episode4. 私は何も悪くない
結婚後、私は退屈な日々を過ごしていた。
結局、フランツが私を抱いたのは初夜の日だけ。それ以降寝室も別々だし、ろくに会話もしていない。ただ、長いテーブルの端と端に座って食事を摂り、仕事へ行くフランツの見送りをする。その繰り返し。
今フランツは次期宰相として毎日登城している。それに、公爵家が持っている伯爵位を受け継ぎ、伯爵家当主としての仕事もしている。実に忙しそうだ。望まれない私でも、王太子妃教育を受けただけあって能力は高いと自負している。せめて女主人として役に立とうとしてフランツに相談したが、結果は以下の通りだ。
「あなたがドレスを買おうが、何をしようが咎めません。だから、余計なことはしないでください。」
だからと言って、何もしないのもいかがなものかと思って執事長や侍女長に相談したが、
「奥様はなにもしなくてよろしいのですよ。自由にお過ごしください。」
と言われる始末。
本当に私は監視されるためだけに嫁がされたんだと実感し、私の何がそんなにいけなかったんだろうと考えた。確かに、学園にお父様たちがいないことをいいことに、シャーロットにきつく当たりすぎた。周りがおだててくれることに気を良くして、調子に乗った。所詮透明人間の私が、誰かに求められたいと願ったのが悪かったのか。だったらどうしたらよかったのだ。
それから私は、だたぼーっと一日を過ごすことが増えた。せめて、邪魔にはならないようにしようと。
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庭で花を眺めながらうとうとしていると、そばにあった木からリンゴが落ちた。
その瞬間、私は万有引力の法則を理解するがごとく、唐突に気づいてしまった。
「あれっ?私って何も悪くない。うん、わたしは何も悪くないよね!?」