7-10 舞台裏の後片付けと追憶の整理(10)
お久しぶりでございます。
梅雨続きですが『七夕見舞い』を申し上げます。
よろしくお願いします。
※まだまだ巫女姫様編が、続きます。
苦手な方は、閉じてください。
休み時間になり…言葉通りに“いのり(姉)”は、冬霞殿をつれて『ある場所』に向かっていた。
向かった先は、院長室だった。
思わぬ場所に冬霞殿は、目を丸くしていると“いのり(姉)”は、院長室の扉を3回ノックをし、返答を待った――…直ぐに院長の「どうぞ」の一言が、二人の耳に届いた。
院長の一言を合図に“いのり(姉)”は「失礼します」と、一言を掛けて扉を開けた。
扉を開けると…窓を開けていたのだろう『フワリ…』と、風を感じた。
そして、院長室には…淹れたてなのだろう紅茶の香りと院長ご本人と養母が“いのり(姉)”達が、入ってくるのを待っていた。
件の“いのり(姉)”と冬霞殿が、部屋に入ると院長は「よく来たね」と、言い…養母は「紅茶を淹れてくるわね」と、院長室の隣室である給湯室に足を運んだ。
院長に座るように勧められた。
緊張した様子を取り払い切れていない“いのり(姉)”と冬霞殿は「失礼します」と、交互に言い…進められた赤茶色の牛革張りの長椅子に座った。
初めて座る長椅子に緊張しながら…養母が「お待たせー」と、言いながらオボンを持って戻ってきた。
テーブルの上に『コト…コト…』と、新たに二つのティーカップが置かれた。
院長に「コレを使いなさい」と、シュガーポットとミルクポットを差し出してくれた…が、またしても初めての体験だったため…養母から教えてもらった。
初めての紅茶の味は――…ミルクは、丁度良かったが…少し、砂糖を入れすぎてしまい甘かった。
また紅茶を一口飲むと“いのり(姉)”は、意を決して…冬霞殿を養子にしたい事を話した。
院長と養母は「やっとか」と、言いたげな反応だったが…冬霞殿は「え?え?」と、驚いていた。
実は、既に冬霞殿以外の全員は“いのり(姉)”が、冬霞殿を養子にしたい事を知っていた…一週間というな長いようで短い期間の間、子供達で“いのり(姉)”を見定めていたそうだ。
孤児院にいる子供達にとって、大事な『家族』であり『兄弟』であり『姉妹』であり『友達』であり『仲間』であったからだ。
何に対しても『相性』の良し悪しが、決まるが――…贅沢を言える世の中ではなかった。
ご縁があって“養子”になる子供は、少なくないが――…ご縁があっても養子先から「合わない」と、いう理由で…孤児院に戻ってくる子供がいれば、問題を起こして孤児院に舞い戻ってくるか、そのまま家出して消息を絶つ子供もいたからだ。
警察に捜索願を出すも当時の担当者は、やる気が無いのか「直ぐに寂しくなって戻ってきますよ」と、根も葉もない根拠論を述べていた。
例えが悪いが…家出をした子供は、脱走した犬や猫のような存在と述べているようで不愉快を憶えた。
私なりに調べたら…違法教団に拉致られていた。
直ぐに嫌でも動かざる得ない証拠を警察の上層部を叩きつけて、強制的に摘発して、無事に子供達を保護をし、知り合いの孤児院に送り届けた。
――脱線をしてしまった。
当時を思い出してしまった…土地神様(友人)の相談から裏社会の『裏』の細かき根っこを枯らす作業が、落ち着いた途端に身寄りのない子供の拉致・誘拐の突発的解決法――…我ながら多彩し過ぎな巫女姫道(人生)を今も突き進んでいる。
私にも冬霞殿の養子の件で、相談を受けた事がある。
冬霞殿の容姿と物覚えの良さに惚れ込んで「是非とも我が家に!」と、後を絶たなかったため『占い』依頼を受けた。
結果――…悪しが、多かった。
冬霞殿を利用しようとしていたのだ。
占いの結果を聞いても…お金で何とか手に入れようとする輩が、多かったので…懲らしめる事にした。
私と契約している『悪魔』達に頼む事にした。
結果ですか?
案の定…怖い目に遭ったので、言う事を聞くようになりましたよ。




