北フィールドでレベル上げ
《種族レベルが上がりました。任意のステータスに2ポイント追加してください》
《職業レベルが上がりました。スキルポイントが2ポイント追加されました》
《従魔『アシュリー』の種族レベルが上がりました》
《従魔『ベル』の種族レベルが上がりました》
《従魔『セル』の種族レベルが上がりました》
……
バードイーターを倒し終えると、久々にレベルアップした。
ここへ来るまでに上がると思っていたけど、真っ直ぐに来たから思いのほか倒せずレベルアップまで行かなかった。
とは言え、屋敷での戦闘の事を考えるとやはり遅く感じてしまう。
自分のステータスを割り振っていると、皆が集まってきた。
「ふぅー。何とか倒せたみたいだな」
「そうね。中々大変だったわね」
「いや、かなり強かったですよ。絶対南のボスより強いです」
「あらそうなの」
「それよりあの時はマジで助かった! クリスが口塞いでくれなかったらまた食われて死ぬところだったぜ」
「思いつきでやったけど、うまくいって良かったわ」
「クリスさんが動けなかったら、負けてたかも。本当に助かりました」
「同じパーティーなんだから助け合うのが当然よ。あのままだったら私までやられていたかもしれないのだから」
ひとしきり口に出し落ち着いたのか、ポチもネコーニャもステータスやらの確認をし始めた。
丁度良いので私もバードイーターのドロップアイテムを確認した。
【素材】鳥喰蜥蜴の皮 レア度3 品質C
バードイーターの皮 弾力があり丈夫なだけでなく、加工によっては隠密性能のあるアイテムが作れる
【素材】鳥喰蜥蜴の舌 レア度3 品質C
バードイーターの舌 伸縮性があり粘ついている 珍味として一部で食べられている
【素材】鳥喰蜥蜴の黄金瘤 レア度4 品質C
バードイーターの鼻先の瘤 木の実に見えるこの瘤は、光と見た目で鳥を引き寄せる疑似餌の役割を持つ 声を反響させて相手を惑わす超音波を出す
手に入ったのは、皮と舌と瘤。皮はオトメちゃんにお願いしたら何か作ってくれるかもしれないけど、舌と瘤は本当に使い道がわからない。
あんな舌食べたいとも思わないし、見た目こそ木の実なのに、瘤だとわかると途端に何かしたいとは思わなくなってしまった。だって瘤の中身とか見たくないでしょう?
すると確認を終えたポチが私たちに話しかけてきた。
「猫、クリス、今日は本当に助かった。ありがとう」
「何よ改まって気持ち悪い」
「素材は微妙だったけど、いい経験値になったから別にいいわよ」
「あーうん。まぁいいや。俺、クエストの報告に行きたいからパーティー抜けようと思うんだがいいか?」
神妙に言うから何かと思ったら、そんなことだった。
私は時間まで自分のクエストとレベル上げをする予定だけど、別にパーティーを解散したところで戦力的にも問題ないだろう。
わざわざ報告に付いていく気もないのでここか街の近くで解散が妥当だろう。
「私は構わないわよ。ネコーニャは?」
「私もいいかな。それに私そろそろログアウトしたいから丁度良いです」
「なら解散でいいかしら。街まで行かなくて平気かしら?」
「大丈夫です」
「問題ない」
と言うことでパーティーを解散し、私は残る旨を伝えると、別れ際にポチが真面目な声で私達にある提案してきた。
「実は俺、ちゃんとパーティー組んだの今回が三度目なんだよ。掲示板で広まってからは誰もパーティー組んでくれなかったんだ。クエストの事でも感謝してるがパーティー組んでくれたことにも、本当に感謝してる。だから、その、俺と、フレンドになってくれませんか!?」
いきなり自分語りし始めたから何かと思ったけど、ポチはただフレンドになりなかっただけのようだ。
覚悟を決めたように言うポチに驚いてしまったけど、それに対する私達の返答はもう決まっている。
「いやよ」
「絶対やだ」
「な、なんで!? 今、うんって返す流れだったじゃん!」
「毎回覗いてくる奴とフレンドになんかなりたくないわ」
「あんたは自分の行いを自覚した方がいいよ」
「ド正論過ぎてぐぅの音も出ない! チクショー、また見つけたら声かけてやるからな! わおおおん!!」
遠吠えを上げながら走り去っていく後ろ姿を呆れながら見送り、ネコーニャと目が合うと二人同時に笑いだした。
落ち着くとネコーニャも街へ戻るというので見かけたら声を掛ける約束をして別れた。
さて、それじゃ私達だけになったことですし、クエストをこなしつつレベル上げでもしましょうか。
~~~~~~~~
バードイーターを倒してネコーニャとポチと別れた後、私達はフィールドをぶらつきモンスターを見つけ次第倒していた。
「「やっ!」」
「……」
「行かせません!」
『……』
「……私の出番がないわね」
今も三体のソウチョウが愚直に向かってきたんだけど、ベルとセルが二体に矢を当て転倒させ、杖の子がダメージを与え、アシュリーが残った一体の突進を受け流しつつ顔を強打し、斧剣槍の三人がそれぞれ武器を振るい止めを刺し、私が手を出す前に終わってしまった。
これまでの戦闘で納品に必要なアイテムやマルクロウ討伐など、受注したクエストは終わって、今はレベル上げの最中だ。
だがそれもこの戦闘で一区切り着いた。
《スキル【短剣術】のレベルが20になりました。新しく【連続斬】を覚えました》
《スキル【短剣術】のレベルが規定値になりました。派生スキルが取得出来ます》
《スキル【死霊魔術】のレベルが10になりました。新しく【ウィスプアタック】を覚えました》
《従魔『ベル』の種族レベルが上がりました》
《従魔『ベル』の種族レベルが規定値になりました。進化が可能です》
《従魔『セル』の種族レベルが上がりました》
《従魔『セル』の種族レベルが規定値になりました。進化が可能です》
《従魔『 』の種族レベルが上がりました》
《従魔『 』の種族レベルが規定値になりました。進化が可能です》
……
新規組のレベルアップだけでなく、私のスキルも丁度上がった。
【短剣術】の連続斬は、その名の通り発動すると最大五回まで連続で斬り続けられる技で、隙もあるが威力も大きいのでここぞと言うときに使えばいいと思う。
それに派生スキルと言うのも解放され一覧に追加されたが、これは後で確認しよう。
【死霊魔術】のウィスプアタックは、初の攻撃技だ。使うと人魂が現れて、敵に突っ込んで攻撃していた。ある程度はこちらの指示を聞いてくれるので使い勝手悪くはなかった。ただ、威力は低いのでこれだけで戦うのは無謀だろう。
そしてついに、新規組のレベルが10になり進化できるようになった。
皆もそれがわかっているのか嬉しそうな顔で私へ寄ってきた。
「「やったぁ、クリス様! 私達進化できます!」」
『……!』
「皆お疲れ様。そうね、進化できるようになったわね。折角だから屋敷に戻って、落ち着いて進化しましょうか」
『わかりました!』
うん、素直でよろしい。
それから私達は邪魔する敵だけを倒して、街へ戻りそのまま転移して屋敷へ帰った。




