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想ヒ人 -指切-  作者: ツカサシキ
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1-6 少女の回想・決断

まだ回想編です。

長くしてしまい、申し訳ありません。

 その後は、また海外出張に行く事になった父から私用にこっそりだが…連絡の許可が、下りた。


 多分、信じていないわけじゃないが…再発防止のためだろう。

 母と姉に内緒で、私と父との約束だった。


 また父の留守後は、今までなんだったのか?と、思うほど伸び伸びと過ごした。


 鬱屈だった塾も稽古も行かなくなったから学校の放課後、友達と一緒に駄菓子屋さんで買い食いしたり、遊んだり、お呼ばれしたりして楽しかった。


 私が、無理矢理に我儘が招き起こした惨事なのは分かっているが…私達家族の『人生最大の修羅場』は、こうして幕が下りた。


・・・・・


 しかし、もう一つ気になる事があった。


 私の左肩の違和感が、日に日に増していたからだ。

 毎晩の入浴時に脱衣所の鏡で、何となく確認したら「痣の色が…濃くなってる?」と、ポツリと呟いた。


 この痣は、私が産まれた時からある約1cmほどの楕円形の痣だ。

 前は、薄紅色だったのに…濃い赤色になっていた。


 この痣の存在は、そんなに気にならなかったし、違和感があったが…何の障害にも支障にもならないので、ほっといていたが…痣の違和感が、強くなるにつれ…毎晩、見る同じ『夢』の現実味が、曖昧になっていくのに不安にならずにいられなかった。


 ――その後、友達と下校中に本屋さんに立ち寄った時の事。


 丁度、友達の妹さんの誕生日だったらしく…絵本を見立てて欲しいと言われ着いていった。

 何とか…お目当てと予算以内の絵本があり、小躍りしながら会計に行っている間に…私は、ある本棚に目が行き「(夢占い…?)」と、気になったため…本を見た。


 まだ習っていない漢字があったが、本の内容を読むにつれ『良くない事の始まり』と書かれていたのが分かった。


 ――ショックだった。


 本を戻していると友達が会計から戻ってきた。

 少し凹んでいる私に「どうしたの!」と、慌てて駆けつけてくれた。


 私は、直ぐに「何でもないよ、人魚姫を読んじゃって…」と、苦しい言い訳をしたら「そっか~…人魚姫、悲しいよね~…」と、同情しながら友達は、買った絵本を置き忘れないようにランドセルの中に仕舞おうと苦戦していた。


 その様子に「入る?大丈夫?」と、聞くと「入れてみせる!」と、断言し何とか中に入った。


 その本屋を後にし、お喋りをしながら一緒に帰った。

 帰宅後、部屋に戻りランドセルを置き終え、脱衣所でうがいと手洗いを済ませリビングに向かった。


 リビングに入って早々、電話に留守電が…入っていた。


 何となく再生ボタンを押すと、久しぶりに里見叔母さんからの電話だった。

 私は、叔母さんの久しぶりに声が、聞けて嬉しかった。


 あの母との一件で、半ば強引に持たされていた子供ケータイは取り上げられてしまったため、叔母さんにお礼を言う事が出来なかったし…リビングの電話は、常に母や姉が居るため出来なかった。


 今日は、買い物に行っていて母が留守で居なかったが…何時に帰ってくるのか分からなかったから出来なかった。


 そして、何気に聞いた留守電の内容は…私に関する事だった。


 私を正式に祖父の養子にするという事と何時でもいいから私と一緒に実家に戻ってくるようにとの事だった。


 その事を知った私は「え?」と、思わず声が出ていた。


 叔母からの淡々とした留守電は、この二つの用件だけを言い『待っているからね』と、最後に留守電の再生が終わった。


 思いがけない叔母からの留守電に私は、またへたり込んでしまった。

 へたり込みながら今、起こった事を無理に整理し理解しようとしていた。


 その時、玄関の鍵を開ける音が…聞こえた。


 暫くして「ただいま~」と、母の声が聞こえた。

 母の声に私は、へたり込んだ足を何とか立たせ直ぐに玄関に向かい「おかえり」と、声をかけた。


 私の呼びかけに母は「ただいまぁ~、冬霞…疲れたわぁ~…」と、玄関に散らばる無数の紙袋を抱えながらリビングに向かいながら私は「凄い量だね」と、言うと「駅中で、欲しかったカーディガンが安くなってたの~♪それに新しいケーキ屋さんが入ってね~♪」と、ルンルンとしながらリビングに入っていった。


 リビングに入って早々、床にガサガサと音を立てながら…荷物を置く音、食材を冷蔵庫に入れる開閉音、入れ終えると留守電のランプに気づいた母は『ピッ♪』と、再生ボタンを押した。


 私が聞いた叔母からの留守電を聞いた母は、あの時の…私が『七五三』の時に見せた“顔”になっていた。


 暫くすると…留守電の再生が、終わると母の初めに取った行動は、深い深呼吸と溜め息を交互に行うと直ぐに電話を掛け始めた…恐らく、実家だろう。


 何回かのコール音をした後、母は「留守電…さっき聞いたけど、何のつもり?」と、怒り口だが静かに話し始めた。


 暫くして…何時振りだろう?と、思うほどの母の剣幕と怒号が響いた。


 電話口から聞こえる叔母の声が、静かに『姉さんも分かっているはずでしょ?』と、言われれば「いやっ…駄目っ!駄目ったら!絶対にっ…!」と、次第に泣きじゃくり始めた。


 そして…何を思ったのか私は、母から受話器を強引に手から掻っ攫い「叔母さん?」と、一言を言うと叔母は『冬霞ちゃん?冬霞ちゃんなの?』と、まさか私が出ると思ってもいなかったのだろう…そして「急にごめんなさい…叔母さんの声が聞こえたからつい…お久しぶりです、元気にしてますか?」と、淡々と会話を続けた。


 久しぶりに聞く、叔母の声に嬉しかったからだ。

 叔母も私の声に喜んでくれていた。


 私と叔母の会話が弾むにつれ、例の留守電の事を改めて言われた。

 叔母の『どうかしら?』と、言われ答えようとする私にカバッと、母が私の胴体に抱きつきガタガタと身体を震わせながら半泣きした顔で私を見上げていた。


 何度も何度も「言っちゃ駄目!」とか「村に行っちゃ駄目!」と、叔母にも聞こえるように口走っていたが…私は「村に行きたいよ、叔母さん」と、素直に言った。


 私の言葉に母は「何でっ…!何でっ…!」と、切羽詰りながら…声を荒げ抱き締めていた腕が強まった。


 苦しかったが…そこは、我慢し「この痣と関係があるんでしょ?」と、母に例の痣を見せた。

 私の痣を見て早々「いやぁああっ!」と、青ざめた顔をしながら絶叫していた。


 その後、叔母と何度か会話を返し…通話を終えた。


 通話を終えると母は、震えながら私に「どうして…私と秋名と同じ、色が薄かったのにっ…!何でっ…!」と、聞かれたが「()()()が、待ってるんじゃない?」と、言うと母の顔が青ざめた。

 そして、また絶叫し部屋に駆け込んでしまった。


 その日以来、母と姉を含む会話が、無くなってしまったが…仕方ないと思っている。


 その日の内に…父にも連絡をし無理矢理だったが…承諾を得て、中学生になる前に母の実家に一人で行く事になった。


 私が、小学5年生になってから母の許可を貰い春休み等の大型連休は、母の実家に一人で通えるように自然となっていった。

※何度も書き直してしまい、申し訳ありません。

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