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第19話 おじさんは観光する。港町も悪くないねぇ

「怪しいですね……」


 フィリップが完全に見えなくなったタイミングでジェルがぽつりとつぶやいた。

 それに対してクロも同意するような顔だ。

 俺だけが話をうまく理解していないようだ。

 なの、で俺は尋ねてみる


「どういうことかな?」


「どういうことも何もタイミングが良すぎるんですよ。

 私達が船の費用について少し困っていた。

 すると、偶然にも船をいくつか持っているオーナーの人が師匠の前でボコられていた。

 師匠がそれを助けて仲間には偶然にも治癒魔術の使い手がいた。

 彼は恩返しがしたい、と言って私たちが今この状況で一番欲しているものを用意した。

 何らかの意図が絡んでいる、とみるのが妥当ではないでしょうか?」


 なるほど。

 確かに説明されたら……

 っていやいや、さすがにそれは違うでしょ。


 ここら辺は王都と違って治安も悪い。

 必然的にああいった喧嘩の発生率は高い。

 なので、俺が喧嘩に合う確率も高くなる。

 それに治癒魔術師がいなければ、医者の所に見せに行くなり、何なりしていただろう。

 そして、その時彼は「恩返しがしたい」というだろう。

 ゆえに、これは偶然の確率が高い。


「さすがに考えすぎじゃないかな?

 たとえ、喧嘩が起こっていたとしてもそれを俺が止めるとは限らない。

 それに、仮に何らかの意図が絡んでいるとして、どんな意図があるっていうんだい?」


「それは、ほら、マジカル王国のスパイたちが船にのっけて海上で私たちを殺そうとしているのかも……」


「確かに、ね。その可能性もある。

 でも、賭けの要素も多いだろう?

 仮に船にたくさんの手練れがいるとわかったら、俺たちは不審がって、船に乗ることを拒否するかもしれない。

 そもそも、俺たちがあの話に乗るかどうかもわからないじゃないか。

 現にお金は通常料金でも行けたしね」


「……」


 そこまで言うと彼女は押し黙って下をうつむいてしまった。

 ここからでは顔が見えないが、まさか泣いている事なんてないよな?

 これじゃまるで俺が彼女をいじめているみたいではないか。

 俺は彼女の頭の上に手のひらを置く。


「ごめんごめん。

 別に君の意見をすべて否定したかったわけじゃないんだ。

 ジェルの言いたいこともわかるし、警戒することも大事だ。

 でもね、君が大人になった時に誰かから受けた親切を全て何か裏があるんじゃないかと思って疑ってかかるような、そんな大人にはなってほしくないんだ」


 そういうと彼女はこちらにぱっと顔を上げる。

 泣いていた様子ではない。

 むしろ、よい顔をしている。


「そう、ですね。

 もしかしたら、本当に彼の親切心からきているものかもしれないですからね」


「ああ。

 まぁ、指摘してくれてありがとう。

 俺一人じゃ絶対そんなこと考えてなかったからね」


 実際、俺はそんなことを読んで行動していなかった。

 むしろ、ホイホイと何も考えずに彼の話に飛びついて行くところだった。

 これには前世のことも関わっているだろう。

 前世では、こんな風に人の親切心を疑う、なんてことはなかった。

 もちろん、あからさまに怪しければ疑うが、今のようにあからさまでないなら疑ったりしなかった。


 こっちの世界に来てからも人を疑うなんてことはあまりなかった。

 幼いころは両親と一緒に居たし、人生の大半は山籠もり。

 他人と触れ合う機会が極度に少なかった。

 そう痛感する。

 やはり、この世界と前世は明確に基準が違うのだ。


「そういえば、朝ご飯ってまだだったよね。

 今からでも買いに行こうか」


「そうですね」


 そう言って俺たちは買いに行く。

 扉をバタンと閉めて、先程と同様町に行く。

 二度手間のようだが、人助けをしていたので仕方ない。

 歩きながら、彼女たちの趣味・嗜好を知っておこうと思い聞いてみる。


「そういえば、2人ってどんな味付けの料理が好きなんだい?」


「私は甘辛いたれを絡めた焼き肉とか、あとは……そうですね。

 まぁ、比較的味付けが濃いものが好きですね」


「私も」


 わ、若い。

 なんと言うか、自分とこの子達との年の差を痛感させられるな。

 自分も昔は味付けの濃いものが好きでたくさん食べていた。

 だが、最近はたくさん食べると胸やけがするので、そこまでたくさん食べたくない。

 もちろん、少しであれば全然おいしいと思うけどね。


 やはり、比較的量を食べるとなるとあっさりしているものがいい。

 塩味のようなシンプルな味付けも昔は物足りないと思っていたが、

 最近はかなり気に入っている。

 少しえぐみのある野菜もおいしく感じられる。


「そうなんだ。

 2人とも若いね」


「それはそうですよ。

 あなたは私達よりも20以上年上なんですから」


 そんなことを話しているうちに町についた。

 屋台のいい匂いがあたり一帯に立ちこんでいる。

 ほとんどの屋台は営業を始めているようだ。


「どれか気になるところはあるかい?

 気になるところがあれば、遠慮ぜずいってくれ」


「まだ、全然見てないからわかりませんよ」


 そう言って彼女たちは屋台のところを見回る。

 2人とも興味津々といった様子で駆け出していった。

 それを見て俺はふっと笑う。


 これが息抜きになってくれるといいんだけどな。

 おそらく彼女たちはかなり気を張っていると思う。

 そうでなければ、先ほどのような人を疑う発言が出てくるわけがない。


 彼女たちのような若者にはそんなことを考えずに今の時間を楽しんでほしい。

 ジェルもこの世界基準では大人だが、俺の目から見たらまだまだ子供だ。

 そういうめんどくさいことは大人である俺が対処する。

 たとえ人を殺すことになっても、その時は俺が……

 そう思い俺は持っていた剣をぎゅっと握りしめる。


「師匠、ここがいいです」


 そんなことを考えているとジェルの声が聞こえてくる。

 俺はそちらに行く。

 そこはこじんまりとしており、レトロな雰囲気を感じるところだった。


「ここでよかったのかい?」


「はい。

 海鮮焼き全部乗せ、が気になったんです。

 師匠は何か気になるものがありましたか?」


 そう言って表に出ていたメニューを指さす。

 なるほど、確かに書かれている。

 名前からしても、なかなかいかつい料理だな。

 俺はクロの方を見て尋ねる。


「クロはここでいいかい?」


「ん。

 私は海の幸たんと召し上げれ、が気になる」


 どうやら彼女も決めたようだ。

 となると、俺も決める必要があるな。

 だが、どれもなかなか重そうだな。

 もっと軽めのものがあるおいいんだがな。

 そんなことを悩んでいると店の中から店長と思しき人が出てきた。

 50代後半ぐらいだろうか。

 髪はほとんど白髪になっている。

 初老の男性で、茶色いエプロンをしている。


「よかったら、中にお入りください」


「ああ、ありがとう」


 そう言って俺は店の中に入る。

 店の中は若干薄暗い。

 だが、決して全く見えないとうことはなく程よい明るさだ。

 壁には古い時計がかかっていたり、古い絵がかかっている。

 やはり、『レトロな雰囲気』がこの店のコンセプトのようだ。


 中に入るとメニュー表が渡され、水も人数分渡された。

 メニュー表を開き、軽めの物を探しているとちょうどよいものがあった。

 串焼きだ。

 これなら一本の量も比較的少なく済むしちょうどいいだろう。


「よし、決めたよ。

 すみませーん」


 そういうとお店の人が来て俺たちは頼んだ。

 俺は串焼きを5本ぐらい、2人は先ほど言っていたものを。

 2人からは成人男性のわりに少なくないか?と本気で心配されてしまった。

 2人も年を取ったらわかると言って2人は納得したようなしていないようなそんな表情だった。


「お待たせいたしました。

 こちらでよろしいでしょうか」


 しばらくして俺たちが頼んだものが同時に届いた。

 うまそうだ。

 いい匂いが作っているときもしていたが、今もいいにおいがする。

 俺は一本の串焼きを口に入れる。


 上手い!

 口の中に放り込んだ瞬間磯の香りがブワッと広がった。

 海が近いので新鮮ということもあってうまい。

 海産物は鮮度が重要だからね。

 たれもこの店秘伝のもので食欲がわく。


「これ、うまいね。

 2人も食事はおいしいかい?」


「ええ。

 いくらでも食べれそうな気もします」


「うまい!」


 どこぞの400億の男みたいなセリフをクロは言う。

 ま、2人とも食事を楽しんでいるのは事実のようだ。

 顔に満面の笑みを浮かべている。

 食事し終わった後は会計を済ませて店を出る。


「どうする、宿に戻るかい?」


 特にすることもなかったので、

 何か手伝ってほしいことがあるのなら手伝うよという意味で2人に言う。


「海に入りたい」


 クロがボソッとつぶやいた。

 海か。

 俺はこの世界ではまだ海に入ったことがない。

 いや、それどころか今回来て初めて海を見たぐらいである。

 生まれたところはさほど海に近くなかった。

 また、修行していた場所は山。

 ゆえに、海との関わりはないに等しいのだ。


 前世の知識はあるが、この世界で海が安全なのかどうかはわからない。

 海に魔獣がいる可能性も高いだろう。

 なので、即断即決するわけにはいかないのだが……

 と悩んでいるとジェルが言う。


「いいでしょう。

 ならば、水着を買う必要がありますね」


「え、いやいや、魔獣がいるかもしれないし危険だよ?」


「大丈夫ですよ。

 浅瀬の方であればそこまで危険な魔獣はいないでしょう。

 それに、何か来ても私達なら対処できますよ」


「もしかして何回か海に来たことがあるのかい?」


「ええ。

 騎士団の任務で国外に行くときなどに、空いた時間では海で遊んだりしたものです。

 その時に、先輩方から基本的な知識は教わっているので、大丈夫ですよ」


「それなら安心だね」


「任せておいてください!

 ひとまず、服屋に行けば水着はあるでしょう」


「水着って何?」


 クロはジェルに尋ねる。

 ジェルはそれに優しく教えてあげる。


「水着というのは水の中に入るとき専用の服です。

 普通の服で入ったら重いですし、裸で入るわけにもいきませんからね。

 なので、特殊な素材で作られた服があるんです。

 そして、それを水着と呼ぶんですよ」


「そうなんだ」


 そして、俺たちは服屋に向かった。

 男と女の服がある場所とで分けられていた。

 パンツと上に羽織るものを適当に購入し、その場で着る。

 砂浜で着替える場所があるとは限らないからだ。

 水着の上から先ほどまで来ていた服を着る。

 女性陣の方はまだ買い物が終わってなかったので、先に店を出る。


 彼女たちを待っている間にほかに必要なものを買っておく。

 具体的には飲み物や軽食、簡易的なイスや日光を遮るためのものなどだ。

 できるだけ金を使わないように、食べ物や水など以外はレンタルすることにした。

 少し買うものが多かったので、俺は新しくリュックを買う。

 再び店に戻るとちょうど彼女たちは選び終わったらしい。

 何を選んだのか尋ねてみても「実際に着替えてからのお楽しみ」と言われてしまった。

 そして、俺たちは海に向かった。


次回は水着回です!

かわいい女の子たちの水着姿……

いいですねぇ。

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