かみさまの地獄の続き
大家さんに鍵を開けてもらうと、家の中は荒れていた。
警察が乗り込んだ際に靴のまま上がったからだろう。
その後、大家さんが鍵を閉めてくれたのか『無くなった物』は無い。
ただ、もう一人の住人であるシロをは・・・もう、いなかった。
家の中を見て、シロがいないことを実感して、俺は膝から崩れ落ちた。
人って力が抜けたら本当にその場に崩れるんだと思った。
シロがいない静かな部屋。
寒々とした部屋・・・
トイレや風呂のドアを開けても当然のようにいたシロは、今はいない。
俺は泣いた。
人生で初めてあんなに泣いた。
シロとのつながりがない!
迎えに行く方法がない!
それはシロとの永遠の別れを意味していた。
俺は誤解されてもいい。
何をされても・・・でも、何をどうあがいても、『シロは戻ってこない』という事実、絶対的な絶望が俺の首元に刃物の様に突きつけられ、何も考えられないようになっていた。
*
何となくテレビをつけてみた。
近所のコンビニが映されていた。
コンビニ前で女子高生の首から下が映されていて、機械で変換された声でインタビューが流れていた。
『なんかコスプレ?みたいな格好させられて店に来ていました』
その女子高生が持っている鞄にはピンクと黒のクマのぬいぐるみが付けられていた。
あのぬいぐるみどこかで見たような・・・
『神谷容疑者の近所ではこのような目撃証言がありました。スタジオにお返しします』
『こんなヤツは死刑でしょ!?世に放ったらまた同じことやりますよ!?』
『10歳の女の子の全身の皮膚を焼いたんですよ!?ちょと普通じゃないでしょ!?』
『犯罪史に残る異常犯罪ですよ。こんな子が他にも隠されてるんじゃないんですか!?』
『被害者の女の子は、あまりの虐待に記憶喪失になっているって話もありますからね』
これ・・・誰のことだ!?
全然現実味がない・・・俺は疑われているのか!?
じゃあ、何で釈放された!?
『ご両親からの声明が公開されました』
『犯人によって踏みにじられた娘の人生を取り戻すので精一杯です』
『今はそっとしておいていただけると幸いです』
なんだこれ・・・
犯人って俺なのか!?
(ガシャーン!)
突然の音にびっくりしてキッチンの方を見る。
ガラスが割れて、窓に丸い穴が開いている。
キッチンには石が・・・
誰かの嫌がらせだろうか・・・
ドアを開けてみると、また張り紙が増えている・・・
こんなのいつ張っていくのか・・・
視界の隅に何人かカメラを構えた人がいるのが見えた。
テレビはまだ俺を追いかけているらしい。
大家さんから書類は持って行ったらしいし、俺が犯人ではないと警察ならば分かるだろう。
でも、誤解だったからと言って、周囲の誤解を解いて回ってはくれない。
めちゃくちゃになった家の中のことも、何もしてくれないどころか、一言の詫びもない。
そんなことはどうでもいいから、俺にシロを返してくれ・・・
正直、どうでもよかった。
外から冷たい風が吹き込んでくるが、少し寒い方が今の俺にはちょうどいい・・・
いっそ、このまま凍え死んだ方が・・・
(ガチャ)
突然ドアが開けられた。
「神谷さん!?これ!!」
どうやら大家さんのようだ。
「すいません、俺が不甲斐ないばかりに・・・直しますから・・・」
「ちょっと!家の中めちゃくちゃじゃないですか!失礼します!」
そう言えば、部屋は警察がめちゃくちゃにしたのだった。
片付けるっていう発想がなかった。
でも、もういいんだ。
「ちょっと!神谷さん!しっかりして!」
「『皇帝の物は皇帝に返す』か・・・」
「なんですか?それ?」
「聖書の一説です。詳しくは知らないけど、シロが本当の両親の元に帰ったなって・・・」
そう言えば、以前シロに聖書について聞かれたんだ。
俺はたいして知りもしない聖書の内容をどや顔で言ってたなぁ。
あの頃は幸せだったなぁ・・・
何がいけなくてこうなってしまったのだろう・・・
大家さんが何か言っているけど、もう・・・いいんだ。
俺なんか・・・
外になんか出なければよかったんだ・・・
シロに・・・シロと出会ったのは間違いだったのか・・・!?
どうなっちゃうんだよ!?
できるだけ早く次が読みたいので、更新は1日4回を維持です。
朝6時、昼12時、夕方は18時、夜は21時更新です。
よろしくお願いします。




