3-1 少女の思い出
今回から新章です。
よろしくお願いします。
※イジメネタが含まれていますので、駄目な方はお引き取りください。
満開だった桜の花弁が、あっという間に散り去り…葉桜の季節になり、すっかり初夏の色になった。
祖父の養子になり村に着て、早3年目から4年目の初夏の季節…村に着いて早々の頃は、蛍ちゃんといのりちゃんが通う中学校に通学していたが…入学して一週間足らずで、あっという間に中学の卒業資格を持ってしまった。
――小学生時代からそうだった。
よく周りの大人や先生が「天才だ!」とか「神の子だ!」とか、下らない事を口走るたびにイジメに遭っていたのに…ちっとも分かっていない。
極めつけは「皆も早く古城さんのようになるようにっ!」と、この先生の一言でイジメ集団に火が点いたとも知らずに…次から次へと私が何かをする度に陰湿なイジメを受けた。
イジメ集団――…と、言っても…男子生徒だが…。
私が何かをする度に…ワザと、ぶつかったり。
ワザと、小突いてきたり。
渡された物を引っ手繰ってバレーボールのように次々とイジメ集団のオモチャにされたり。
私が、使っている椅子の隅っこに画鋲をセロテープで厳重に固定してあったり。
私のコートやジャンパーのポケットに給食時に出たジャムやマヨネーズの少し中身の入った袋を入れられ…何も知らずにポケットの中身を取り出そうとすると、その空のジャム袋で掴んだ手がベタベタに汚れてしまったところを「引っかかった~♪引っかかった~♪」と、両手をパンパンと鳴らしながら満足げに笑い上げたり…他にもあるが、何か起こるたびに先生に報告していた。
しかし、そのイジメ集団は…先生達から何度も注意されても絶対に止めない。
そのお陰で、彼等の頭の中は「先生達に…大人達に注目されてるし、大事にされてる…!何様だよ!あいつ!」と、変換であり変更されただけだった。
私は、諦めながらも幸い幼稚園から一緒だった、幼馴染の知美ちゃんとあやねちゃん、理緒ちゃんやクラスメイトの女子達…女子達も私が受けているのとは、違うだろうが嫌な被害があったようで、同情からだろうが守ってくれていたで、何とか挫けずに登校し続ける事ができた。
本当に幼馴染と友達に感謝してもしきれない。
だが、何時頃だったか…急にイジメ集団の覇気が一気に弱まったと思ったら…パタリと止まった。
不気味な静けさが漂っていたが…私や友達は「嵐の前の静けさか?」と、思ったが違った。
私が通るたびにイジメ集団は、ガタガタと怯え震えだし始めたと思ったら…口々に「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ…!」と、口走っていた。
あまりの豹変に私は「え?え?」と、思わず戸惑ってしまい直ぐに友達の方に向かった。
「何?アレ…?どゆこと?」
「わ、分からない…何だろ…?」
「昨日も散々、弄っておいて?」
そのガラリと変わった日からイジメ集団に対する女子からの仕返しの聞こえる陰口、授業が始まり先生の問いかけにも耳に入ってこないのか、ブツブツと「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」と、ずっと呟くように連呼していた。
この日を境に私や友達、他の女子生徒に対するイジメがなくなったが…変わりにイジメをしていた人達に次々と不幸が遭ったそうだ。
一人は、家族を亡くし児童福祉施設に行く事になり転校。
一人は、体育の授業か部活で派手に転んだ拍子に打ち所が悪く植物状態で一生入院。
一人は、交通事故に巻き込まれ同じく植物状態になり一生病院生活。
一人は、親が離婚をする事になったのだが…どちらも引き取らず親戚に日々たらい回しの生活を送っていたが何時の間にか転校。
そう思い返していると私は、ふと「彼等だけじゃなく…いたな…」と、おぼろげに父方の従兄弟の存在を思い出した。
祖父母と父の兄にあたる友也伯父さんと綾子伯母さんは、いい人達なんだが…三兄弟が大問題だった。
第一に乱暴だし…宿題を押し付けやらせるし…もっと最悪だったのが、抹茶菓子が好きな伯父さんと伯母さんのために抹茶のクッキーと抹茶とプレーンのロールクッキーを作ったら…勝手に食べ「まずーいっ!」と、言いながら片っ端から焼き上がりの冷ましていたのを全部、食べられたと思ったら「また作れよ!」って、言われた事があった。
勿論、その事を含め祖父母と伯父さんと伯母さんに報告済み。
その後、物凄く怒られてた。
特にクッキーの件――…事前に伯母の誕生日が、近かったので作らせてもらった事もあり…そうとは知らずに従兄弟達は、大好きな母を怒らせてしまい…問答無用で、50枚強の反省文を泣きながら書かせられていた。
それで、許してくれるなら安いものだろう。
従兄弟達が反省文を書かせられている頃、伯母達に「ごめんね!せっかく、私のために冬霞ちゃんが作ってくれたのにっ…このバカ息子達ったら!」と、涙を流しながら謝ってくれた。
返って、申し訳なかった。
居た堪れなく、タイミングが悪いが…私は「実は…」と、冷蔵庫から人数分(従兄弟達は、除く)の抹茶のプリンを持ってくると目を丸くし驚いていた。




