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想ヒ人 -指切-  作者: ツカサシキ
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5-13 ある“青年”の昔話(13)

立て続け投稿です。

※駄目な描写を書いてしまいましたので、苦手な方は、お引き取りください。

 何事かと理由を聞くと妻は、今にも泣きそうだったが…我慢し、先程の出来事を話し始めた。


 何でも、週に一度の村の広場にて露店での出来事だった。

 その露店の片付けの手伝いに出向いた妻からの話しだと…また新しい事業が始まるらしい――のだが…久しぶりに村長や村の人達と会い、挨拶しながら話しこんでいるところに若い事業者の一人が妻に激しく言い寄り、怖さから逃げた妻を追い掛け回したらしい。


 その時の事を妻は「初めて会う人だから軽く会釈して直ぐに村長の奥様と話しこんでしまって…お勧めの御酒を教えてもらっている時に視線を感じて振り向いたら…私をジロジロと嘗め回すように見てて…」と、今にも恐怖からだろう『ガタガタ』と、怯え震えながら一つ一つ、出来事を教えてくれた。


 我は、抱きつかれた姿勢のまま怯え震える妻を…出来るだけ驚かせないように頭を撫でたり背中を撫でたり何とか落ち着かせ続けた。


 それに安心したのか妻は「見てたと思ったら…突然、一方的に言い寄られて…今度は、手首を掴まれて…!気持ち悪かったっ…!奥様が居なかったらと思うと…」と、言い終えると直ぐに、もう一杯一杯だったのだろう、泣きじゃくってしまった。


 泣きじゃくる妻を「よしよし、もう大丈夫だからな」と、また頭を撫でたり背中を撫でたりを繰り返しながら慰めを言いつつも妻が可愛くて可愛くて堪らなかったが、先程の妻を怯えさせた事に怒らない我ではない。


・・・・・


 探りを入れたら直ぐに解明した。

 巫女であり、我の妻になってくれた彼女の可憐な容姿に一目惚れをした、都会の指折りの金持ちの男からの二人の仲を裂こうと嫌がらせを始めた。


 その嫌がらせとは、金持ちならではというべきか…金を使って、あれやこれを厭きもせずにしてきたが上手くいかず…痺れを切らした男は、親の資金力を使い『村興し』という名の“表”と多額の金銭に食いついた村の若者と町で募集した人を使い、我の事を知っている村人達から止める手を払いのけ、最も簡単に『土地神様』と巫女の仲を引き裂き…後に巫女を無理矢理、犯し言う事を聞かせ、強制的に結婚した。


 そんな幸せになれるはずなく…たった一日足らずで(かのじょ)の心身は、ズタボロになっていくのを黙っていない。


 直ぐに我からの“嫌がらせ返し”を行った。


 簡単に掻い摘めば、この一件に加担した者を一人残らず不幸にしただけだが…何度、思い返しても効果的だった。

 募集に引っかかった町の連中の中には、男からの口約束だったのだろうが…有名企業に就職するはずだった連中には、受理されず…白紙にし、路頭に迷わせた。


 次に祖父母の代や親の代から会社を引き継いだ連中は、木っ端微塵に借金地獄に追いやったり…例え、何度も名を変えても夜逃げしても何故か借金取りが行方を着きとめ集金されるようにした。

 村の若者達には、農作物が育ったないようにした。


 中には、我の事を昔から知っている老夫婦や若夫婦に引きつられ土下座しながら謝罪をされたが、見ず知らずの愚か者に唆され大金を握らされ…我の最も『大事な宝物』を差し出したのだから赦すわけがない。


 そして、我の『大事な宝物』である妻を横取りした男にも容赦も遠慮なく潰させてもらった。

 まず先に男を産んだ両親を呪い殺した。

 

 次に男には、妾が何十人もいた。

 オマケに妾の何人から妻を苛めている事を知り、直ぐに一人残らず継母のように腹部を破裂させ殺した。


 両親が謎の死を遂げただけではなく…目の前で次々と妾達が、腹部を急に押さえたと思ったら…絶叫を上げた同時に腹部が、破裂した拍子に大量の血と臓器が飛び散りながら男にぶっ掛かり…悲鳴を上げる事すら出来ず顔面蒼白で、尻餅をついていた。


 思わず、笑ってしまった。

 我の笑い声に気づいたのか、恐る恐る振り向いていたが…我の姿が見えない。


 その結果、重い足腰が動けるようになり…屋敷中を逃げ回った。


 我は、男を好きなだけ逃げ回らせた。

 屋敷中の部屋の鍵など開かないようにしたり、今も寝静まる使用人には、起きないように術を掛けた…男は、何度も大声を出したり助けを呼んでいたが…誰一人たりとも飛び起きず朝まで、ぐっすり寝かせてあげた。


 そして、いよいよ男に取り掛かろうとしたら…男は、三つ子だった。


 オマケに…そいつ等も妻の事が気に入り、オモチャを交換するように何度も強姦していた。

 反吐しか出なかった。


 今も逃げ回る男は、ご丁寧に兄弟の居る場所に逃げ込んで直ぐに自分の兄弟だと言うのに「こいつ等も共犯ですっ!どうか、自分の命だけはっ…!」と、我に差し出すように突き飛ばした。


 その後、直ぐに三兄弟の『醜い喧嘩』が、始まった。


 三兄弟の醜態、言い訳、なすり付け…の繰り返し。

 口々に「お前が悪いんだ!」の連呼に聞き厭きていた我は、あの“継母”や妾達にしたように指を指すと…直ぐに三兄弟共々仲良く、同時に打ち首にした後、中庭で野晒し首にした。

 残った体の方は、吊るし下げておいた。


 ――ふと何気に夜空を見上げた。


 見上げると綺麗な満月の下…その下での血祭りは、自己満足にて強制的に憂さ晴らしを終える事が出来たが、町の連中と村の若者と男共の嫌がらせに一週間が、経ってしまっていた。


 そして、直ぐに妻を捜した。

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