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第33話 おじさんたちはショッピングを続ける。

入ったアクセサリーショップは青を基調に作られている店だった。

海が近いからだろう。


中で売っている物はいろいろあった。

ピアスやキーホルダーの類、海洋生物の人形や貝殻で作られたハンドブレスなど。

彼女たちも店内に入り物色しだした。


俺も店内にあるものに目を通す。

やはりというべきかそこまで惹かれない。

先ほどの武器屋の方がどきどきと興奮した。

だが、この時間もよいものように思う。


武器を見ているときはどうしても戦闘のことを考える。

この武器を使ってどう攻撃するべきか。

避けられた時のモーションは、など。

だが、24時間365日そんな血なまぐさいことを考える必要はないはずだ。

俺は剣や魔法を磨いたがそれは決して戦闘だけを楽しむ戦闘狂なわけではない。


このアクセサリーなどを見ているときには闘いのことは考えなくていい。

どれが似合うかな、という平和なことを考えている。

ここのところ血生臭い事ばかりだった。

こういう平和な時間はとても貴重だ。


「師匠、私はこれが欲しいのですがよろしいでしょうか?」


ジェルが欲しいものをもって俺のところにやってきた。

それは砂時計だった。

片手ほどの大きさのあまり大きくはない砂時計だ。

ガラスの中に入っている砂には小さな貝殻やサンゴらしきものが入っている。

よくよく見るときらきら光っているようにも見える。


「なんだか砂が光っているように見えるけど、これは?」


「ああ、この中には砂金が入っているんですよ。

その影響ですね」


なるほど、そういうことか。

金が入っているということはかなり高いのでは。

そう思いつつ値札をちらりと確認する。


おっ、1万ヌーロか。

思っていたよりも安いな。

いや、砂時計にしてはめちゃくちゃ高いんだが。

金が入っているというからもっと高いものだと思い身構えてしまった。


「やはり、高いでしょうか?」


ジェルが不安そうに聞いてくる。

彼女もこれが砂時計にしては高い、とわかっているのだろう。

確かに砂時計にしては高い。

だが、俺たちの思い出の品だと思えば安いぐらいだ。


「いいよ、買おうか」


「ありがとうございます!」


そう言って彼女は俺に頭を下げた。

それに、この金は俺だけの金じゃない。

3人で協力して稼いだお金だ。

そのお金を彼女たちが欲しいと言っている物を買うのに使わないのは違うだろう。

そりゃ、数百万ヌーロとかだったらさすがに勘弁してほしいが。

多少のわがままだったら聞いてやらねばなるまい。


クロは何を買うのか決めたのかな、と思いクロの元へ行く。

彼女は売り物が並んでいる棚の前で何やら悩んでいる様子だった。

ちらりと彼女が迷っている品物を見てみるとキーホルダーとペンダントで悩んでいるようだった。

どちらも宝石が埋め込まれている。


「クロ、かなり迷っているみたいけど何だったらどっちも買っていいんだよ」


値段を見る限りどちらもそこまで高くない。

二つ合わせて買っても4000ヌーロぐらい。

ジェルの砂時計の方がこれら二つ合わせた値段の倍より高いぐらいだ。


「ん。じゃあ、これで」


彼女はペンダントを選んだ。

黒と青と黄、それぞれの宝石が埋め込まれたペンダントを3つ。


「ん?なんで3つ?」


「……思い出の品なら全員分合った方がいいと思って、ダメ?」


上目づかいで聞いてくる。

確かにそうだ。

思い出の品、と言うなら全員分会った方がいいに決まってる。


「いや、いい考えだと思うよ。

それじゃ、会計に向かおうか?」


「おじさんは買わなくていいの?」


「俺?俺かぁ」


確かにジェルとクロも選んだのに俺だけ選ばないというのもおかしな話だ。

俺も記念品となるものを選んで買う方がいいだろう。


「何か買おうか」


ふむ、何にしようか。

指輪、は重すぎるな。

ペンダントはクロが選んだし、他の小物を適当に見繕うか。

お、これは良さそうだな。


「じゃあ、俺はこれで」


俺は革財布を選んだ。

バジリスクの革を用いているそうだ。

これを3つほど購入することにする。


「わ、私の砂時計も3つ購入でお願いできますか」


ジェルもどうやら3つ購入するようだ。

まぁ、話の流れ的にジェル1人だけの砂時計というわけにもいくまい。

俺達はそれをレジに持っていき購入する。


「全部合わせて5万ヌーロになります」


うっ、こうやってみるとかなり良い値段だ。

俺は一万ヌーロ金貨を5枚払い会計を終える。

そして、アクセサリーショップから出る。


「今度はどこに行こうか?」


「私は特にないですね。

師匠はどこかに行ってみたい、とかあるんですか?」


「えっ、う~ん、特にないかも」


改めて言われると特に行ってみたい場所などは思い付かない。

生前でもあまり外に行くことに積極的でなかったし、アウトドアなことに詳しくない。

この世界の娯楽と言えば、射的や食事、賭博、娼館などだ。

射的は得意ではないし食事はさほど腹も空いていないのでいい。

賭博や娼館は2人ともあまり良い顔をしないだろう。


「私……温泉に入ってみたい」


クロは銭湯の前に立ち止まってそういう。

そういえば、ここ最近は湯の張ったお風呂に使っていなかったな。

この世界で大量の水を用意することは大変である。

ライフラインがそこまで整備されていないからな。


そのため、個室に風呂が付いているということはめったにない。

大浴場のような大勢で入る風呂が一般的である。

騎士団の寮でも事実そうだったからな。

それでも大浴場のようなところがある場所は限られているぐらいだ。


「じゃあ、ここで入るかい?」


「ん」「いいですね。疲れも癒せるでしょうし」


「着替えを持ってきてないからひとまず宿に帰って荷物を盗ってから戻ってこようか」


そう言って俺達はいったん宿に戻り着替えを取った。

そして、そのまま銭湯に向かった。

大浴場は当然のことながら混浴である。

男性と女性で分けるとその分風呂も作らないといけないからコストがかかるからな。

俺達は服を脱ぎ、ロッカーの中にいれる。


俺はちらりと裸になったクロの方を見る。

決してやましいことがあるわけではない。

ただ、彼女の傷の具合がどうなっているのかな、と思ったからだ。

傷はかなり良くなっていた。

長年痛めつけられていた影響か、まだ残っている部分もあるが青タンなどはもうほとんどなくなっている。

これもジェルがクロのことを夜な夜な頑張って癒しているからである。


ガラガラ。

扉を開けて風呂の中に入る。

ここは海が近いので、みんな砂浜などに行って海を楽しんでいるから人数は少ないだろうと思っていたが、意外にも先客はかなりいた。


俺はタオルをとり石鹸とお湯をつけ泡立てていく。

ジェルも俺と同じように泡立てクロも泡立てていく。

騎士団にいたときに大浴場自体には何回か入っているので、これぐらいにはちょちょいのちょいだ。

そのまま、お湯を掬い体の泡を洗い流して風呂につかる。


ああ、やはり何度使っても風呂は良い。

風呂につかるとこの世の苦痛から解放されたようなそんな気分になる。

ジェルやクロも体の大事な部分をタオルで隠しつつ入浴する。

彼女たちも非常にリラックスしているようだ。


ふと視線を感じたような気がしたので周りを見る。

男たちが全員ジェルとクロの方をちら、ちらっと見ている。

ああ、やはりどこの国でも彼女たちの美貌は通じるのだ。

全く、自分に向けられているはずないのに自意識過剰すぎだな、俺は。

彼女たちと一緒に居て自分の容姿が優れたはずないのに。


「ん?」


風呂の隅に木製の小さな個室があった。

ひょっとしてあれは……

俺はお湯から上がりその個室のドアを開ける。

その瞬間、風呂に入った時の熱風とは比べものにもならないほどの熱い熱風が中から出てくる。


やはり、サウナか!

こっちの世界にもあったのか。

騎士団の寮にもなかったし今まで見たことがなかった。

中にはすでに何人かの人が座っている。


「おい、あんたそこのドアを閉めてくれ。

熱気が逃げちまう」


1人のおっさんが俺に声をかける。

おっさんと言っても俺と同年代ぐらいなのだろうが。


「あ、ああ」


俺は言われるがままにドアを閉め、中に入る。

そして、木製の椅子に腰かける。

それにしても、自ら熱さを求めるなんて。

やはり、この道のプロの方々は面構えが違う。


俺を追ってジェルとクロも入ってくる。

彼女たちはサウナの存在を知らなかったのか、あまりの熱さに顔をしかめている。

だが、ジェルとクロも俺が入っているのを確認して入ってきた。


「師匠、なんですかここは?

この異常なまでの熱さ。

先ほどまでの風呂とは比べ物になりませんよ」


「まぁ、そう言わずに汗をかくということを楽しんでご覧。

そのうち、気持ちよくなってくるから」


「気持ちよく、ですか?」


「ああ、そうだよ。

まぁ、しばらくすればわかると思う」


彼女たちも俺の言葉を聞きいることを決めたようだ。

それから数分が経った。


「はぁ、はぁっ」


「んっ、はぁっ」


彼女たちもかなり限界に来ているようだ。

というか、彼女の呼吸一つ一つが扇情的で男たちはみな退出してしまった。

残っているのは俺達と一部の女性達だけだ。

ここら辺で、上ろうかなと思っているとクロが尋ねる。


「もうっ、上っちゃダメ?」


眼を若干うるませながら聞いてくる。

俺の中の嗜虐心が刺激され、サウナから出る時間が延長される。


「もう少しだけ、頑張ってみようか。

そうしたら、もっと気持ちがよくなるよ」


「ううっ、なら頑張る」


っ可愛いなぁ、この子は。

顔を赤くしながら頑張って耐えるクロ。

呼吸を荒げて必死になっているクロ。

おじさんじゃなくても女の人だって彼女のことをかわいいって思うはずだ。

そんなことを思っていると隣でばたっと言う音がしてジェルが倒れた。


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