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元おっさんの異世界転移生活  作者: たくさん。
第一章 勇者と魔王
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元おっさん、仲間と共に赤兎を討伐する

 セントはレーゼの森からレード入り口まで転移してきた。

 そこには既に、戦闘準備万端の4人が待っていた。


「……来たわね」


「待たせた。………!グフッ………」


 先ほどまで上空にいたため、気圧の変化で負荷がかかったセントは、血を吐いてしまう。


「だ、大丈夫ですか?!すぐに回復を……」


ミリアがセントに治癒魔法をかけようとしたところ、セントはそれを右手で制する。 


「……俺のことは後回しだ!今は時間がない。すぐにルーのところまで転移するぞ!全員俺の体に触れろ!」


一瞬躊躇した4人だが、すぐにセントの体に触れる。


「いくぞ!」


 セントの掛け声と共に、5人はあっという間に赤兎との戦いの場へ転移する。


 ジャイアントラパン(赤)は、どうやらセントの置き土産からまだ出られてないようだった。


「ルー!連れてきたぞ!!」


「セント!助かるよ!!」


ルーが5人の元へやって来る。


「ねぇ……あれって何……?」


ジャイアントラパン(赤)が透明な箱に閉じ込められているような光景に唖然とする4人。


「ん?セントの魔法だよ。………そういえば、みんなには話してなかったね」


「「「「あれがセントの魔法だって……?!」」」」


「……ハモるな。俺の受けたダメージに響く……」


セントは顔をしかめ、四人を睨む。


「そ、そうでした!セントさん、すぐに回復を!【癒しの光(ヒールライト)】!」


ミリアはセントに治癒魔法をかけ、回復させる。


「……サンキュ、ミリア」


セントはジャイアントラパン(赤)の方へ目を向ける。そろそろ相手はあの箱を破りそうだったからだ。


「説明は後回しだ。今は奴を倒すのが先決だ」


「あれって、ジャイアントラパンよね?毛色が赤いってことは、変異種ってところかしら」


シルバが冷静に観察する。


「みたいだ。通常種よりも多少頭が回り、行動パターンも一定じゃない。十分S+クラスのモンスターだろうね……」


ルーがこれまでの奴の行動から、相手をそう判断した。つまり、勇者パーティー全員で相手にするべきモンスターだと結論付けたのだ。


「幸い、セントのお陰で左目を奪うことができた。今の状態なら、全員でかかればおそらく楽に討伐できるはずだ」


「へぇー……やるじゃん、セント」


ネイはセントを小突いてくる。


「片目を失っているなら、死角が増えるわね。セントにしては上出来じゃない」


「そりゃどうも」


レーネに誉められたのは、セントにとってはこれが初めてだ。


 そうこうしているうちに、ついにジャイアントラパン(赤)がセントの置き土産を破って出てきた。ただ、全身には鏡の破片が大小突き刺さっていることから、それなりのダメージを負ったのが窺える。

 視界に捉えているのは、セントだけのようだった。


「うわぁ、俺、完全に奴の怒りを買っちまったなぁ」


思わず愚痴がこぼれるが、仲間がいるというだけで、全く恐怖が湧かなかった。


「ルー、あいつの狙いはたぶん俺だ。どうにか逃げ回るから、攻撃頼んだ」


「わかった。無理はしないでよ?」


「当たり前だ!」


 セントはジャイアントラパン(赤)へと向かっていく。


「ミリア、援護を頼む。シルバは魔法の詠唱を。レーネは周囲の警戒を。他のモンスターが現れないとも限らないからね。ネイ、奴の死角から攻めるよ!」


「「「「了解!」」」」


ルーが全員に指示を出し、行動を開始する。


「戦士達に祝福を!【能力強化(エンハンス)】!」


 ミリアはまず、パーティー全員に強化魔法を掛ける。これにより、全員のステータスが倍近くまで強化されるのだ。


 周囲を警戒していたレーネは、戦闘音に寄ってきた邪魔になりそうな低ランクモンスターを片っ端から倒していく。だが、倒すより寄ってくる数が多いため、一向に減らない。


「もう!面倒だわ!【アローレイン】!」


一度に数百単位の矢を広範囲に放つ弓スキルの技を使い、一気に数を減らしていく。


「ルー達の邪魔はさせない!!」


 セントは【大気壁(エアウォール)】と転移を使いながら、ジャイアントラパン(赤)を翻弄していく。

 転移単独では相手に読まれてしまうが、逆にそれを利用することを思い付いた。


(現れる寸前に【幻影鏡(ファントムミラー)】を展開し、俺と鏡の間に【大気壁(エアウォール)】を展開しておけば、破片は一方的に相手に向かうんじゃないか……?)


 命名、硝子の盾。仮に衝撃によるダメージを受けたとしても、直撃は免れるだろう。そして、セントにとっては、ミリアがいることで、すぐに回復できるため、挑戦する価値は十分にある。


(ついでに、割れた瞬間に【大気壁(エアウォール)】の大気の圧縮を解いてやれば、破片を相手に飛ばすこともできるんじゃね……?)


仲間がいる安心感から、どんどん魔法の使い方を思い付くセント。


(まぁ、安全を考えると、【大気壁(エアウォール)】は二重にしておけばいいか。それなら、一層の大気圧縮を解放しても、まだ一層の壁が残っているわけだし……)


 そこまで考え、セントは詠唱を始めた。


「影よ、風よ、我が呼び声に答えよ。光よ、水よ、その姿を示せ」


 ジャイアントラパン(赤)は爪や蹴りでセントに攻撃をしてくるが、やはり体勢が悪くなる空中では当たらない。


「火よ、土よ、形を成して結合せよ。盾となり、矛となれ。敵を戒め、味方を守れ!【鏡の盾(ミラーシールド)】!!」


 セントの前に、光を反射して輝く巨大な盾が出現する。その姿はまるで、光の盾だ。大きさはおそらく、縦横それぞれ5メートル。ジャイアントラパン(赤)を優に越える盾である。


(ありゃ?なんか想像したのと違うけど……まぁ、いいか)


 ジャイアントラパン(赤)は、破壊するべく盾に向かって踵落としを繰り出す。

 しかし、表面の鏡状の箇所が崩れる程度で、盾そのものには影響がない。


「【破壊の応酬(ブロークングラス)】!」


セントがそう唱えると、崩れた鏡の破片が勢いよくジャイアントラパン(赤)に向かって飛んでいき、全身にさらなる傷を負わせた。思わず仰け反る赤兎。


 さらに畳み掛けるように、盾のすぐ後ろにいたルーとネイが攻撃を繰り出す。


「【疾風斬り】!」


ネイは両手の短刀と短剣から、計6回の斬撃を放つ。怯んでいた赤兎は対処できず、あっさりと6本の切り傷が刻まれる。ネイに反撃をしようとしたところで、今度はルーの攻撃が襲いかかる。


「【斬影剣】!」


正面と背後に斬り上げと斬り返しを同時に受け、夥しい出血が生じる赤兎。ルーにどうにか一撃を与えようと爪を振りかぶるが、間にセントが転移してきて、巨大な鏡の盾を構えて受ける。そして当然、


「【破壊の応酬(ブロークングラス)】!」


鏡の大小の破片が赤兎へと降り注ぐ。全身から出血しているジャイアントラパン(赤)は、そろそろ満身創痍の状態になりつつあった。

 さらに、ついにシルバの詠唱が完了するのを確認すると、ルーはセントとネイに指示を飛ばす。


「二人とも、距離を取るよ!」


「「わかった!」」


 ジャイアントラパン(赤)は、敵わない、と判断したのか、逃げる仕草をする。


「……逃さないわ!【影矢(シャドーアロー)】!」


レーネから漆黒のオーラを纏った矢が放たれ、赤兎の影へと刺さる。すると、赤兎が倒れ、地面に縫い付けられた。


「燃え尽きなさい!【炎渦(フレイムストーム)】!」


 シルバの魔法により赤兎の全身に炎の渦が現れ、動けない赤兎を燃やし尽くす。

 炎が鎮火すると、赤兎の毛皮と爪だけが残され、それ以外の部位は消し炭になっていた。


「……討伐完了、かな?」


ルーの言葉で、6人はハイタッチを交わして喜んだのだった。














セント・トキワ レベル20


旅人レベル7


冒険者ランク E


所属クラン グラスウィード


ブレイドパーティー所属


体術レベル4 武器操術レベル2(棍棒術レベル4 剣術レベル2 斧術レベル2 短刀剣術レベル2 小手術レベル2 爪術レベル2 槍術レベル2 細剣術レベル3 小剣術レベル2 弓術レベル3 投擲術レベル4) 盾術レベル3 手心レベル2 回避術レベル4 詠唱強化レベル3 思考加速レベル3 空間把握レベル4 解体術レベル2 解析鑑定レベル2 詠唱短縮レベル2 詠唱破棄レベル2


旅魔法レベル8 治癒魔法レベル0 投影魔法レベル7 補助魔法レベル0


耐久力 SS+


魔力 SSS


筋力 A+


体力 A+


器用さ SS


知力 SSS


精神力 SSS


素早さ S+


称号 異世界転移者 世界を学ぶ者 武芸者 術戦士 マジッククリエイター

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