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スキル上げと初生産

 本日2話目です。

 月曜日。

 大学から帰ってきた私は、先にお風呂と夕飯を済ませてからMESOにログインした。


 さて、昨日の探索で三階も終わったし、おそらく婦人がいるであろう部屋の豪華な扉も見つけた。

 だけどこのまま挑むのはまだ早いような気がする。ポジション的に中ボスだったあのマリオネットですらレベルが11もあったのだ、その上のボスならもっと高くて当然だ。

 となると最低でも10、出来れば12くらいまで種族レベルを上げたい。

 だけど昨日は探索とスキル上げをメインにしてたから種族レベルは1しか上がらなかった。代わりにスキルは順調に上がったが。


「でもボスが火属性だった場合が怖いわ。今のままでは一撃死ですらあり得る。そうすると今日も【火属性弱点】のレベル上げなんだけど……。まぁ時間もないし急ぎでもないから、それでもいいか」


 ということでこの日は、ゲーム内で六時間くらいソウルをいじめてログアウトした。

 この日の成果は【操糸術】がレベル5になり、【火属性弱点】と【状態異常耐性】がレベル8になった。

 そして【操糸術】がレベル5になって、新しく【スイープ】という技を覚えた。効果は相手の足に糸をくくり引っ張って転げさせるという嫌らしい技だ。

 実際に試して見たが、ソウルにはそもそも【操糸術】が効かないしフライングドールは浮いてるから多少振り回すだけで終わった。検証にならないので朽ちたドールにやってみると面白いように転んだので、地に足がついた二足歩行の相手には有効そうな技だった。


 そして次の日、今日もスキル上げをしようと大学にいるときまでは考えていたけど、帰りにMESOの掲示板で生産について見ていたら興味がわいたので、急遽全く手つかずだった【木工】と【錬金】をやってみることにした。決してスキル上げが飽きたわけではない。


 ということで地下一階の実験室へやって来た。

 そこにある机の前に立つと、前に来たときと同じく『何をしますか?』というメッセージが浮かび上がった。


「【木工】と【錬金】、どちらをやってみようかしら」


 しばし悩んだが、材料がある【木工】からやってみることにした。

 二つある選択肢から【木工】を意識すると、視線の端に『レシピ』と項目が現れた。

 これについては掲示板を見たのでどういう物かは理解していた。


 『レシピ』には、自身の【木工】レベルに合わせた物が表示されている。それとは別に誰かから教わったり、レシピ本を買って覚えたり、一度でも自作できた物などが追加されるようだ。


 実際に『レシピ』へ意識を向けるとウィンドウが開き、【木工】レベル1で作れる物の一覧が表示された。

 弱そうな杖や剣、弓に矢といった武器から皿やコップといった食器、ただの棒や板まで意外と多くのレシピが書かれていた。


 試しに今作れる木の棒を選択してみると、インベントリから人形の腕が出てきた。そこから案内される指示の元、短剣で余分なところを削っていくと、多少デコボコがあるが一本の棒が完成した。


【素材】木の棒 レア度1 品質E

 木材を加工したただの木の棒 これだけでは何にもならない


「意外と簡単だったわね。レベル1だとこんなものかしら」


 とりあえず出来ることがわかったので、いい物がないかレシピをしっかり見るが、今欲しいものは特になかった。余裕があればコップとか欲しいのだけれど。

 オリジナルで作ろうかとも考えたけれど、どうせなら【錬金】のレシピを見てから考えることにした。


 【錬金】のレシピも色々ある。HP回復薬や毒消し薬などの薬に謎の粉や物体など、どんな効果があるのかわからない物まである。だけどこちらは材料も道具も足りないらしくほとんどが作れなかった。

 その中で実際に作ったのはこのただの石ころだ。これはソウルのドロップアイテムである火魔石から魔力を抽出することで出来た物だが、ぶっちゃけただのゴミだった。


「うーん。良さそうなのは作れないわね。回復薬とかあると便利なんだけど」


 作れた石ころもやったのは魔力を抜くだけだ。こんなのがレシピに載ってた意味がわからない。


「どうせなら魔石のレシピでもあればいいの……に?」


 今何かがピンときた。この石ころの作り方は魔石からただ魔力を抜き取っただけだ。なら逆に、魔力を入れたらどうなるのだろうか? 


「可逆的なら元に戻せるはず。……やってみる価値はありそうね」


 今回はレシピを使わない完全なオリジナルだ。

 机の上に作った石ころを乗せ、魔力を抜いた時を思い出しながら魔力を込めてみる。

 すると身体の奥から何かが抜ける感覚があり、同時にMPが減り始めた。


 これは成功したのでは、と思った矢先、パキンと言う音と共に石が真っ二つに割れてしまった。


「失敗した……」


 原因は何だろうか。込める魔力が多すぎた? でもMPは徐々に減っていき、いきなり減ったりはしていなかった。そもそも出来ない? でも確実に石に何かが流れる感覚はあった。それなら別の要因がある? なら、スキルのレベルが足りないとか? この環境と合わないとか? うーん。


「……合わない。相性か」


 もう一個石ころを作った私は、今度は【闇魔法】のダークボールを思い浮かべながら、さっきと同じ感覚でやってみる。

 途中までは同じだ。身体から何か、おそらく魔力が流れ出てMPが減っていく。だけど今は石ころにも僅かな変化があった。所々が黒ずんでいる。それは魔力を込めている今も進んでいき、どんどん、どんどんと魔力を込めていくとやがて見覚えのある真っ黒な石へと変わった。

 すぐさま【鑑定】してみると結果は、闇魔石:極小になっていた。


「や、やった! 魔石が出来た!」


 出来るか出来ないかは正直五分五分だったが、上手くいく結果が出せた。

 だが喜んでいた私は、MPの残量を見て驚いた。この二回で、いや一回目はMPはそんなに減っていなかったから、成功したこの一回だけでほぼ全てのMPを使い果たしていた。


「極小の魔石を作るのにこれだと割に合わないわね」


 成功したにはしたが、使い道のわからない物に全MPが必要とわかると素直に喜べない。

 まぁ【錬金】では魔力を取ったり入れたりすることが、つまりは魔力の移動が出来ることがわかっただけでもよしとしよう。


 と内心まとめに入ったところで、手首に巻かれている糸が目に止まった。

 魔力が込めやすい糸に魔力込めたらどうなるのか。

 もし失敗して魔力糸を失ってしまうと、かなりの戦力ダウンになる。だけど私は、どうにも試してみたくなってしまった。


 MPが自然回復するまで待ち、魔力糸を外して机に置き魔力を流してみた。

 結果は……、切れることも散り散りになることも色が変わることもなかった。

 だが、鑑定結果を見ると耐久値が回復していることがわかったのだ。回復する数値は消費MPより少ないけど、これで耐久値がなくなる前にこうして修復すれば、ずっと使うことが出来るようになった。


「耐久値回復はかなりありがたいわね。これで耐久値∞の短剣同様、魔力糸も気にせず使うことが出来るわね。MPの消費が多いからやるとしたらログアウト前がいいかしら」


 魔力糸の錬金結果を見て満足していると、突然メッセージが鳴り出した。


《【魔力操作】の回数が基準に達しました》

《スキル【魔力操作】を取得しました》


 一瞬自分の目と耳を疑ったけど、事実だった。スキルってポイントでの取得以外にも取る方法あったのね。知らなかったわ。

 内容はさっきからやっていた魔力の移動がスキルとして扱えるようになったようだ。

 効果は常時発動していて魔力の操作がしやすくなること。大分アバウトな説明だけど、魔法攻撃の威力、速度、精度の上昇など、普通に便利なスキルだと思う。


「【錬金】は思わぬ成果があったわね」


 魔石の作り方とスキルの取得といいことが続いたが、これ以上はアイテム不足で作れる物がない。自作するにも手持ちのアイテムを見て思いつくことは何もない。木材とか人形の腕とか明らかに【木工】のほうで使うアイテムばかりなのだ。


 ということで再度【木工】をやっていく。【錬金】の確認も終わり悲しいことに相互に使える物はなかったから、今は【木工】だけで使えそうな物を作ってみる。


【武器:短剣】魔樹の投げナイフ レア度3 品質D

 攻撃力7 重量2 耐久値90/90

 トレントの木材から作られた投げナイフ 魔力を通しやすく魔力を通すことで切れ味が上がるが所詮は木材なので切れ味は余り期待は出来ない 振り回すより投げることに使われる


 作ったのは木製の短剣だ。ただしただの短剣ではなく、魔樹の木材で作った投げナイフだ。

 なぜなら少し試してみたいことがあったからだ。

 それは魔力が通しやすい魔力糸で、魔力が通しやすい魔樹の木材で作ったナイフをくくりつけ、【魔力操作】で魔力を糸とナイフの両方に流したらどうなるのか、といった実験だ。


 一本の糸にナイフを取り付け、魔力を流してみた。

 すると今までよりもはっきりと糸の存在を把握できるだけでなく、複雑な動きを正確に動かすことが出来た。それもナイフ込みの話でだ。


 そのことに感動して思わず、作れるだけのナイフを作ってしまった。出来たのは計六本だ。

 だがここで落とし穴があった。


「むっ、かなり難しくなってるわ」


 一本の時は手足のように動かせたのに、それが出来たのはたったの二本までだった。

 三本、四本と増やしていくと、途端に扱いが難しくなり無理に動かそうとすると全ての糸が上手く扱えなくなってしまった。

 それに【魔力操作】自体は魔力を操るだけで消費はしないと思っていた。実際に二本まで魔力を込めたときはおそらく糸とナイフに込めたであろうごく僅かのMPだけが減っていた。にもかかわらず扱いきれなくなってからは目に見えてMPが減り始めた。


「はぁ、せっかく六本も作ったけど、しばらくは三本で練習するしかないわね」


 そもそも【操糸術】の段階で十全に扱えていないのに、さらに高度な技術を用いても上手くいかないのは考えればわかることだ。とにかくこれも地道に練習しかないだろう。


 さて、思っていた以上に作れる物がなく、掲示板を見てわいた興味は不完全燃焼になってしまったがそれ以上の収穫があったことだし、生産はこのくらいにしておこう。

 そう考えて展開していた糸を解除したが、ナイフが付いていたことをすっかり頭から抜けていた。木製ではあるが自身に迫ってくるナイフにドキッとしたが想像に反して、痛みも違和感もなく収まった。

 自分の腕を見ると片方三本ずつあったナイフが、前腕部にまるで手甲のように装着された形で収まっていた。もちろん私の腕に装備されたわけでなくナイフの持ち手部分の先端は糸が付いたままになっている。

 刃の部分が自分に向くような配置になっているが、普通に動く分には当たらないし当たったとしても木材だから痛くはないだろう。それにこの中二心をくすぐられる形状が気に入りました。


 ということで糸と一体化したナイフをそのまま、私はスキル上げに戻った。


名前:クリスティーナ

種族:ドール Lv9

職業:ドール Lv9


生命力  8

筋力  15

知力  15

精神力  8

器用  15

俊敏  15


スキル 残りSP4


短剣術Lv12→13 操糸術Lv4→5

光魔法Lv7 闇魔法Lv7

木工Lv1→4 錬金Lv1→3

魔力操作Lv2(new)

識別Lv8→9 鑑定Lv8→9 解体Lv8→9

状態異常耐性Lv7→8 火属性弱点Lv7→8

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