PKとの遭遇
《フィールドボスモンスター『ポイズンジャイアントエイトレッグ』を撃破しました。報酬としてスキルポイントが2ポイント追加されました》
《フィールドボスモンスター『ポイズンジャイアントエイトレッグ』を初撃破しました。報酬としてアイテムを配布しました》
《フィールドボスモンスター『ポイズンジャイアントエイトレッグ』を初見撃破しました。報酬としてアイテムを配布しました》
《フィールドボスモンスター『ポイズンジャイアントエイトレッグ』をソロ撃破しました。報酬としてアイテムを配布しました》
《種族レベルが上がりました。任意のステータスに2ポイント追加してください》
《職業レベルが上がりました。スキルポイントが2ポイント追加されました》
《スキル【投擲術】のレベルが5になりました。新たな技【クイックスロー】を覚えました》
《従魔『アシュリー』の種族レベルが上がりました》
うん。無事アシュリーはやってくれたようだ。流石は私のメイドさんね。と内心アシュリーを誇らしく思っていると、まだメッセージに続きがあった。
《東第一エリアのフィールドボスが『匿名』によって撃破されました》
《東エリアの通行が再開し、住民のお店のアイテムが増えました》
《冒険者ギルドのクエストが追加されました》
多分だが今のは私だけじゃなく全てのプレイヤーにもメッセージがされたんだろう。所謂ワールドメッセージというやつだ。まぁ私の名前が晒されたわけじゃないから特に気にしなくてもいいだろう。
強いて言えば、私にワールドメッセージが来なかったのは謎だが。もしかしてダンジョン内だとワールドメッセージが来ないのかもしれないわね。
さて、蜘蛛の消失と共に毒糸もなくなったから早くアシュリーを褒めるとするかしら。何て思ってたら、血相を変えてアシュリーの方からやってきたところだった。
「ク、クリ、クリス様ぁ。だい、大丈夫、ですか、痛くないですか」
「アシュリー? どうしたのよ。そんなに慌てて」
「だって、毒糸を浴びちゃうし地面に叩き付けられるし、それに、私が、踏ん付けちゃったし……」
ふむ。どうやらアシュリーは、私が攻撃されたこともそうだが、一番は自分が私を踏み台にしたのを気に病んでいるようだ。全くまだまだ子供なんだから。
「いい、アシュリー。あなたもそうだけど私には状態異常に耐性があるし、衝撃もそこまで響かないから体はもう平気よ。それにあれは私が考えた作戦で、私がやるようにお願いしたの。アシュリーが気に病むことじゃないわ」
「でも……」
「もう。今回もアシュリーのおかげで倒すことが出来たのよ。それに今回はあなたが倒したのよ。もっと自信を持っていいと思うわよ」
「それは、クリス様の作戦があったからです」
はぁ、本当にこの子は私が少し危険に陥るとすぐに自分のことを下にする。主従の関係だったらそれでもいいのかもしれないけど、私はそれだけの関係など御免被るわ。
「私は、あんな行き当たりばったりの無茶苦茶な作戦をやり遂げてくれたアシュリーを誇りに思うわ」
「えっ」
「言うことを聞いて主人を守るのも素晴らしいと思うわ。でも私はアシュリーにそれ以上の事を望んでいるの」
「それ以上って、何ですか」
「アシュリーには、私の言うことよりも私とあなたが喜ぶ事をして欲しいの。私を守るだけじゃなく、一緒に考えて、共に戦って、互いに護り合って、絶対に生き残る。そんな仲間、いいえ家族のような存在になって欲しいのよ」
「家族……」
「ふふ。かなり恥ずかしいことを言ってしまったわ。でもこれが私のお願い」
「クリス様」
「私は、ボスを倒したアシュリーを誇りに思うわ」
「はい、はい!」
「はー恥ずかしかった。変な寄り道しちゃったけど、早いとこ街へ行きましょう」
「畏まりました!」
ついさっきも手に入れた気がするが、またもボス撃破報酬が手に入ってしまった。でもこれらの確認はまず街に入って落ち着いてからにしよう。
さてさて、さっきは採取ポイントとかにつられてふらふらして、まさかまたボスモンスターと戦うとは思わなかったけど、今度はマップをしっかり確認してまっすぐ中央街へ向かうとしよう。
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それから、向かってくる敵だけ倒し採取ポイントなどはスルーして進んでいた。マップを見るともう少しで森を抜けて、中央街が見えてくるところだ。
ようやく街へたどり着くと、少しペースを上げて歩いていると、不意に【気配察知】に反応があった。
「アシュリー、ストップ」
「ん? モンスターですか?」
「いや、これは、プレイヤーだわ!」
【気配察知】を頼りに相手を探ると、魔物と違うこの感じはどうやらプレイヤーのようだ。そう認識した途端に、プレイヤーの気配というのがはっきりとわかるようになった。多分システムが働いたのだろう。
それよりも初めてのプレイヤーとの遭遇だ。
屋敷には結局誰も来なかったし、この森も中央街の隣にあるフィールドのはずなのに今まで誰とも遭遇しなかった。
私は魔物型で始めたから、他のプレイヤーがどんな容姿をしているか、どんな職業でプレイしているかとても気になっていた。それに本当に街に近づいている事への確信にも繋がり、今から街に入るのが楽しみで仕方なくなっている。
そこでふと魔物型である自分が行っても平気なのかとよぎったが、マリオネットの見た目はプレイヤーと変わらないから気にしなくてもいいかと自分に言い聞かせた。
さてさて、それで【気配察知】で見つけたプレイヤーさんなんだが、どうやら休憩してるらしくその場を動いていなかった。
でもその場所は私がまっすぐ進もうとしていたとことちょうど重なっていた。他の人を見たい気もしたが、休憩を邪魔しても悪いので、少しだけそこを迂回して進むことにした。もう街まで直ぐみたいだし、今更迷うこともないだろう。
そうして進んだはずだったんだけど、
「よぉネェチャン達。ずいぶん良い服着てんな!」
「噂んなったせいでそろそろ場所変えるかと思ってたんだが、最後にこんな良い装備した女が来るとはなぁ! メイドさんだぜ俺ら運が良い!」
「さぁて、ネェチャンらには悪ぃが死んでもらうぜ」
「俺らに出会うたぁ運が悪かったな! まぁここらに近づく奴らはみんな見張ってたんだがな!」
何でかそのプレイヤーが近づいてきて、私にそんなことを言い放った。
これって私が魔物型だとわかって言っているわけじゃないわよね。
「あの、クリス様。これって」
「あー、多分PKという奴ね。プレイヤーを倒して装備やアイテムを奪う、いわば強盗よ」
「大変じゃないですか! ど、どうしましょう?」
「確かに穏やかじゃないわね。まぁ向かってくるなら全力を尽くすだけよ。アシュリー、構えなさい」
「はい!」
「おっ、やるのか! いいぜ!」
「へへっ、可愛がってやるよ!」
アシュリーが構えるのと同時に、大柄の大剣使いと小柄な短剣使いが向かってきた。
「うーんプレイヤーには識別が効かないようね。アシュリーは小柄の方を任せたわ」
「畏まりました」
アシュリーが先に接敵し、短剣の応酬を始めた。
私の方も大柄の男が直ぐに来て、大剣を横に薙いだ。それを後ろに下がって躱すと、私も短剣を取り出し、戦闘を開始した。
深追いせずに数度やり取りをしたが、この人森での戦闘は慣れているみたいだが、だからといって大剣の扱いが上手いとは言えなかった。ゲームでの大剣に慣れていないのかもしれない。
まぁ大剣が木にぶつかるように誘導しても、むやみやたらに大剣を振るわないだけマシだろう。
だが、アシュリーの方は苦戦していた。
今までプレイヤー、人との戦闘をしたことがなかったアシュリーは、簡単なフェイントや短剣以外のスキルの攻撃に対応できず、じわじわとダメージを蓄積させていた。
そんなアシュリーの心配をしながらしつこく誘っているとそれが功を成し、大柄の男が大剣を大振りに振りかぶった。
それを私は、しゃがむことで躱し、即座に立ち上がり男の首めがけ短剣で斬りつけた。
が、短剣が喉を切り裂くより先に、何処からともなく飛来した矢が私の頭に突き刺さり、その反動で後ろに倒れた。
「クリス様!!」
「あっぶねえ! 助かったぜ!」
「ほぉら、メイドちゃんもよそ見してると危ないよぉ」
「くっ。きゃあ!」
アシュリーが小柄の男から目を離したその大きすぎる隙に、威力を乗せたダブルエッジを放ち後ろの木まで吹き飛ばした。
「ふぅ。意外と粘られたぜ」
「こっちはすげぇ素直でやりやすかったぜ」
「……止めを刺すぞ」
べらべらと話す二人の間に上から弓を持った男が降ってきた。樹上で機会をうかがい矢を放ったのはこの男だろう。
もういつでも倒せると思っているであろう三人は、止めを刺すために二人の元へと歩みを進めた。
ここが頃合いだろう。
「バインド」
「何だこれ!?」
「なっ! こいつ生きてる!?」
「スクウィード」
「ぐぎぃ」
矢を受けた頃から、気付かれないように糸を伸ばしていた私は、二人が弓使いから離れたタイミングで弓使いを拘束と締め付けをしムクリと起き上がると、近くにいる大柄の男を無視して弓使いから先に倒すべく駆け出した。
「貴様っ! よくも!」
「へぇ、まだ動けるんだ」
「ふん!」
「ぐ!? 力が増してる!?」
同時に私は【糸操り】でアシュリーを強化して、かつフェイントにも対応できるように力添えをした。そのおかげかさっきより動きがよくなっている。
簀巻きにされ横たわっている弓使いに馬乗りになると、拘束が解かれる前に首めがけ短剣を振り下ろした。それを二度、三度と繰り返す。
すると【気配察知】が大柄の男に反応したので、腕をそのまま動かしながら、頭を真後ろへと振り返った。
「ひっ、ひいぃぃ」
「あら?」
「く、首がぁ!」
「あぁ」
振り返ると大柄の男が近くにいたのだが、攻撃もしてこず非常に怯えていた。
何だろうと思っていると、男の呟きで気がついた。確かに人の首が百八十度回転したら私も驚くだろう。だけどこれはゲームで私は魔物なのだ。こんなことぐらいでここまで驚かなくてもいいと思う。
そうこうしている内に弓使いが死に戻った。一先ずこれで逃げられると面倒そうな相手は倒せた。それにこれで二対二とちょうどよくなった。
のだけれど、私が首を後ろにしたまま立ち上がると、男が尻餅をつきそれだけでなく後退りまでし始めた。
……ここまでの反応をされると少し同情してしまう。きっと見た目に似合わずホラー系が苦手なんだろなこの人。
でもこの森は屋敷に行くときも通るから毎回この人達に絡まれると面倒ではある。それなら少し脅しても構わないだろう。
「ふふふ。この森にいられると邪魔になるから、私が排除しに来たの」
「ひっ!」
「さぁ、次はあなたの番。死ぬまで逃がさないわよ。ふふふふふ」
「ひいいぃぃ!!」
それだけ言うと、完全に戦意喪失しているこの人に、わざとわかるように足下からゆっくりと糸を絡ませていく。
慌てて手足をバタつかせるがすでに遅く、もう逃れることは出来ない程糸が巻き付いている。そのまま顔までぐるぐる巻きにして、あえて片目だけうっすらと見えるように残してから、耳元で囁いた。
「死にたければ、また来なさい。さようなら」
男の心臓に短剣を突き刺した。元々HPが減っていたこともあり、クリティカルアップ込みの急所突きで、めでたく倒すことが出来た。これで倒せなかったら締まりが悪くなるので演出的にも助かった。
さて、こっちは片付いたのでアシュリーを見てみると、力自体は拮抗していたみたいだが、片やボロボロ、だがもう片方は血だらけの状態でボロボロだった。
こちらももう終わりそうだ。
「はぁ、はぁ、何で、血が出て、ねぇんだよ」
「わざわざ答える必要がありません」
「クソ、ありえねぇだろ!」
「あなたとの戦いは、良い勉強になりました。では、さようなら」
出血の状態異常が続きフラフラになっている小柄の男に、アシュリーは止めを刺した。
《種族レベルが上がりました。任意のステータスに2ポイント追加してください》
《職業レベルが上がりました。スキルポイントが2ポイント追加されました》
《従魔『アシュリー』の種族レベルが上がりました》
ふむ。どうやらPvP、対人戦でも経験値はもらえるみたいだ。
それにボス蜘蛛の経験値が多かったのか、この人達が意外と多かったのかは知らないが、もうレベルが上がった。
「お疲れ様、アシュリー」
「はい、大変でした」
「でも一人で勝てたじゃない」
「いえ。クリス様のサポートのおかげです」
「仕方ないわ。相手はプレイヤーなんだから。補助込みでも一人で勝てたのは十分すごい事だわ。それにいい経験になったでしょう」
「はい!」
始めに襲われるとわかったときは、勝てるのかという不安と面倒くささがあったけど、結局は勝てたしアシュリーの対人戦闘の経験にもなったし、悪くない出来事だった。
ていうか私ってPK扱いに……、なってないわね。きっと管理AIがしっかり見てくれているのだろう。
さてさて、またもや邪魔が入ったが、もう中央街の外壁は見えている。
こんな出来事はさっさと終わったことにして、早くあの門をくぐろう。
名前:クリスティーナ
種族:マリオネット Lv12→14
職業:マリオネット Lv12→14
生命力 10
筋力 19→20
知力 15→16
精神力 8
器用 20→22
俊敏 20
スキル 残りSP46→50
短剣術Lv17→18 操糸術Lv11→12 投擲術Lv1→5
光魔法Lv10→11 闇魔法Lv10→11 死霊魔術Lv5→6
木工Lv5 錬金Lv7
魔力操作Lv7 糸操りLv5→6
識別Lv13→14 鑑定Lv13→14 解体Lv13→14
採取Lv1→6 伐採Lv1→5 採掘Lv1→3
状態異常耐性Lv10→11 気配察知Lv1→4
名前:アシュリー
種族:マリオネットメイド Lv10→12
生命力 15→17
筋力 13
知力 13
精神力 15→17
器用 18
俊敏 14
スキル
短剣術Lv12→14 盾術Lv1 かばうLv2
状態異常耐性Lv6 火属性弱点Lv6
忠誠Lvmax




