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想ヒ人 -指切-  作者: ツカサシキ
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1-5 少女の回想・発端(4)

何度も申し訳ありません。

また出血シーンのネタがございますので、苦手な方は御引き取りください。

 妻の豹変振りに思わずたじろぐが…何とか、落ち着かせながら理由を聞くと「あの子だって、私と(あき)()と同じ怖い“夢”を見ているんだからっ!大事な娘を守るのは当然でしょ!」と、しか答えなかったらしい。


 周りに居た警察の人達は、困惑していたが…父は、知っていた。


 何でも…母が、父と付き合う前から『悪夢』を見続けていたらしいが…結婚を機に日に日に見なくなったのに姉・秋名が、自分と同じ夢を見た事を知り…目の前が真っ暗になったらしい。


 そして、母は「何でっ…何でよっ…!もうっ…私、結婚して見なくなったのにっ…どうして、娘達が見ないといけないのよっ!ふざけないでよっ!」と、テーブルをダンッダンッと力強く怪我をしているのに包帯を巻かれている両手を打ち始めた。


 直ぐに止めに入ったが…あまりの力強さに止めれるはずなく、また暴れ始め精神科病院に連れて行かれ入院したらしい。


 父の話に私は、呆然とするしかなかった。

 何故なら母と姉が、言う…どんな悪夢なのか知らないが、全く見ていなかったからだ。


 そして、大まかな説明をし終えた父は、私に昨日の事を聞かれたため思い出す限り答えた。


 私の話しに父は、愕然としていたが直ぐに「塾と稽古、行きたいか?」と、聞かれたため「行きたくない、止めたい」と、素直に正直に言うと「分かった」と、言い終える席を立ち病室を出た。


 その入れ替わりに…朝の診察をするために来た看護師さんに朝の診察のために体調の変化に変わりないかの簡単な問診し終えると、診察室に向かった。


 診察を終え、病室に戻ると…父が待っていた。


 私を見るや否や「もう塾と稽古に行かなくていい」と、言われた。

 その言葉に私は、思わず目を丸くし「本当…?本当?」と、何度も聞き返していた。


 私の何度も聞き返しに「本当だ」と、直ぐに答えてくれたため…またへたり込み泣きそうになった。


 私の様子に父は「本当に…こんなに嫌がっているのに一体、何を考えていたんだ?あいつは…」と、私に対しての母の行き過ぎ行為に厭きれながらも私をベットまで運び座らせた。


 その後、予定通りに警察の人達が病室に尋ねてきた。

 父と担当医である先生の立会いの元、昨日の出来事の事実確認をした。


 そして、何時から母が変わったのかも聞かれ、去年の春休みである事も話した。


 私の話しに父は「毎年、行ってたのにか?」と、聞かれ「うん…私の『七五三』の儀式が終わった後、蛍ちゃんといのりちゃんと喋ってたら…怖い顔をしながら部屋に入って来て私の手首を掴んで引きずられて…止めに入った叔母さんを殴って、怒鳴って…お祖父ちゃん達にも向かって怒鳴ってた」と、答えると父の顔色が青ざめていた。


 父は、担当医の先生に私の退院手続きは、母の事実確認した後にしてもらい私の話しを聞いた父と警察の人達は、直ぐに母の居る病院に足を運んだ。


 待つ事、数時間…もう登校しても下校時間になっていた。


 病室の窓から見る夕暮れを描いていたら看護師さんに褒められた。

 よく母の実家や景色を描いて友達に絵葉書を送っていた事も思い出していた時、父が戻ってきた。


 父の話では、母の要る病室に着いて早々に事実確認に来た警察の人と父に母は、また「娘のためなんです!」と、力説していたが父に反論されぐうの音も出ず…理由を聞いても例の悪夢としか答えなかったらしい。


 母の言い分に父と警察の人達は、困惑しかしなかった。


 その日のうちに母は、会社に事情を話し有給を貰った父に連れられ精神科の病院とカウンセラーに通院する事になった。


 そして、先生の問診にて始めて母自ら自分の実家との縁を切っていた事に父は、驚き「どうして、そんな事を…自分の家だろ?」と、理由を聞くと「あの家…いや、あの村はっ…」と、その先の事を言わずブツブツと呟くように話していたらしい。


 カウンセラー先生は、その母と姉の見る夢を質問すると突然、母の様子が変わり青ざめながらガタガタと震え怯え始め…口を縫うように固く閉ざし始めたそうだ。


 何とか説得をし続けるとポツリポツリと多々、聞き取りにくかったらしいが母自信の幼い頃から見る“悪夢”を語り始めた。


 簡単に纏めてしまうと…何でも母と姉も私と同じ『夢』を見ていたらしい…が、夢の内容が違った。


 二人の夢は…薄暗く無数のロウソクが無造作に照らす洞窟の中で、人よりも小屋よりも大きく黒い靄に食い殺される――と、いう内容だった。


 母から聞いた夢の内容に父は、不安になったのか「冬霞…お前も二人と同じ内容の夢を見てたのか?」と、聞かれ思いっきり「全然、違うよ」と、否定の即答した。


 その即答に「どんな夢なんだ?」と、質問されたので…恥かしかったが「好きな人と結婚する夢…です…」と、照れながら話したら…父が、萎れているのに気づき慌てた。


 父の元気付けが、大変だった。


・・・・・


 昨日の出来事と今日の事実説明に消化し切れていない中で、ピアノの強化合宿に参加していた姉が帰宅し、私と母が一時入院した事と父が一時帰宅をした事を知り驚いていたが、昨日の出来事を知り退院後の私を責めたが『夢』の事を知ると更に驚いていた。


 母と同じ「嘘をつかないで」と、言われたが嘘も何もついていない事が分かると…その日から姉に「私と貴女は、違う」と、言う理由で距離を置かれるようになった。


 その小学2年の頃の嫌な出来事を境に母は、変わってくれた。


 父の一喝が効いたのか、第三者である他人が気になったのか分からないが「塾と稽古を止めてもいい!友達とも遊んでいい!貴女が行きたい所に連れて行ってあげる!」と、言ってくれたが…母の実家には連れて行ってもらえなかった。


 父から言われても聞き入れてくれず頑として譲らなかった。

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