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第21話 おじさんはセントラル大陸につく。うげおぼぼぼぇぇぇ

 翌日はいつも通り朝早くに起きる。

 そして、軽くランニングをしてから部屋に戻る。

 いつもなら、2人はまだぐっすり寝ているのだが、もう起きている。

 集合時間が7時であることを考えると少し早い気もするが、早いに越したことはない。

 昨日買っておいた食事を食べることにする。


 もぐもぐ。

 買ってきたご飯は、まぁそこそこの味だった。

 それと、温かい食事を心がけるようにした。

 同じご飯でも、あったかいか冷たいかだけで美味しさが全然違うように感じられるからだ。

 前世では冷たいまま食べてあったかいご飯が恋しくなったことがある。

 なので俺の火魔法で軽くあぶり、それを彼女たちに食べさせている。

 食事が終わったら荷物整理をして、出発した。


 約束の場所に到着した。

 少し早かったと思ったが、フィリップさんはすでにもうその場所にいた。

 そして、俺の方を見るとそそくさと寄ってきた。


「3人とも支度はできたんですか?」


「ああ、はい。

 今回はよろしくお願いします」


「はい、こちらこそ」


 そう言ってから、俺たちは今回乗る船のところへ行った。


「こちらになります」


 フィリップは今回乗る船を見せてくれた。

 おお、なかなかの大きさだ。

 大体全長30メートルぐらいだろうか。

 真っ白な帆が張っており、マストは前と後ろの二本。

 木で作られているようで、全体は茶色だ。

 今も出航の準備をしているようで何人かの人が甲板の上でせわしなく動いているのが見える。


「これは……圧巻ですね」


「すごい」


 2人ともあっけにとられている。

 俺も姿形は前世で何回も見たことはあるが、この世界で乗るのは初めてだ。

 それに木製の船には前世合わせても今まで一度も乗ったことがない。

 耐久性に多少の不安はあるが、この世界ではこれが標準的な船なのだろう。

 周りを見てもその多くは木製である。


「私はここまでです」


 フィリップはそう言って今回乗る船の手前で立ち止まった。

 まぁ、それはそうだろう。

 彼はオーナーであって決して船長ではない。

 そんな彼がわざわざ俺たちと同じ船に乗る必要はない。


「何から何までありがとうございます。

 お金はいつ払えばいいんでしょうか?」


「セントラル大陸についてからで構いませんよ。

 船長にも話は通してありますから、ご心配なさらずに」


「わかりました。それでは」


「ありがとうございました」「ん、感謝」


 ジェルとクロも彼に感謝の意を述べる。

 そこで彼との会話を終え、手を振り俺達は船の方に行く

 俺たちは船の甲板とつながっている階段を上る。

 キシキシトわずかに音を奏でているので、不安になる。

 大丈夫だと自分にい聞かせつつ船の上まで来る。

 甲板から先ほどまでいた街を見渡す。


「これはいいね」


 多くの建物と同じくらいの目線になっていた。

 同じ風景のはずなのに、先ほどまでとはずいぶん違うもののように感じられる。

 視点1つでこうも違うものなのかと驚かされる。

 上から見ると、人がごみのよう……には見えないな。

 そこまでの高さはないからだろう。


 みると俺たち以外にもほかの人々も船に乗り込んできている。

 そろそろ出航の時が近いのだろう。

 ジェルとクロはというと俺と同じく風景を見て自分たちがいた宿はどこだとか、遊んでいた海岸を見ていたりしていた。

 しばらくすると、船長らしき人も乗り込んできた。


 肌は褐色で中肉中背の俺と同じぐらいの年だろう。

 白い帽子をかぶっており葉巻を加えている。

 ザ・船長という感じの人だ。

 一見強面だが、ちらちらと船員の方を確認しているあたり、実は仲間思いのよい人であることがうかがえる。

 そんな風に観察をしていると何やら話し始めた。


「ええ、皆さん初めまして。

 今回の船の船長を務めさせてもらうボエルといいます。

 セントラル大陸につくまでに4,5日かかると思いますがその間はごゆるりと楽しみください」


 そう言ってから、船長は船員の方を見る。

 ぐらッとやや揺れたかと思うと船が動き始めた。

 どうやら、出航のようだ。

 俺は甲板からどんどん離れていく陸の様子を見る。


 そして、前を向きどこまでも広がる海を見る。

 おお、なんか年甲斐もなくワクドキしてきた。

 どこまでも広がり日光を反射してキラキラしている海。

 青く、雲が全くない青空に浮かぶ太陽。

 そんな大海原に仲間たちと一緒に船で行く。

 何とも冒険が始まるにふさわしいシチュではないか。

 今、俺の伝説は真の意味で始まる!!、みたいな。




「おぇぇぇ、うげぇ」


 甲板から身を乗り出して俺は吐き出す。

 キラキラとしていない吐しゃ物が海にぼちゃぼちゃと落ちていく。

 体に雨と暴風が打ち付けられる。

 体中が雨に濡れてびちゃびちゃだ。

 そして、またぐわんと船が傾く。

 そのとたんに俺の胃がまた反応して吐き出す。

 ちらりと右を見るとクロも吐き出している。


「おげぇ、ぽげぇ」


 彼女がはいたものも海にぼちゃぼちゃと落ちる。

 俺達だけではない、船に慣れていないであろう人は一列になりみんな俺たちと同じように甲板から身を乗り出して吐き出している。

 なので、船の周りは割と吐しゃ物だらけだ。

 と言っても船も進んでいるし、海流のこともあってかすぐに自分たちの穿いたものは見えなくなる。

 だが、その時はまた吐き出したくなっている。

 吐いては流されて吐いては流されて……

 この繰り返しだ。


 だが、慣れている人間はこの程度どうということもないのか、何人かは昼寝をしている。

 ジェルもまたその中の一人だ。

 彼女は何回か船での旅を経験している。

 なので、この船の揺れにも慣れているのだろう。


「じぇ、ジェルは大丈夫なのかい?」


「ええ、まぁ。

 それよりも師匠こそ大丈夫ですか?

 かなり顔色が優れないように思えますが」


「いや、かなりきついね。

 それよりも、この状態を何とかする薬とかはないのかい?」


「ありませんね。

 治癒魔法をかければ多少は気分は良くなるとは思います。

 ですが、また船が揺れたら再び気分が悪くなります。

 なので、一時的な対処にしかなりません」


「そ、そうかい、う、ぼえぼえっぇぇぇ」


 もうかなり吐いたのであまりはけるものが残っていない。

 のどが痛い。

 おそらく、胃酸のせいだな。

 体も重く、倦怠感がいつもとは段違いだ。

 なんでこうなったんだっけ。

 そう思い俺は船旅のことを思い出す。


 確か初日は青空だったんだ。

 気分よく進んでいて順調で夜まで楽しかったのを覚えている。

 だが、この夜の間に出来事は起こった。

 突然、天候が変わったのだ。

 見る見るうちに雲に覆われていき、雨が降り出し、風も吹き始めた。


 それぐらいで済むのであればよかったのだが、次第に波もうねりだした。

 そして、船体が動き始めてからは地獄だった。

 吐き気を覚え、嘔吐する者が続出。

 そして、現在に至るというわけだ。


 今はちょうど2日目の9時ぐらいのはずだ。

 にも、関わらず太陽は出ておらず空を覆っているのはどす黒い雲。

 そして、雨のせいで体はびしょびしょ。

 中に入って体を乾かしたいところだが、中で吐くのはさすがにマナー違反だろう。

 そう思っているからこそみんなも海に向かって吐いているのだから。

 そこで俺だけが吐くというのは自分勝手というものだ。


「はぁはぁ」


 少し落ち着いたところで俺は口元についていた唾液をぬぐう。

 まさか、自分がここまで船酔いしやすいとは思わなかった。

 前世でも何度か船に乗ったことはあるが、こんな吐き気は覚えなかった。

 まぁ、この世界と前世とでは揺れが違いすぎるというのもあるだろうが。

 とにかく、2日目はそうして何度も嘔吐しながら耐えた。


 3日目はまた晴れて比較的穏やかな波だった。

 手早く濡れていた服などを乾かして、干しておく。

 そして、ここぞとばかりに昨日船酔いして寝れていなかった面々は爆睡した。

 丸々一日、睡眠に当てたおかげで次に目が覚めた時は非常に体が楽になっていた。


 そして、4日目。

 ついにセントラル大陸が見えてきた。

 途中で暴風に見舞われた割には早い到着だったように思う。

 早く、早く、どっしりとした陸に足をつけたい。

 このころになると無性に陸地が恋しくなっていた。


「それでは、降りる前に船の代金を払ってもらいます。

 皆さま、ここで一列になってください」


 陸が見えてきたあたりで船長が声をかける。

 おそらく、陸に到着したらいくらでも逃げる手段があるからだろう。

 この船の上であれば逃げる場所はなく、払わずに逃げられるということもない、ということだ。

 そういうと皆、船長の前に並びだす。

 そして俺たちもその列に並ぶ。


「はい、次の人」


 そう言われて俺たちの順番が回ってくる。

 言わなくては。

 俺たちは3人で100万ヌーロでいいんですよ、と。

 とはいえ、それを大声で言って周りの人間にいちゃもんつけられても困る。

 ここは小声で言うべきだろう。


「あのすいません。

 俺たちオーナーを助けたお礼で3人で100万ヌーロでいいと言われているんですが……」


「ああ、あんた達か。

 中年のおじさんに美しい女性二人……

 はい、確かに。

 話は聞いていますので100万ヌーロで結構です」


 そう言われて俺は10万ヌーロを袋から10枚取り出す。

 そして、店長に渡してその列から去る。

 しばらくして、全員払い終えたようだ。

 陸の近くにイカダを下ろし階段を陸につけ、乗っていた人々は降りる。

 俺達もおりて、地面に足をつける。

 セントラル大陸に到着!

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