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パンの効果

 感情が落ち着いてから、思っていたことをベリアルさんに伝える。


「そうだ、ベリアルさん、私これからリリーの所に行きたいんですけどいいですか?今日のフルーツタルト美味しかったからリリーにも食べてもらいたくて」

「そうねぇ。大丈夫だとは思うけどちょっと心配だわ。でも今日はパン作りも頑張ってくれたし、リリーも喜ぶわよね。わかった。でも本当に気を付けて行ってね」

「嬉しい、ありがとうございます。あのリリーにはパンのことって...」

「そうね、リリーは私が王子だってことも知っているし、今後のこともあるから話して大丈夫よ。それにせっかくお友達になれたのに秘密にしないといけないのは辛いでしょ」

「はい!じゃあ支度したら行ってきますね」

「本当に気を付けるのよ」

「はい」

 心配してくれて、やっぱりベリアルさんはお母さんみたい、ふふっ。



 私は、フルーツタルトとお試しでパンも3つ持って、ジルを連れてリリーの所に向かった。

「リリーこんにちは」

「あ、みことまた来てくれたの?嬉しい~。一人?今日はどうしたの?」

「あのね今日は私が作ったフルーツタルトを食べてもらいたくて来ちゃったんだけど大丈夫?」

「フルーツタルト!?私甘い物大好きなの嬉しい~みことが作ったの?すご~い、ありがとう」

 リリーはものすごく喜んでくれた。来てよかった。

「みこと我慢できない、いまここで食べていい?」

「ふふっリリーったら、お店大丈夫ならぜひ食べて」

「やったー!ではいただきます」

 お店のカウンターで、リリーは大きな口を開けてタルトを一口かぶりついた。


「味はどお?」

「ん~~っおいしすぎぃ~みこと、これ最高だよ!」

 喜んでもらえたみたいでよかった。


 と、思っていたそのとき


「おい!!リリー何やってんだ!仕事もしないで、一人うまそうなもん食ってんなー」

「あ、お父さん、どうしてここに...」

「はぁ?娘の働く店に来て何が悪いんだ」

「みこと、ごめんね。お父さん闇の影響をすごく受けちゃってから人が変わっちゃって...本当はすごく優しい人なんだけど」

 リリーのお父さんの目には生気がなく感情がうまくコントロールできていない感じがした。その苛立ちを当たり散らすかのように物に当たったり、リリーに暴言を吐いている。影響が強く出ちゃった人はこんなになってしまうのか。その状況を目の当たりにして動揺してしまう。


「あなた、ちょっと待って!リリーごめんね、お店に来るはずじゃなかったんだけど...急に機嫌が悪くなって」

 リリーのお母さんかな?慌ててお店に入ってきた。

「お父さん、もうやめて!お客さんも来てるからもう帰って」

「俺がいたら何が悪いってんだっ」


 気性も激しく暴れている男の人相手にどうしたらいいのか困っていたら、ジルが「にゃー」って、パンが入った紙袋を咥えて私に渡してきた。

「そっか、パンを食べてもらうんだね」

「にゃー」


 どうなるかわからないけど試しに食べてもらえれば、もしかしたら...。

「あ、あのこれよかったら食べてください」

 私はリリーのお父さんに、丸パンを一つに手渡す。

「お、いい匂いのパンじゃねぇか、旨そうなもの持ってるなら早く出せってんだよ」

 よかった拒否されることなく受け取ってもらえた。リリーのお父さんはパンを勢いよく食べ始めた。

「...」

 そして、急におとなしくなって動かなくなってしまった。えっ大丈夫かな?どうしよう。

「あのー大丈夫ですか?」

「えっ、お父さん?どうしちゃったの?」

 動かなくなってしまったお父さんをみんなが心配し始めたとき

「がはっ」っと黒いモヤのようなものがお父さんの口から出てきた。

 何?いまの!真っ黒いモヤ?モヤが出来切るとお父さんが動き出した。

「...リ、リー...」

「お父さん?」

「俺は一体なにをしていたんだ?いや、記憶はあるぞ...だが、何もやる気がなくて、でも何かコントロールできない感情が溢れてきて...あぁリリー、エルザ俺は何てことをしたんだ。いままでお前たちに迷惑をかけて。本当にすまなかった、本当にごめん」

 いままでの記憶はあるみたいで罪悪感から泣き崩れるお父さん。

 突然の出来事にみんなが驚いている。私はパンの効果に驚いている。

 すぐにリリーもお母さんも泣き出して、お父さんに抱き着いて三人で泣いている。ずっとお父さんの異変に戸惑いながらも信じて耐えてきたんだってわかる。

 私もちょっともらい泣きしてしまった。元に戻せて本当によかった~。


「みこと、これはどうゆうことなの?ちゃんと説明して」

 そして泣き止んだリリーから問い詰められている。ちょっと押しが強くて戸惑う。

「あ、えっと話せば色々長くなるんだけど...うんちゃんと説明するよ?」

 私はリリーの両親を見る、まだみんなに説明するのはまずいよね...。


「わかった!じゃあこれから、みことの部屋に泊まりに行くからゆっくり話を聞かせてちょうだい」

 リリーは色々と察してくれたみたい。

「それは全然かまわないけど...」

「はいじゃあ決まり、お母さん私行ってくるから、とりあえずお父さんと家に帰ってて、詳しい話聞いて帰ったら話すから」

 

 一応、リリーのお母さんにもパンを食べてもらったら、お父さんほどではないけど、口から少し黒いモヤが出てきた。

 リリーの勢いで泊りに来ることになったけど、この一件はベリアルさんにも説明しないといけないから丁度いいかも。それより友達が泊り来てくれるなんて初めてで嬉しくてドキドキして落ち着かないよ。


続きを読んでいただきありがとうございます。

お父さんのセリフがリアル感でなくて...難しい

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