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勇者と囚われの令嬢  作者: けいと
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勇者に誘拐されて1週間ほど経った。


勇者と2人きりの部屋に警戒していたが、ある日、日々の睡眠不足に耐えきれずに寝落ちしてしまった日があった。

はっ、として起きた私はベッドに布団をかけられて横たえられていた。私の服は必要以上に乱れておらず、あいつはどこかと見渡すと椅子に座って寝ていた。


勇者は戦いの旅の途中だというのに私を椅子に座らせて自分がベッドで寝れば良いのに、と思ったがほおっておいた。


あれからも勇者は私を肌身離さず持ち歩き、宿に一人になると私を外に出した。防音結界を張って逃げられないようにされていてもいつまでも手を出してこようとしない勇者に私は次第に警戒を弱めこの生活に慣れてきた。


今日も宿の部屋についていつものように結界を張る。

しかし、いつもならすぐに私を出すところだが勇者はそのままベッドに座ったようだ。


この様子に嫌な予感がする。


私はこの生活に慣れてきたが、どうしても慣れない事があった。


勇者から衣擦れの音が聞こえ嫌な予感が確信に変わっていく。


勇者も立派な男性である。当然性欲があるが私に手を出す様子はない。


では、出して欲しい気満々の旅の仲間に出すのかといえば違う。娼館に行くわけでもない。


どうするのかといえば自慰である。

しかも私の名前を呼びながら。


幸いな事に私は勇者の首にかかっているので現場は見なくて済むが、音は丸聞こえだ。多分精神体みたいな状態なので、耳を塞ぐことが出来ない。



なんで、私は自分の名前を呼びながら自慰に勤しむ男の音声を聞いていないといけないのだろうか?



「……うぅぅ、ナターシャ!」


フィニッシュのようだ。一際大きな声で私を呼んだ勇者はパタリと仰向けにベッドに倒れたようだ。



勇者はおそらく私が石の中から見たり聞こえたりしているのを知らないのだろう。だからこういう時は私を出さない。


でも、私が知らないと思っていてもこういう事をした日は小一時間くらいは私を出さない。


きっと気まずいのだろう。

でも、私もどういう顔をすれば良いのかわからないので、これには大いに助かっている。



私はこの後外に出されてもさっきの事を知っているとはおくびにも出さないために違う事を考えて落ち着くことにした。

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