現実世界:弟との会話
とても短いです。本日21時にもう一話投稿予定です。
スキル上げに勤しんだその日、ログアウトして端末を見てみると弟の奏太から着信が入っていた。
この時間ならまだ起きてるはずだから掛け直すとすぐに繋がった。
「もしもし、奏太? 連絡あったみたいだけど、どうかしたの?」
「あっ姉ちゃん! 姉ちゃんさMESOやってる?」
「ええ、やってるわよ」
「やっぱり! 実は俺も始めたんだよ」
「あらそうなの」
意外とまでは言わないが、奏太はこの間他のゲームをしていると言っていたからMESOはやらないと思っていた。
「友達がやる前から勧めてきたからやってたゲーム速攻で終わらせて、今日からやってるんだけどさ。姉ちゃんがやるって言ってたの思い出してMESOで一回会わないかと思って電話したんだよ」
「その前に奏太、宿題はちゃんとやってるんでしょうね」
奏太は私の三つ下でまだ高校二年生だ。それなのにゲーム漬けの日々では、姉として注意の一つや二つ言いたくなるってものだ。
「宿題はデスペナ中とかにやってるよ。それでフレンド登録しときたいから会いたいんだけど」
「うーん。今はまだ難しいわね」
「何で? もう先行っちゃったとか?」
「いやそうじゃないんだけど」
ということで奏太に私の現象を説明し、中央街に行くのはまだかかることを話した。
「マジか! 姉ちゃん魔物で始めたの!?」
「そうよ。ドールって種族」
「えー、大丈夫なのかよ。魔物でプレイするの難しいとか不可能とか言われてんじゃん。それで続けられるの?」
「今のところ何とかなってるわよ」
好きに移動できないのはネックだが、動きや戦闘面での心配は今のところないから大丈夫だろう。まぁ、今更作り変える気もないが。
「そうか。それじゃあしゃあないな」
「そうね。もし中央街に行けるようになったら連絡するわ」
「わかった。んじゃおやすみ」
「おやすみなさい」
通話を切った私は、明日の大学の支度をしてから眠りについた。