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元おっさんの異世界転移生活  作者: たくさん。
第一章 勇者と魔王
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元おっさん、仲間から武器の使い方を習う

 翌朝、セントは倒れる前に持っていたはぐれゴブリンの棍棒がなかったことに気づいた。


「なあ、ルー。俺が使っていた武器はなかったか?はぐれゴブリンから奪った棍棒なんだが」

「ああ、あれか。申し訳ないけど、あれ以上武器としては使えないから、処分したよ。代わりに、僕らの予備を使ってくれ。シルバ、頼む」

「わかった」


シルバがはめていた指輪の一つが光り、セントの目の前に様々な武器が出現する。突然のことに、セントは驚く。


「な、なんだ、今のは?急に武器が出てきたぞ?」

「魔道具の一つだよ。通称アイテムボックス。道具や武器を無限に亜空間に収納し、自由に取り出せる。シルバとミリアは指輪型、僕とネイとレーネはポーチ型さ。同じパーティー内なら、中身も共有できる」

「型が違うのには理由があるのか?」

「指輪型なら、一気に大量のものを収納できるが、取り出すときも大量に出すことしかできない。反対に、ポーチ型だと、一つずつしか収納できないし、取り出すのも一つずつしかできないんだ」

「なるほど…そんな違いがあるのか」


セントはふむふむ、と頷いている。


「さて、セントは何を使う?棍棒術を活かすなら、『まどろみの棍棒』がオススメだよ。【睡眠】の魔法が付与されているけど、僕らのパーティーで棍棒を使うメンバーがいないから、余していたんだ」

『まどろみの棍棒』は、素材はおそらく何らかのモンスターの一部だろう。よくよく見ていくと、夜を思わせる三日月の意匠が施されていた。

「体術スキルを使っていくなら、爪や小手類がオススメ。僕とネイはサブウェポンとしてよく使っているよ。槍は今のところ僕とミリアがたまに使うくらいかな。剣は僕のメイン、弓はレーネのメイン、短刀と短剣はネイがメインで使っている。小剣と細剣はレーネがサブでたまに使うくらいだね。斧は、一度僕が使ったけど、どうも間合いが剣より短くてね…以降は誰も使ってないよ」


 セントは試しにまどろみの棍棒を軽く振るってみる。


「ほぉ……握りやすいな」


 形としては、はぐれゴブリンから奪った棍棒と似ている。そのおかげか、それなりに手に馴染んできた。


「他のもちょっと使わせてもらうぞ」

「構わないよ。好きに選んでくれ」


 セントは他の武器種も使ってみる。


「剣は基本的に、斬る、払う、突くの三つ。僕の剣術は、独学だけどね。大体これらを組み合わせて攻撃をしている。斧は突くことは出来ないけど、重さを活かして遠心力に乗せると、剣より絶大な威力を発揮できる。槍も剣と基本は一緒だ。ただ、槍の真価はその広い間合い。柄を長く持つと、大振りになる代わりに、斧にも引けをとらない威力を出せる。小手と爪は、あまり威力がないけど、接近された時に防御にも使えるのがメリットだね」


 ルーからは、剣、斧、槍、小手、爪の使い方をレクチャーされた。


「弓は使い方がシンプルよ。矢をつがえて、弦を引いて放つだけ。ただ、問題は目標に当てられるかどうか。威力は、弦自体の強さ、引く力、鏃の鋭さに依存するわ」


 木の枝から吊るした木片を仮の目標として、矢をつがえ、放つが、目標の5メートルほど手前の地面に刺さる。


「……わかってはいたけど、これ、かなり難しいな……」


 レーネに弓の使い方を教わるが、初心者のセントにはまだ無理のようだった。


「小剣と細剣は、攻撃までの速さが取り柄よ。基本は速さを活かした突きの鋭さ、相手からの攻撃の軌道を点で逸らす技術が必要。これも慣れが要るわね」


 セントが実際にやってみると、突きはそれなりにできるが、逸らしはどうも上手くいかなかった。 


「慣れるまでは、盾も併用すると、安定するかもね」

「なるほど。勉強になる」


「短刀と短剣は、小回りが利くのが一番のウリだよ。間合いはかなり狭くなるけど、懐に入ってしまえば相手は距離を取るか、守勢に回らざるをえない。ただ、そこまで接近できる機会はそんなにないから、アタシは投げることが多いかな」

「投げたら、後で回収するのか?」

「アイテムボックスに登録しておけば、何かに刺さった時点で自動的にボックス内に収納されるよ?」

「そんな便利な機能もあるのか…」


 ネイに短刀と短剣の使い方をレクチャーされ、ついでにアイテムボックスの便利機能も教わった。ただ、当然ながら、武器を投げて目標へ命中させるのも、かなりの練習が必要みたいだった。


「それにしても、アイテムボックスって凄いんだな」

「そりゃ、そうだよ。一つ買うのも相当高い魔道具なんだから。悪いとは思うけど、今は予備がないから、セントの分はちょっと待っててね」


 ルーが申し訳なさそうに言ってくるが、セントは全く気にしてなかった。


「いや、構わない。俺には旅魔法があるからな」


 旅魔法は、旅に役立つ魔法、とあった。つまり、地図はもちろん、旅に必要なバッグの機能を持つ効果のもあるはず。

 そう思って、半透明のウインドウを開き、旅魔法の効果を確認する。


「地図……転移……と、おっ、あったぞ。鞄。詳細は……やっぱり。収納と取り出しがあるな。さすがに容量には限界あるか。まぁ、今はいいか」


「「「「「収納効果まで?!」」」」」


「あ、ルーたちのアイテムボックスのほうが効果が上だろうな。とはいっても、レベルが上がれば、容量も増えるみたいだ」


 現在のセントのレベルは8。鞄の容量は、自分のレベル×3キログラムまで入るらしいので、今は24キログラムまで入るようだ。大きさの上限はなく、大きかろうが小さかろうが、重さで線引きされているそうだ。容量オーバーになってしまった場合、自動で収納不可となり、収納したい物の一部だけ入る、なんてことは起きないらしい。


「ほんと、旅に関することは何でもできる魔法なんだね……」


ルーたちは、驚きを通り越して、呆れてしまっている。


「設定で色々変えられるようだな。とりあえず、パーティー内の収納物のやり取りを許可しておくぞ。これにより、ほぼ容量限界の問題は解決されるはずだ。念のため、俺が抜けた時にすぐ返せるように、借りた武具はパーティー内の亜空間に自動で戻るように設定しておく」


 今後、セントが私物を収納する際は、自分の鞄に必ず戻るように設定しておく必要もあるだろう。


「あ、うん。わかったよ」


「というわけで、しばらく武器を借りるぞ。少しでも慣れるように、毎日訓練させてもらうよ」


 ここ、ヌル草原は、よく人の移動があるせいか、それほど強い敵は出現しない。おかげで、戦闘訓練を積むのに適している。

 セントはルー達と共に、近くの街までの移動で出現する敵相手に、様々な武器を使いつつ、仲間との連携を確認していく。


 ルー達の戦闘スタイルは、比較的シンプルだった。まず、ネイとレーネが索敵、発見するとレーネが一射。それで相手がこちらに向かってくると、ミリアがパーティーに強化魔法をかける。接近してきたらルーとネイが前衛で受け、レーネが援護し、シルバが攻撃魔法の詠唱を始める。シルバの詠唱が終わると、前衛は相手から距離を取り、敵はレーネの矢で足止め、攻撃魔法を炸裂させる。魔法が効きづらい敵には、アタッカーを前衛に任せ、シルバは相手の動きを封じる魔法を使い、前衛を援護する。

 敵が複数の場合もほぼ同じだが、レーネがミリアとシルバを護衛するように立ち回るようだ。


「前衛は基本的にルーとネイ、後衛はシルバとミリア、遊撃の中衛はレーネといったところか。前衛にも後衛にも向かない俺は、やっぱ中衛か」

「そうしてくれるとありがたい。中衛なら、僕らで守りながら戦えるし、強くなったら援護も期待しているよ」


ルーの言葉を受け、頑張ろう、と意気込むセントだった。











セント・トキワ レベル10

旅人レベル3

ブレイドパーティー所属

体術レベル2 棍棒術レベル2 剣術レベル0 斧術レベル0 短刀剣術レベル0 小手術レベル0 爪術レベル0 槍術レベル0 細剣術レベル0 小剣術レベル0 弓術レベル0 投擲術レベル0 盾術レベル1 手心レベル1

旅魔法レベル4 治癒魔法レベル0 投影魔法レベル0

耐久力 S+

魔力 S+

筋力 D+

体力 D+

器用さ A+

知力 S+

精神力 S+

素早さ D

称号 異世界転移者 世界を学ぶ者 武芸者

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