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戦車の歴史 「 ミリオタ高校生が異世界へやって来た!」番外編  作者: カトユー
第一次世界大戦期の戦車
2/4

002 マークⅡ戦車、マークⅢ戦車、マークⅣ戦車

 ども、半日授業で午後は暇なカトユーです。時間がたっぷりある…、ゲームをやらねば()


 今回からスタイルを変えて会話形式で解説を進めてみようと思います。会話形式の方が書きやすので……

 読みにくかったら感想かなんかで教えてもらうと元のスタイルに戻すかも。


 最初は無理な導入なので読み飛ばしても大丈夫です……

 ルークはマークⅠ戦車の改良型について調べ始めた……


「ああ、もうムリ!たくさんの資料を見るのは面倒臭いし、それを理解するのは大変!!あーあ、誰か手伝ってくれる人居ないかなあ……」


 するとルークの目の前に光の筋が現れた。


「うわっ、何だこれ!?」


 光が消えると彼の前に杖を持った爺さんが居た。


「誰!?」


 ルークはびっくりして逃げ出そうとすると、老人は腕を掴みそれを阻止した。


「安心しろ!儂は戦車の神様じゃっ!」


「胡散臭くなったぞ!!」


「なに!?」


 ルークは何としてでも脱出しようとしたが、老人の腕力は想像以上で遂に離すことがなかった。


「まずは儂の話を聞いてくれ……」


「わかったから腕を離せ!」


「おっと、すまんのぉ」


 老人が手を離すとルークは彼の正面に座った。


「で、爺さんは何者なんだ?」


「よくぞ聞いてくれた!儂は戦車の神様だ!何でも知っとるぞ!」


「……」


「どーした?」


「いや、何言ってんだコイツってなってるだけ」


「失礼だな。ホントに戦車のことは何でも知っているぞ」


「じゃあマークⅣ戦車のことも?」


「もちろん。今お前さんが調べようとしていた物だろう?」


「そうだけど……」


「そんなに信じられないなら今からその戦車について語ってやろう」


(まあ戦車の話を聞けるならそれで良いか……)


「わかった。解説をよろしく」


「了解」





「お前さん、マークⅠ戦車については分かるか?」


「ああ、この前学んだよ」


「そうかい。じゃあマークⅣ戦車の話に入る前に、その間のマークⅡ、Ⅲ戦車について軽く触れておこう」


「マークⅠからマークⅣ戦車までの間にも戦車があったのか……」


「お前さん、わざわざ数字がふってあるのにいきなり飛んでいたと思っていたのか」


「だって全く知らないんだもん」


「……まあ、いい。とりあえずマークⅠ戦車は1916年のソンムの戦いでデビューして、それ以降の戦いも含め、戦車そのものの有用性を認めさせた。

この新兵器は可能性に満ちたものであったが、まだまだ問題があった。第一に信頼性だ。過酷な戦場では何よりも使える物でなければならない。しかしマークⅠ戦車はデビュー戦で49両用意されたのに、たったの5両しか敵陣地に辿り着けなかった。これは大問題である。そこで改良型は信頼性の向上、そして性能向上が求められた」


「画期的な兵器の割には微妙な戦果だったんですね……

 それで改良型はどんな戦車だったんですか?」


「最初の改良型はマークⅡ戦車だ」


「どんな点がマークⅠと違うんですか?」


「まず車体後方のステアリングホイールが外された。どうやらステアリングホイールはあまり効果が無かったようだね」


「なんかこっちの方が見慣れた菱形戦車な気がする……」


「他は細々とした変化だね。転輪や駆動輪ご鋳鉄製になったり、履帯をやや幅広のものにしたり、履帯のパーツが若干変わったり……。あとは車体上面にハッチが追加されたね。これは乗員の脱出用だった」


「……」


「どうした?」


「いや、変更点なんかはあるようだけどあまり変わらないなって……」


「確かにそうだな」


「認めちゃうんだね……」


「これにはちゃんとした理由があるんだ」


「理由?」


「当時の様子を考えてごらん。戦車はまだ新兵器。それを運用するためには乗員や整備員の養成が必要。さらに前線からは戦車の補充の要求がくる。その為生産を続けなければならない。つまり、大掛かりな設計変更が出来る状況では無かったんだ」


「ナルホド。じゃあ、マークⅡ戦車自体の生産も少なかったのか?」


「そうだね。マークⅠ戦車が100両もの生産要求があったのに対して、マークⅡ戦車は僅か50両。内訳は雄型と雌型がそれぞれ25両ずつ。だが一部はテストベッドに回された」


「パットしない戦車だね……」


「……次の戦車も変わらないぞ」


「次ってことは…マークⅢ戦車か?」


「そうだな。マークⅢ戦車は主に武装面の変更があった」


「武装…6ポンド砲とかだね」


「そうそう。マークⅢ戦車雄型では6ポンド砲(57mm)が短砲身のものに変わった」


「え!?短くなったの?」


「ああ。具体的にはマークⅠ/Ⅱの40口径から23口径へとだいぶ変わったよ」


「短砲身化なんて珍しいよね……」


「まあ、中々無いことだよね」


「短砲身化には何かメリットでもあったの?」


「もちろん。砲自体の取り回しがよくなったし、長砲身みたいに砲身が引っかかって見動きがとれなくなる、なんてこともなくなったよ」


「ええ……、長砲身の時にはそんなことがあったのか……」


「砲身長の話は現代でもよく話題になるよ。例えば欧州のレオパルト2も44口径から55口径にアップしたけど、市街地戦で砲身をぶつけて危ないだの何だの言われてたね。日本もそれが嫌で長砲身化するかどうか微妙だとか」


「なんだ……今でも議論になるものなのか」


「まあ、現代に比べたらWWⅠ期の砲なんてかわいいものだが」


「ちなみ6ポンド砲はどんな感じだったんですか?」


「実戦では数百m先を目標にしていたようだね」


「意外と近い……」


「そりゃ初速とかも現代とは全然違うからね」


「ところで機銃のみの雌型の方にも変化があったの?」


「銃座が小型化された、以上」


「少ない」


「マークⅢ戦車の情報自体が少ないんだよ……」


「(メタい話だ……)」


「ああ、そういえばマークⅢ戦車では装甲の強化も行われたらしい」


「マークⅠでは側面が8mmとかの紙装甲だったけどどのくらい強化されたんですか?」


「……」


「知らないorわからないってこと?」


「……」


「……わかったよ」


「察しがよくて助かる」


「じゃあマークⅢ戦車の実戦はどうなの?武装が変わって活躍したの?」


「……実はさっきのマークⅡ戦車とマークⅢ戦車は主に訓練用として使われたんだ」


「えっ……、戦闘にすら参加してないんですか?」


「主に、と言っただろ。マークⅡ戦車20両がニヴェル攻勢の前にフランスに送られ、アラスの戦いに投入された」


「じゃあ敵をバッタバッタ薙ぎ倒して勝利に貢献したんだね!」


「いや、そうはいかなかった」


「……えっ?」


「その頃のドイツ軍のライフル徹甲弾で装甲を貫通できたようだ」


「既に対戦車兵器の芽が……」


「更に言えばマークⅡ2両がドイツ軍に鹵獲された」


「……は?秘密兵器なのに?」


「残念(?)なことにドイツ軍に鹵獲されたマークⅡ戦車は写真にも残っている」


「うわあ……」




「ちなみにだがマークⅢ戦車も50両が生産された。また、マークⅠ/Ⅱ戦車12両が武装を取り払い補給用の戦車に改造された」


「……始まりの戦車ってイマイチ印象に欠けるね」


「運用する側も初めての兵器に戸惑っただろうな」




「マークⅢ戦車が終わったということは、次の戦車はマークⅣ戦車だね!」


「そうだな」


「マークⅣ戦車はマークⅠ戦車からの進化系といった感じだな。改良型菱形戦車なのだ」


「おお!真打って感じでカッコいい!」


「マークⅣ戦車の良い所は居住性が向上したことだ」


「あれ?もっと華々しいものじゃないの?」


「まぁまぁ。潜水艦とかも居住性が大事とか言うだろ。戦車も長い時間鉄の棺桶に居るようなものだし居住性が良いに越したことはないだろう」


「紅茶の(イギリス)は戦車の中でもティータイムを欠かさないからね……

 で、具体的にはどういう風に変わったの?」


「騒音や熱気の原因だったエンジンには冷却ファンが取り付けられ、車内には換気扇が設けられた」


「換気扇!コロナ対策もバッチリだね!」


「この頃は新型コロナも無かっただろう…」


「スペイン風邪は?」


「(無視して)また、武装も若干変わった」


「短砲身化が進んだの?」


「流石にそれはない……」


「じゃあ、大型化!」


「それもムリ」


「え?じゃあ何したの?」


「武装をを備えた張り出し(スポンソン)を車内に引き込めるようにしたのさ」


「それ、意味あるの…?」


「割と重要なことだ。この頃から既に戦車の鉄道輸送が行われていたのだが、その際に左右の大きな張り出し(スポンソン)が邪魔だったのだ。それがマークⅣ戦車で引っ込み式に変わり、輸送面での不便さが改善された」


「この頃から戦車の鉄道輸送が行われていたのか……」


「あとは装甲の強化」


「おおっ!盾が矛を上回るのか!」


「最大装甲圧は12mmに向上し、ドイツ軍のライフル徹甲弾に貫徹されなくなった。要は抜かれなくなったのだ」


「やったぜ。これで戦場で無双できる!」


「またこれが上手くいかないんだよなあ……」


「えっ…?」




実戦


「デビュー戦でまたも宜しくない面が出てしまったのだ」


「具体的に言うと?」


「大量の戦車が故障した」


「ええ……。信頼性の向上とは?(哲学)」


「まあまあ……」


「いったい何が起こったの?」


「参加したパッシェンデールの戦い(第三次イープル会戦)には216両ものマークⅣ戦車が投入された。しかし、パッシェンデール周辺は元沼沢地であり、雨でなくともぬかるんでいるような場所だったのだ。しかも大雨が降り更に状況は悪化していた」


「……無限軌道であっても厳しいのでは?」


「そうだね。投入された戦車は泥の海に嵌った。結局戦局に貢献することはなく、故障し動くことすら出来なかったのだ」


「わあ……。最悪の結果ですね」


「まあ、その汚名をそそがんとその後のカンプレーの戦いでは活躍するんだけどね。それはまたどこかで」


「ええ、それくらい話してくれたっていいじゃないか」


「もう既に文字数がとんでもないことになってるんだ」


「ちょくちょくメタいよね……」


「カンプレーの戦い以外でも特筆すべき戦闘はまだあるよ」


「例えば?」


「ボコスコにやられた話とか」


「なにそれ…それだけで聞きたく無いんだけど……

 ちなみにボコスコとは?」


「雌型が撃破された」


「ああ、機関銃しか武装が無い方ですね。

 ……あれ?でも雌型と雄型は同時に運用される予定だったよね?雄型は?」


「そうだね。実際、その戦闘でも雌型2両と雄型1両が一緒にいたよ」


「雄型は何をしてたの?」


「ちょいと反撃に遅れたのさ」


「なんてこったい……」


「で雌型2両は何にやられの?」


「ドイツのA7Vだね」


「A7Vって言うと…、ドイツ初の戦車か!」


「正解。実はこの戦闘、史上初の戦車戦だったんだ」


「おお〜、遂に戦車対戦車だ!

 ……あれ、もうドイツは戦車を完成させたの?この戦いは何時なんだ!?」


「1918年4月24日の戦車戦だね。場所はフランスのヴィレ=ブルトヌー。交戦したのはイギリスのマークⅣ戦車3両とA7V3両」


「互いの戦力は同等だったんだね」


「実力で考えたら圧倒的にイギリス側が劣ってるだろうけどね……」


「なんで?」


「そもそも2両は機関銃のみの雌型だし、1両の雄型も対戦車を考慮していないから榴弾のみだった」


「榴弾でA7Vの装甲を貫徹するのは無理だったの…?」


「そうだね」


「じゃあワンサイドゲームになったのか……」


「いや、そうでもなかった」


「なんで!?」


「そもそもA7V同士が離れてて、実質1両だったんだ」


「3対1……これは勝てる(ゲスい笑み)」


「まあ、最初に言った通り2両の雌型はボコスコにされた」


「やっぱ負けた……(泣)」


「いや、イギリスにはまだ雄型が残っている!」


「対戦車能力無いんでしょ〜」


「イギリス戦車兵「榴弾を当てたら戦車から人が出てきた……。な…何を言っているのか わからねーと思うがおれも何をしたのか わからなかった… 」」


「は?(は?)」


「まあ、榴弾当てたらドイツ兵が戦車を捨てて逃げてったっことだ」


「いやいやいや、装甲を貫徹された訳じゃないんだろ?なんで逃げたんだ?」


「直撃の衝撃で5人が死亡、残りが弾薬への誘爆を恐れて脱出したらしい」


「貫徹しなくても殺傷は出来るんだね」


「そうだな。その辺りは最近流行った(?)T-34の映画でも観ると良い。戦車内の雰囲気がよくわかるぞ」


「誰に対しての解説なんだよ……」


「コホン、ともかく史上初の戦車戦は痛み分けみたいな形で終わった。ちなみにだが、ドイツ側は戦車を放棄しただけではなく歩兵も後退している。つまり戦略的にはイギリスの勝利といった感じである」


「何とも微妙な結果……」


「まあ偶発的なものだったから双方が混乱していただろうね」




小話


「マークⅣ戦車に関する話は終わり?」


「いやもう何個か話しておこうか」


「そんなにネタがあるのか…」


「なんてったって前期型菱形戦車の集大成だからね」


「色々と限定されてない?」


「まぁまぁ……」


「で、マークⅣ戦車に関する話を」


「まずは日本に来たマークⅣ戦車の話かな」


「え?これって日本にも来たの?」


「ああ」


「太平洋戦争期の鹵獲とか?」


「1940年代になってなんでそんな物をイギリスが運用してると思うんだ……」


「それくらいしか思いつかないよ」


「ちゃんと交渉して、金を払って購入したよ」


「あ、じゃあ日英がまだ仲良しだった頃の話だね」


「そうだね。具体的には1918年頃の話だね」


「えっ!?イギリスはまだ戦争中だよ!」


「その頃にはそれくらいの余裕があったんだろうね」


「戦勝国は違うね……」


「ちなみにこの時、日本側は最新型のマークⅤ戦車を求めていたそうだが、流石にイギリスも最新型を売却することは認めなかった」


「それで一世代前のマークⅣ戦車が日本にやって来たんだね」


「そういうこと。ちなみにこの時やって来たのは雌型らしい」


「あれ?戦車としては物足りないものでは?」


「どちにしろ榴弾しかないから変わりないだろう。それにこの頃には雄雌型なるものもあったようだし」


「雄雌型?」


「さっきのヴィレ=ブルトヌーでの戦いを受け、機関銃と砲を片側ずつ搭載した物が開発されていたんだよ」


「ナルホド……。でも結局は片側が弱いのでは」


「まあ、そういうことになる」


「で、日本に来たマークⅣ戦車はその後どうなったの?」


「陸軍により研究され、戦時中は靖国神社の遊就館で展示されていたらしい」


「今は無いけど…?」


「戦後にアメリカ軍が持ち去ったという説がある。奴さんは鹵獲兵器とかごっそり持ち帰ったり破壊したりしたからねぇ……」


「IF戦記みたいに太平洋戦争を回避していたら21世紀でも見れたのかなあ」


「まあ現代でもマークⅣ戦車を見ることは出来るが」


「え!?」


「某戦車と少女なアニメでマークⅣ戦車が出てきたことで注目を集めた。プラモを作る人が増え、なんと山車まで作られた」


「山車にする必要性……」


「皆が楽しんでいたから良いだろう()」


「ちなみにボービントンにはホンモノがある」


「100年以上前のものでもちゃんとのこってるんだね」


「日本くらいだろう。まともに兵器の類を残していないのは」


「敗戦国の末路ぉ……」




終わり&次回予告?


「マークⅡ/Ⅲ/Ⅳ戦車はどうだった?」


「思ったより複雑な兵器だった!」


「確かに今から100年以上前の戦車ではあるが、ここから今の戦車までずっと繋がっているからな」


「派生型もそれぞれ特徴があって面白いね」


「戦訓を取り入れて徐々に洗練されていく様子は見ていてナルホドと思う」


「次は何について調べるか……」


「同時期のフランスはどうだ?」


「フランス?ドイツじゃなくて?」


「ドイツもいずれはやるがフランスも中々面白いからね」


「フランス戦車か……」


「まあWWⅡ期はパットしないがFT17等革新的な戦車がいるぞ」


「うーん……

じゃあ次はフランス戦車かな」


「OK。次はフランスのシュナイダーCA1、サンテンシャモン突撃戦車の2本立てでいこうか」

 最初はマークⅣ戦車だけについて書こうと思ったけど、手元の本にマークⅡ、Ⅲ戦車の話が載ってたので加えてみました。そしたら6,000文字超えたけど。

 もうちょい解説を加えようと思うので明日、明後日には加筆されてるかも。


 以下のアカウントや感想で解説して欲しい兵器を募集しています。

 今の所解説しようと思っているのはチャーチル歩兵戦車、Sd.Kfz.8(FlaK18搭載)、FT17、B1bis、15式軽戦車、メルカバぐらいかなあ……


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カトユー (小説家になろう)

@RVdX8yzugRufoNT

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