奴隷とキス
俺はテレビをあまり見ないけれど、見るときは床に座るか、ベッドに座るかしてみている。
部屋がそんなに広くないので、ベッドを背もたれにしてみると、楽に見れるのだ。
シロも真似して、ベッドを背もたれにしてテレビを見ることが多い。
珍しく夜に俺がテレビを見ていたら、シロがちょっかいをかけてきた。
ベッドの上に寝転がって、首に抱き着いてきた。
一瞬びっくりしたが、かわいいから許す。
一緒にテレビを見ているのだが、右側の視界の隅にシロが見える。
元々、テレビの番組はそんなに興味があったものではないので、意識はシロに100%向いている。
風呂上がりでいい匂いもする。
髪の毛は最近益々好調で、もう一段輝くようになった気がする。
ノンシリコンで、ボタニカルなやつを買っている。
詳しくはよくわからんが・・・
シロが大食い番組を割と真剣に見ている。
食べ物好きだよなぁ。
俺の方はテレビ番組から興味が逸れたので、そーっと指を伸ばして、シロの鼻の下をちょいちょいっと触ってみる。
「うにゃっ」
鼻の下をゴシゴシとこすった後、シロはまたテレビの世界に旅立った。
今度は、長いシロの髪の毛先を一束つまんで、鼻の下をちょいちょいといたずらしてみる。
(くしゃん)
かわいいくしゃみの後、(すんすん)と鼻を鳴らしてテレビの世界に戻ってしまった。
結構集中するタイプらしい。
食べ物の番組だからだろうか・・・
絶対に気づくように、今度は人差し指で唇にそっと触れてみた。
シロが一瞬固まったので、ちょいちょいと数回、離したり触れたりしてみる。
「がうっ!」
「あいたっ!」
シロに指を嚙まれたので瞬間的に手を引いた。
これは・・・猫だ。
猫の習性だな。
こっちが忙しい時は、『かまって~』と寄ってくるが、いざ遊んでやろうとすると逃げてしまうのだ。
それが猫。
そして、シロ。
時として、寄ってきて見えない尻尾を振っている様に見える時もあるので、犬の時間もあるのだが、シロは基本猫だろう。
今度は頭の上に手を回して、頭を撫でてやった。
あまり反応がなく、おとなしいので、横を見てみると、目を細めて喜んでいた。
猫だな。
(なでなでなでなでなでなでなでなで)
「うにゃぁ」
久々に『にゃあ』が出た。
「もう!見てるのに!」
「ごめん、ごめん、シロがかわいいから、つい・・・」
「かみさま、いじわる・・・」
少し拗ねて、片方だけ頬が膨れた。
「んー」
シロが何か考えだした。
「かみさま、目をつぶってみて」
シロがベッドを下りながら頼んできた。
何されるんだろう・・・テレビを見るのを邪魔したからって、グーで正拳突きってことは・・・
「これでいいか?」
シロだったら殴ったりしないだろうと、おとなしく目をつぶる。
次の瞬間。
「ちゅっ」
驚いて目を開けた俺の目の前にシロの顔があった。
それも、満面の笑顔で。
「『ちゅー』だよ。テレビで見たの」
少し頬を赤らめながら言うシロ。
「かみさま、シロのこと好きになった?いじわるしない?」
こっちは、とっくにカンストしてんだよ。
それ以上はないんだよ。
とりあえず、抑えきれずにシロを抱きしめた。
「かみさま?かみさま?」
疑問形のシロ。
しばらく手が離せそうもない。
「やっぱり『ちゅー』はすごいね~」
どこ情報だよ。
そのテレビ番組にノーベル賞をあげたい!
何の権限もないけどさ。
「かみさま、ちゅー好きだった?」
「・・・好きだった」
「じゃあ・・・」
今度は右下からシロの顔が近づいてきた。
「んー」
照れくさいのもあって、左を向いて回避した。
今度は、とてとてと左の方に移動して、「んー」と言いながら顔を近づけていた。
照れくさいのもあって、右を向いて回避した。
正面に回り込んできた。
完全にロックオンしている目をしている。
照れくさいのもあって、上を向いて回避した。
「かみさま!そんなにシロと『ちゅー』するのが嫌なの!?」
シロが両てのひらで俺の顔を両方から完全ホールドしてきた。
逃げきれない。
いや、シロの手くらい本気で振りほどけばいくらでも逃げられる。
でも、心が逃げたくないと言っている!
「はい、かみさま、目をつぶって!」
おとなしく目をつぶる。
(ちゅっ)
(ちゅちゅっ)
(ちゅー)
「はい!これでかみさまはシロのことが大好きだから!」
だから、好きはカンストしてんだよ。
当初の9話をこの(アフターストリー)に追加してほしいと
ご連絡を頂きました。
入れちゃっても大丈夫でしょうか?
頭に9話増える形です。
入れるからには多少修正しますが、
基本的に同じ話となります。
コメント欄に「いいよ」とか「別で」とか「どっちでもいい」とか(^^)
あ、また感想をいただきました!
モチベーションアップになってます!
あなたもぜひ、コメント欄に何か書き込んでみてください。
明日の更新も朝6時です。
よろしくお願いします。




