歩によりフルダイブ型VRゲームが一般的に普及し、様々なゲームがリリースされた。MMOやアクションゲームだけでなくギャルゲーなんかもVRの時代では最近は非VRのゲームをほとんど見ない。swi〇chが出れば3〇Sでソフトが出ないようなものだ。
俺はVR初心者用とは思えない鬼畜ゲー『VRゲーム初心者用アクション講座』の裏面を2ヶ月掛けて完全クリアしたのだった。
「なんでギミックボス、武術の師範代の後のラストステージが大群なんだよ…それまでの講座の意味無かったじゃねぇか…評判通りの鬼畜ゲーだったな…」
ヘッドギアを取り冷蔵庫に常備しているパックのコーヒー牛乳を飲みながら文句を垂れ流す。
だが気分は晴れやかだった。
「だが、これで叶奏に押し付けられたゲームが終わったしアイツのやってる『SMO』に合流できるな」
最初は無名のゲーム会社から出たゲームだったが今やユーザー数1000万人超えの日本が世界に誇るゲームとなった『スキル・マジック・オンライン』。通称『SMO』。スキルや魔法を駆使し世界を旅するMMORPGだ。プレイスタイルは千差万別十人十色。どんな自分にでもなれる。
そして叶奏とは俺の幼馴染でありゲーム友達だ。よく一緒にパーティを組んだりするのだが2ヶ月前に例のゲームを押し付けてアイツはいつの間にかSMOを始めてやがった。
[例の鬼畜ゲークリアしたぞ
今そっち行くから首洗って待ってろよ]
[マジで?師範代に勝ったの?俺はドゥレインにいるから早く来いよ]
SMOにはモンスターやダンジョンがある「フィールド」とNPCが住む安全エリアの「街」があるらしい。調べてみるとドゥレインとは第3の街だそうだ。
[師範代の次にウサギも居たぞ]
一見すると意味が分からないメールをしてスキマジを買う為に父が経営しているゲームショップへと足を運ばせるのであった
「父さん?SMOって売ってる?」
「ん?スキマジなら入荷したばっかりだが、お前散々文句垂れ流しながらやってたゲームはクリアしたのか?積みゲー増やすとろくな事にならないぞ?」
「あぁ!バッチリな!そしてもう二度とやらない。ウサギはもう懲り懲りだ。」
「そうか。いくら夏休みだからってのめり込み過ぎるなよ。今日から8月なんだから。」
「大丈夫!早く叶奏に追いつく為にもやり込むぞー!今日は徹夜だな!」
「話聞いてるか?まぁいい。ほれ。」
どんなスキル構成で進めるか考えながら歩いていると後ろから声をかけられた。
「あ!なぎ君!そんな嬉しそうな顔してどうしたの?」
声の主はもう1人の幼馴染である五十嵐蓮だった。他のゲームで俺と叶奏との3人でパーティを組むほどのゲーマーだ。
「いや、新しいゲームを買ったんだよ。スキル&マジック。知ってるだろ?」
「知ってるどころかやってるよ!今は叶奏と同じクランでパーティ組んでるんだ!今ドゥレインなんだけど…今日から始めるってことは始まりの街からだよね?迎えに行く?また3人でパーティ組もうよ!」
「いや、ドゥレインまではソロでやってくよ。そっちはチビチビ進めときな。速攻で追いつくからよ。これでもVRでの身のこなしには自信があるんだ。」
「そう?じゃあドゥレインで待ってるね!」
そんな会話をしつつ歩いていると視界の端、遠くの方でとてつもないスピードでこちらに近付いて来るものが見えた。それが車だと認識した瞬間、反射神経で全身の筋肉を無理やり動かし蓮を突き飛ばした。
ブレーキの甲高い音とタイヤと地面が擦れる不快な音。まさしく『死』の鳴き声が響き渡る
これがシステムアシストを頼ったVR世界ならば突き飛ばした後に避けられたのかもしれないが生憎ここは現実世界だ。迫り来る車に反応し避けるのは不可能だった。
瞬間、俺の体に2度の衝撃が走った。1回目は車に体がぶつかった衝撃、2回目は吹き飛んだ俺が地面にぶつかった衝撃。
(体が動かない……蓮は…無事……蓮に救急車を呼んでくれればもしかしたら……)
眩む視界の端に蓮の姿を確認し救急車を呼んでもらうよう頼む
「れ………きゅ…しゃ………。」
声がうまく出ない。すると蓮が泣きながらこちらに駆け寄ってくる。
「霊柩車なんて言わないで!まだ死んじゃやだよ!!」
…………言ってない
この言葉を口に出せないまま俺の意識は堕ちていった。最期に見たのは黒い翼の生えた人型が近付いてくる光景だった。
主人公(渚)過去にネカマしていたことがある
叶奏(友達)クリア出来ないゲームを片っ端から渚に投げている
蓮(幼馴染) 渚が好きだが主人公はアホなので気付かない
主人公父 今の所名前は無い
この世界は吸血鬼とか雪女とかがいる世界です(とても珍しい)
座右の銘は設定は付け足すもの