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奴隷とお風呂

『奴隷』と呼ぶのは酷いと思うかもしれないが、『奴隷』としか表現がしようがないほど彼女は酷い環境で育ったようだ。


体中あちこちに所々火傷の跡がある。

比較的新しい物は薬を塗ってやったが、ある程度落ち着いているので劇的には良くならないだろう。

この傷は多分一生残りそうだ。


顔は頬にもやはり痣のような火傷の跡がある。

かわいい顔になんて事をするんだ。

人の所業とは思えない。


シロがここに来てすぐは自分で立ち上がることができなかった。

目には光がなく、言葉も喋らない。

表情も全くなかった。


全身は汚れていて雨にうたれた犬みたいな獣の臭がしていたほどだ。

今では風呂に入ろうというと、自分で脱衣所に行く。


服は脱がないので、俺が脱がす。

多少の背徳感はあるが、所詮は子供。

もう1か月もこうしているので、やや慣れた・・・と言うことにしておく。


どちらかと言うと、まだお湯は怖いみたいだ。

PTSD・・・と言ったか、トラウマがあるのだろう。

いつもぬるめのお湯からスタートする。

最初は足の先から。


シロはプラスチックの椅子に座っておとなしい。

つま先から膝、太ももと洗っていく。

ここも女の子なので多少の背徳感はあるが・・・慣れたことにしておきたい。


足の次は手を洗う。

この頃にはある程度慣れてきて比較的スムーズだ。

こうして洗っている間、自分も裸なので少し寒い。

夏だからいいが、冬になったら考える必要があるな。


普通体を洗うときは頭から洗う人が多いだろう。

上から下に洗った方が重力的に効率的に思える。


シロの場合は、やっとここで頭だ。

頭を下に下げさせて頭を洗う。

髪は切ったとはいえ、かなり長い。


シャンプーは頭皮を洗い、コンディショナーでは髪を洗う・・・ネットで調べた受け売りだ。

女の子の髪を洗うのだから、それなりに進化してきた。

一人の時はリンスインシャンプーで良かったのだが・・・


身体はすごく気を使う。

胸はぺったんこなので、ドキドキはしないが、背徳感がすごい。

どこをどのくらいの圧力で洗ったらいいのか分からないので、丁寧に背中もお腹も洗う。

首も、もちろん、胸も、そして・・・

いよいよどのくらいの圧力で洗えばいいんだよ・・・


全身を洗っている時にシロは何とも言えない嬉しそうな顔をする。

恍惚の表情というか・・・


全身を洗って、泡を流したら、シロを湯船に入れる。

やっと自分の身体を洗い始めるのだ。

一度洗った気がするので、もう一度洗うのはすごくめんどくさい。


髪はリンスインシャンプーでいいと思うし、身体も簡単に洗っとけばいいだろう。

一人暮らし用の狭い湯船。

湯船に2人が入るのは不可能だ。


シロを上がらせたら身体をすぐに拭かないと風邪をひくだろう。

事前にバスタオルを準備しておいて、身体を拭いてやり、髪はあとで乾かすつもりでバスタオルでくるんで頭にターバンの様に巻いておく。


パンツをはかせたらパジャマを着せて部屋に戻す。

その後、やっと自分が湯船に入る。

うーん、一緒にふろに入ること自体が難しいのだと思い始めてきた。


世の親たちはどうしているのだろうか・・・


風呂は上がっても仕事はおわらない。

シロの髪を乾かす必要がある。

長い髪はドライヤーがないと中々乾かない。


熱くないように、手を添えて手櫛の様にして髪をほぐしながらドライヤーで髪を乾かしていく。

髪を乾かす間シロは目を細めておとなしくている。

ドライヤーは好きみたいだ。


髪を乾かすのにも10分以上かかる。

女の子は色々時間がかかる。


「シロ、おとなしくできて偉かったな」


シロの頭をなでてやる。

ドライヤーの時よりも嬉しそうな顔をしている。


ここに来た頃は無反応だったが、最近は嬉しそうだ。


(なでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなで)


もういいだろう!

なでなでをやめるとシロは寂しそうな顔をした。


何と言っていいのか分からなかったので、スルーした。


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