3-2 少女の思い出と幸せな日常
よろしくお願いいたします。
※また食事ネタが、含まれています。
実は――…祖父母も抹茶の菓子だけでなく、抹茶の入っていないクッキーやサブレも好きなんだが…最近、食べづらそうにしていたからクッキー作りの前に抹茶のプリンを作っていたのを渡したら凄く喜んでくれた。
――当然、三兄弟の分などない。
今までの『嫌がらせ』の仕返ししては、小さいが…満足した事を覚えている。
本当に思い返しても腹が、立つ日々だったが…そんな彼等も天罰が、下った事を思い出した。
三兄弟の長男は、サッカーの合宿中に右足を怪我をしてしまい二度とサッカーが出来ない身体になり今でも松葉杖を使わないと歩けない。
三兄弟の次男は、映画館のように真っ暗な部屋でゲームをし過ぎによるドライアイを悪化し両目を力強く擦りし過ぎたせいで両目を失明。
三兄弟の末っ子は、花粉症から来る重度の喘息を発祥してしまい入退院を繰り返している。
よく再放送のドラマとかで『人が許しても、お天道様は許さず天罰が下る!』と、いう台詞があるが…正に台詞のように天罰の下っていたので、かえって怖かった事も覚えている。
――しかし、弄りやすい自分にも落ち度があるのも事実。
今もだが、何故苛めるのか?の心理なんか興味ないし、知りたくもない。
仮に知ったとしても別のパターンが、次々と変わるから憶えきれないし対処し切れないのが現実で、かえって心身疲れてしまう。
・・・・・
そう思い返しながら私は、友達に出す絵葉書の下書きを済ませ色鉛筆や絵の具を準備していると…開けた窓から爽やかな風が吹き込んだ。
風が、吹くたびに竹の笹を揺らす音が…何時の間にか緊張状態になっており、嫌な事を思い出していた心を宥めてくれるようだった。
爽やかに初夏の風のお陰で、落ち着きを取り戻していると…またふと、この時期になると思い出す事がある。
「この時期になると、もう修学旅行や野外活動だろうな~」と、思いながら友達に送る絵葉書や手紙の作成中にドアをノックする音が響いた。
私は、直ぐに座っていた椅子を立ち「はい?」と、言いながらドアを開けると「あ、いのりちゃん」と、言うと「突然、ごめんね」と、言いながら「具合…どう?大丈夫?」と、聞かれたので私は「んー…少しダルいかな…?」と、答えると「そっか…居間まで、歩ける?持ってくる?」と、聞かれ「大丈夫、歩けるよ」と、答えると「じゃ、一緒に行こ♪」と、言いながら私の右腕を抱きついた。
私は「行こうか、いのりちゃん」と、言うと「うんっ♪冬霞ちゃん」と、言いながらいのりちゃんのエスコートされつつ居間に足を運んだ。
「今日の朝ごはん、何だろー?」
「ん~…何だろー?かすかに…焼き魚のイイ匂いがするー」
「焼き魚かー…シャケかな?鯵の開きかな?」
「流石に見ないと分からないなー」
「だよねー」
そんな雑談をしながら居間に着くと、学校の支度中の蛍ちゃんが「あーっ!ちょっ…いのりっ!今日は、私が迎えに行くって言ったでしょー!」と、いのりちゃんに食って掛かると「だって、お姉ちゃん…今日の朝練と日直をしないといけないから早く出るじゃない」と、いのりちゃんの正論に蛍ちゃんは、ぐうの音が出なかった。
「あらあら…まだ、そんな所に居たの?早く食べないと学校に遅刻するわよ?」
「ぅげっ…!も、もう食べる時間が…!」
「仕方ないわねー…ほら、おにぎりを作ったからバスを待っている時間にでも食べなさい」と、お昼用の弁当と朝食用のおにぎりを渡すと蛍ちゃんは「ありがとー、母さん♪」と、里見叔母さんから受け取ると私達に向きなおしをし「いのりっ!冬ちゃんを丁重にね!」と、ビシッと言うといのりちゃんは「任せて♪」と、当然のように断言した。
いのりちゃんの断言に安心したのか、蛍ちゃんは「よしっ!では、行ってくるね♪」と、私達に挨拶を済ませると直ぐにパタパタと足早に玄関に向かった。
「いのり、貴女も早く食べないと遅刻するわよ?」
「はーい」
「あ、冬霞ちゃん…歩ける?」
「大丈夫です」
「あーあ…今日、休みだったら冬霞ちゃんと一緒に買い物する予定だったのにな~」
「また蛍と同じ事、言って…」
「いいじゃない、母さん…座椅子を持ってこようか?冬ちゃん」
「ううん、大丈夫だよ」
「本当?」
「大丈夫だよ、ありがとう」
「お待たせー」と、言いながら里見叔母さんは朝食をせっせと長ちゃぶ台に置いていった。
「おー!シャケだ~♪」
「美味しいよねー♪」




