6-1 二人の時間と前夜の準備をする(1)
皐月見舞いを申し上げます。
大変、お久しぶりです。
復帰宣言をしておいて、早数か月が経ってしまいました。
申し訳ありません。
以前、上げさせていただいた最終章を書き直させていただきました。
よろしくお願いいたします。
平成後期の世――…土地神である『夫』にとっては、どんなに長かっただろう。
そう思うと、申し訳ない気持ちだ。
今の“私”の中には、昔の“私”が…存在している。
前に夫が、教えてくれた事と自分なりに調べたら“反魂”と、いう術を行ったそうだ。
諸説は、二転三転と変わるが…簡単に要約すると必ず『同じ者を生まれ変わらせる』事が、出来るらしい。
しかし、この術を行うと不確かだが…何らかの『代価』を払わないといけない――…夫は、こんな危険を犯してまで“私”を…長い年月を掛けて蘇らせてくれた。
他所から見たら“異常者”として叩かれるんだろうが…私は、構わなかった。
いや、気にしていないという言葉が『正しい』だろう。
そう思う私も『夫』と同じ“異常者”なんだろう事を従姉妹の蛍ちゃんといのりちゃんに変な事を言った事があるが二人揃って「そんな事ないよー!冬霞ちゃんが羨ましいー!」と、賛同してくれた。
何故なら蛍ちゃんといのりちゃんは“前世で別れないといけなかった”系の恋話しが、大好物。
例えば『ロミオとジュリエット』とかの有名悲劇を題材にしたのを一手間加えた映画やアニメを必ず録画して見てから好みであれば、DVDやブルーレイとマンガとゲームを買うほどだ。
友達も二人のように好きな趣味を持っているが…必ず少年マンガ系が好きな子が、多い。
私もその一人だ。
――勿論、夫は知っている。
そのため、一緒に読んだり登場する子を「カッコ可愛い♪」と、褒めあったりしてる。
しかし、学生時代は…今を思い返しても腹立つ。
あのイジメ集団は…。
連中は、少年少女コミックを含むジャンル関係無しに…決まって「女の癖に少年マンガが『好き』って、受ける~♪」と、必ず馬鹿にしてくる。
だが――…私は、知ってる。
そのイジメ集団の何人かは『秘密』を持っていた。
知った切っ掛けは、何の事はない。
買い物を終えた帰りに本屋さんに寄ったら…遠目だが、見かけた。
向こうは、気づいていなかったが…明らかに挙動不審だった。
何度も後ろを振り返ったと思ったら…辺りを念入りに様子を伺い、キョロキョロと繰り返していた。
その様子に「(不審者し過ぎる)」と、軽く引いてしまったのは…割愛しておきます。
しかし、ほっとけば良かったのに…何となく後を付けた。
すると――…行き着いた先は「(少女コミックのエリアだ…)」と、思いながら「(お姉さんか妹さんのお使い?)」と、再びイジメっ子の様子を見ると更に挙動不審になっていた。
詳しくすると、周りを念入りに確認してから深呼吸をしつつ既に手に持っていた2~3冊の本の間に素早く少女コミックを入れていた。
その速さに思わず、変に感心してしまった。
その後、気づかれたら嫌だったため直ぐに帰宅した。
翌朝の学校にて、友達と話していた時に“その出来事”を話した。
あの時の私は…当時の苛めによるストレスのせいで、思った以上に腹が立っていたのだろう。
デリケート部分を友達に話した事は、反省しているが…後悔がなかった。
その話に聞き耳を立てていたのか…別の友達が「それ…本当?」と、聞かれたので「うん、本当だよ」と、答えたら友達は「アイツに…お姉さんと妹さん、居ないはず…いや、でも…お母さんか従姉妹さん?」と、自問自答していたが――…次の日に判明した。
例のイジメっ子が、元々の成績が悪かったらしく…。
友達が、通う塾に強制的に通わされていたそうなんだが…授業が、始まる前に何やら熱心に集中して本を読んでいたそうだ。
表紙は、ご丁寧に…書店のロゴが、入ったブックカバーが、掛けられておりタイトルが…分からなかったが、何となく気になり…宿題を提出する準備をしながらイジメっ子の後ろからマンガの中身を見ると…目を疑った。
イジメっ子が読んでいるマンガは、甘味で例えるとするなら…ちょこんと苺が乗ったショートケーキだろうか?いや、蜂蜜やメープルシロップ――…いや、ガムシロップのように甘い…超ピュア系の恋愛少女コミックだった。
思わぬイジメっ子の趣味に衝撃が、凄かったせいもあり固まってしまったが「(学校で…散々、馬鹿にしてた奴等の一人が少女マンガファンとかって…!)」と、笑いそうになったのを必死で堪え、耐えて塾に専念したそうだ。
何度も「思い出し、笑いになりそうだった」と、次の日の登校で話してくれた。
目撃され知られていると知らないイジメっ子は、休み時間になる度にコソコソしながらマンガの続きを読みながら感動したのか涙を浮かべていたそうだ。
また、からかってきたら反撃として公開処刑するつもりだったらしいが…当時、もう既にイジメ集団の覇気が急激に下がり、鎮火寸前だった。
おそらくだが、夫が動いてくれたと…勝手な推測をしてる。
里帰りする度に学校での出来事等を包み隠さず、報告するように話していた。
夫は、静かに私の話しを聞き入れてくれていた。
話し終えると必ず「よく頑張ったね、もう心配しなくていいからな」と、言葉に含みのある言い方をし終えると…私を抱き締めてくれた。
すっかり、鎮火したイジメ集団に聞こえよがしに友達は「つまらなーい!散々、弄りまくってたクセにー!」と、豪語するも言い返す気力が無いだけじゃなく何かから怯えるように…ビクビクしたりガタガタと、震えていた。
そういえば、父の兄である伯父親子の所の『大バカ息子達』の異名を持つ三兄弟も『罰』が当たってたな。
何となく、思い出していると夫は「どうした?冬霞」と、心配そうに聞かれた。
私は「何でもないよ、ルイ…ちょっと、読み疲れたのかな…」と、言うと夫は「そうか…こっちにおいで、冬霞」と、言い終えると手を差し出した。
私は、おずおずと夫の差し出された手を握った。
握ると、直ぐに引き寄せられたと思ったら…あっという間に夫の懐の中に居た。
思わず、ポカンとしていると…優しく抱き締められていた。
私は「ビックリした…」と、言うと夫は「背もたれが必要だと思ってな…我が座椅子になるから寝ても大丈夫だよ」と、優しく私の頭を撫でた。
「そんな、悪いよ…痛くなるし痺れちゃうよ?」
「いいから、いいから♪」
「分かった…お言葉に甘えるね?」と、言うと夫は「うん♪」と、嬉しそうに答えた。
また書き直すと思いますが、よろしくお願いいたします。




