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想ヒ人 -指切-  作者: ツカサシキ
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1-3 少女の回想・発端(2)

※立て続けです。

暴言の他、出血シーンのネタがございます。

苦手な方は、御引き取りください。

 今、思い返すと…母は、何よりも私を他人との接触や交流を必死に遠ざけ遮断しようとしていた。

 私だけでなく姉も…全部『(じぶん)』の望みと思うとおりの生活環境、交友関係を決められていった。


 本当に…一体、何が遭ったのかと聞きたいが…取り合うわけが無いと既に諦めている自分に嫌気が刺しながらも家と学校、そして塾と稽古を行き来する生活を送っていた。


 また(ゴールデン)(ウィーク)の季節がやってくれば、父の兄である伯父さんの妻の実家に行く事に何時の間にか『恒例』になっていた。


 伯母さんの実家も嫌いじゃないんだが…従兄弟達が、純粋に嫌いだった。

 簡単に言えば、男の子特有のからかいと意地悪と悪ふざけの酷さが、異常に凄すぎて行きたくなかったのが、大きな理由だ。


 GWが終われば…夏休み、(シルバー)(ウィーク)という秋休みに冬休み…最悪だった。

 もう行きたくないと、母に訴えても聞き入れるわけなく…連れて行かされた。


 本当に…小学4年生にとっては、地獄の一年間だった。


 そんな私を癒し支えてくれたのが、物心が付く前から見る『夢』と、学校の教室で飼っているミドリガメの“ぴょこ”ちゃんだった。


 それに朝早く来れば唯一、飼育係りで幼稚園時代からの幼馴染の友達との数少ない会話が出来るから勝手に私自身の支えにしていた。


 幼馴染も最近、私の様子が気になっていたらしく相談に乗ってくれた。

 これまでの話を聞いた友達は、直ぐに先生にと思ったのか先生の居る職員室に向かおうとしたが私が止めた。


 幼馴染に「どうして?」と、言われたが「もう慣れた」と、言ったら「駄目だよ!先生に言おう?そんな…冬ちゃんが壊れるのヤダっ!」と、言ってくれた。


 その言葉を聞いて思わず泣いた。


 へたり込んでしまい泣きじゃくった…そんな泣きじゃくる私を必死に「大丈夫!大丈夫!」と、私の背中を摩り時に頭を撫でてくれた。


 とても嬉しかった…言い過ぎるだろうが、あの『夢』と幼馴染の友達のお陰で私は“生きている”と、再確認が出来た瞬間だった。


 そんな騒ぎを聞きつけた保健室の先生が駆けつけ、話しを聞いてくれた。


 話しを聞くにつれ先生の顔色が曇っていたが「分かったわ、話しをしてくれてありがとう」と、友達に手を引かれながら保健室に落ち着くまで居させてもらった。


 午前の授業後は、幼馴染から聞いた他の友達がお見舞いに着てくれた。

 保健室だけど先生に許可を貰い、簡単な勉強会をしながらお喋りをした。


 ――楽しかった。

 素直に嬉しかった。


 すっかり落ち着き、先生と迎えに着てもらった友達にお礼を言い保健室を後にし教室に戻り午後の授業を受ける事が出来た。

 あの後、一緒に帰りながら友達から「いつもの冬ちゃんに戻ってくれた♪嬉しい」と、言われ思わず顔が赤くなってしまった。


 その後、帰宅したら先生から連絡を受けた母に「どうして、話したのっ!」と、叱咤しながらぶん殴られた。


 その時、初めて今までの母に対する怒りをぶつけた。

 私の態度に母は、驚いたが「もう塾の時間だから支度しなさい!」と、言われたが「もう行かない!」と、言い終えると直ぐに自分の部屋に一直線に向かい、鍵をかけた。


 すると、直ぐにドンドンと強引なドアをノックする母に対し「私は、お母さんのオモチャじゃない!いい加減にして!」と、言うと「貴女のためだって言ってるでしょ!バカやってないで、早く出てきなさい!塾に遅れちゃうでしょ!」と、言いながら激しく強くドンドンとドアをノックし続けた。


 ――怖かった。


 怖かったが…私は、母から貰った子供ケータイで母の実家に掛けていた。

 直ぐに里見叔母さんが出てくれたが…ドア越しとはいえ、直ぐ側で激しい物音と母の怒号を轟かせながら「叔母さん、助けて…!」と、私の掠れ声に只事でない事に直ぐに『電話は、繋ぎっぱなしでね!』と、言いながら動いてくれた。


 暫くすると、叔母の連絡か近所の人が聞きつけてくれたのか…パトカーのサイレン音が聞こえたが、まだ母は「開けろ!開けろ!」と、お構い無しにドンドンとドアをノックし続けた。


 ガチャッと、玄関のドアが開く音にようやく気づいた母は「な、何なのっ!勝手に入ってこないでっ!」と、警官の人達に暴言やら何やら抵抗していたが敵わず…私の部屋の前から遠ざかっていった。


 私は、叔母に言われたとおり携帯の通話状態にしながら握り締めていた。

 叔母の声と蛍ちゃんといのりちゃんが変わり変わりに「大丈夫だよ」と、言ってくれてた。

 私は「うん、うん」と、しか答えられなかったが心強かった。


 すると、コンコンと静かなノックされた。


 驚きの拍子に思わず「ひゃいっ!」と、間抜け声を発すると「古城冬霞――ちゃん?ちょっと、お話ししたいから開けてもらってもいいかな?」と、優しい女の人の声が聞こえた。


 私は、恐る恐る「警察の人、ですか…?」と、聞き返すと「そうです、貴女のお母さんは別の部屋に行ってもらっているから鍵を開けてもらっていいかな?」と、聞かれたが…その時の私は、さっきまでの母の激しくドアを叩く音と怒号、緊迫状態の姿勢で動けなかったので「すみません…体がガタガタで、動けないです…」と、言うと警察の女の人は「分かった、ゆっくりでいいからね」と、言ってくれた。

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