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石に封印されている私だが、宿に停まった時にはお風呂に入れさせてもらえている。
勇者が自分の身分を笠に着て貸しきりにするのだ。その貸しきりの間にお風呂に入らせてもらっている。
ちなみに私がお風呂に入っている間は勇者は脱衣場で他の人が来ないように見張りをしている。多分覗きはされていない。
そんな入浴中に珍しく乱入者が現れたのはある日のこと。
いつものようにお風呂に入っていると脱衣場がらドカッ。ドスン。という物音が。
私が驚いて布を体に巻き付けて脱衣場への扉を開けて覗いてみると勇者と傍らに倒れた全裸の女。
……たしか魔術師の女が豊満な肉体を惜しげもなく晒して倒れていた。
それを見て私はまたか。と思った。
今回はずいぶん大胆な行動に出たようだが、魔術師は勇者を誘惑すべく入浴中(という事になっている)勇者の元に乱入してきたんだろう。
それを見張りをしていた勇者が侵入者として攻撃したのがこの有り様なようだ。
普通の成人男性だったら美人な全裸の女がいたら多少は鼻の下が伸びていても良いだろうに勇者が魔術師に向ける瞳は冷たい。
そのままうっかり立ち尽くしていると私に気付いていたのだろう勇者と目が合った。
今まで全裸の女に冷たい目を向けていた男の顔がみるみる真っ赤になる。そして慌てたように顔を反らされた。
「は、早くお風呂に戻ってください」
全裸の美女にはたいした反応を示さなかった癖に布を体にちゃんと巻いた私には真っ赤になって慌てるとは……。
私はそっと扉を閉じた。
全裸美女がその後どうなったかというと、もちろんそんな露出狂がいたら騒ぎになる。
しかし、勇者は騒ぎに我関せずで、私の護衛をしていた。
魔術師は騒ぎに気付いたパーティーメンバーの神官(この時すでにクビになっていた回復術師の代わりの補充メンバー)が回収して行ったらしい。
翌日勇者はこの魔術師と神官をクビにした。
神官は魔術師の協力者で勇者の行動(お風呂に行くこと)を魔術師に伝えていたようだと石の中から聞いた会話で察した。