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元おっさんの異世界転移生活  作者: たくさん。
第一章 勇者と魔王
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元おっさん、勇者パーティーに入る

「はぁ…リーダーのルーが決めたんじゃ、仕方ないわね。セント、といったかしら?あんた、レベルいくつで、何が出来るの?」


 焚き火を6人で囲み、まずは魔法使いのシルバが俺に質問してくる。


「レベルは…8、ですね。役に立ちそうなのは、体術と棍棒術くらいですかね?治癒魔法も使えるみたいですが、使ったことないから、たぶん使いこなせません」


セントはステータスを見ながら、戦闘に使えそうなスキルを挙げていく。魔法の欄に治癒魔法と投影魔法が増えていたが、おそらくそれは僧侶のミリアの魔法とシルバの魔法を体験したからなのだろう。


「は、8ですって?思いっきり足手まといなんですけど?!」

「皆さんは、どのくらいなんです?」


女性陣が心底嫌な顔になる中、セントの質問にはルーが答えた。


「まぁ、この世界に来てから間もないんだから、仕方ないんじゃないかな?皆に代わって答えるけど、僕はレベル50。シルバは48。レーネは52。ミリアは45。ネイは47だったかな」

「レベル差が激しすぎる…」


セントはあまりの戦力差に呆然とする。


「完全にお荷物じゃない。戦闘以外では何か出来ないの?」


完全に馬鹿にするような態度のシルバ。


「戦闘以外だと、旅魔法くらいですかね…」

「「「「「旅魔法?!何、それ?!」」」」」


5人が驚いたような表情になり、セントに詰め寄ってくる。

「旅に役立つ魔法ですよ。行ったことのある場所ならどこでも行けたり、地図を表示したり………」

「「「「「転移魔法?それに地図だって?!!」」」」」


また、5人がハモった。


すると、女性陣が揃ってセントに土下座をしてきた。


「「「「侮ってスミマセンでした!是非、旅に同行してください、お願いします!!」」」」

「あ、いや…そこまで気にしてなかったから。問題ないですよ」


セントは女性陣を宥めるような言葉をかける。


「戦闘できなくても、転移可能なだけでスゴいことなんだ。何せ、転移魔法なんて、早々に使える魔法じゃないからね。やっぱり、セントは異世界人だよ。その力は、君じゃないと使えない。やはり、君を誘って正解だったよ」


ルーが満足そうに頷いている。


「ところで、セントの転移魔法…じゃなかった、旅魔法には、何か制限があるんじゃないか?」

「まぁ、一応は。転移できるのは、俺が行ったことのある場所だけだ。だから、今の俺にはあまり使い道が無いんだ」


 期待に応えられず申し訳ない、というセント。


 だが、ここでシーフのネイが、思わぬ提案をしてきた。


「それじゃあ、これからここまで来た道を引き返していくってのはどう?どうせお兄さんの旅魔法でいつでもここに戻ってこれるんだし、道中は私たちがいれば、まず負けないだろうし、お兄さんのレベル上げにもなるでしょ?」

「その手があったわね…」


感心するレーネ。


「いいね、それ!よし、まずは、旅の始まりの王都に戻るとしよう!」


ネイの提案に、ルーも乗り気だ。


「それに、途中の温泉街に辿り着ければ、以降はいつでも温泉を楽しめる………」


女性陣は、ふふふっ、と企むような笑みをたたえている。どうやらそっちが本命らしい。


「…なんか俺、完全にアッシー君扱いされてない?」

「セント、アッシー君って何のこと?」


素朴な疑問をしてくるルー。


「説明すると、ものすごく長いんだが…。簡単に言うと、俺が元いた世界での約30年前くらいにいた、意中の女性に呼び出されて、対価をもらわずに目的地まで運ぶような都合のいい男のことだよ」

「信じられないね…僕なら、いつかその相手に何らかの形で返そうと思うかな」


二人でそんなトークをしていると、ミリアがセントに声を掛けてきた。


「セントさん、まずは言っておきたいことがあります」

「な、ナンデスカ?」


何か威圧感らしきオーラを滲ませるミリアに、若干引き気味で答えるセント。


「私たちはもう仲間です。従って、敬語はもう使わないでください。ちなみに、私の敬語は、これが素なので気にしないでください」

「は、はぁ…」

「それと、先程ルーと話していたことですが、私たちは決してセントさんをアッシー君にはしません。ちゃんと対価は支払います。勿論、出来る範囲で、ですが」

「出来る範囲で、か…」


セントの脳内に、一瞬不埒な対価が浮かんだが、すぐに抹消する。

「なら、この世界のことを教えてくれ。それと、魔法やスキルの効率的な使い方も」

「「「「えっ………?」」」」


セントの提示した対価に、女性陣がそろって疑問の声を上げる。


「そ、そんなんでいいの、お兄さん?」

「てっきり、裸を見せろ、とか胸を揉ませろ、とか言われると思っていたのだけど…」

「意外と紳士なのですね」

「お前ら、俺をなんだと思っていたんだよ…」


敬語は不要と言われたので、セントは遠慮なく突っ込みを入れる。


「「「「見た目18歳、中身35歳のエロい元おっさん?」」」」

「そこはハモるなよ!こんな俺でも、かなーり傷付くぞ?」


はぁ、と疲れたようなため息をつくセントだが、ルーは楽しそうに笑っている。


「ははっ、セントがみんなと仲良くなってくれて嬉しいよ!これからよろしくね!」

「仲良くなったとは言えないと思うがな…」


 こうして、癖のあるパーティーの一員として、セントの旅が始まった。

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