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想ヒ人 -指切-  作者: ツカサシキ
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2-13 鍋パーティーと書いて愚痴大会、ひょんな情報

飯テロ(?)を書いております。

ご注意ください。

 実は、僕の家――…といっても亡くなった父方の祖母の家をリフォームし、娘である伯母の夫婦が住んでいるのだが、長期留守をしている――…理由は、伯母が応募した懸賞に当たり温泉旅行に行く事になったのだ。

 更に付け加えるなら丁度、大学に通学するために部屋を探していた僕に下宿をする変わりに『飼っているペットの世話をする条件』で、有難く住まわせてもらっていた。


 そして、父方の祖母の代から飼っているメスで、キジトラの猫が1匹と伯母夫婦が飼っているアリカンショートとスコティシュホールドで、こちらもメスの2匹が居る。


 居間の床一面には、飼い猫のために敷いた備長炭を使用しているアイボリー色とグレー色の二色のタイルカーペットが、目に入る。

 その真ん中には、長ちゃぶ台と座布団――…ちゃぶ台の上には、まだ火の点いていないカセットコンロの上に主役である土鍋。


 既に土鍋の中は、市販の擦りおろし生姜の入った醤油ベースの鍋つゆ、ざく切りされたキャベツとモヤシが、先程まで煮込まれていたため少し弱めにグツグツと音を立てている。


 居間に入ると…如月さんは「床、あったか~い!」と、驚いていると僕は「床暖房を入れてるんです、夏とはいえ…まだ肌寒いみたいで…」と、言うと如月さんは「そうなんですねー、床暖房か…」と、言いつつ自分の世界に入ろうとしていた。


 その後、夢心地に入ってしまった如月さんに対して…新島さんが、突っ込んで『現実』に戻していた。


 新島さんに如月さんと一緒に鍋の仕上げを任せて…僕は、台所に戻った。

 戻ると直ぐに事前に用意していた、人数分の三種(豚バラ・豚ロース・豚肩ロース)のしゃぶしゃぶ用の肉と鶏団子。

 野菜の皿は、追加のキャベツとモヤシと食べやすいように短冊切りにした茄子とズッキーニ。


 主食である皿は、ミニおにぎりの三種…梅とネギを叩いて調理した“梅ネギ叩き”と昆布にオカカ。


 僕は、台所と居間を何回か往復し…ようやく、座布団が敷かれている席に着く事が出来た。


 改めて見ると…久しぶりに長ちゃぶ台の上は、すっかり賑やかだ。

 下宿しているとはいえ…今は、独り暮らしのようなもの…気づかなかったが、何時の間にか“寂しかった”のかもしれない。


「猫じゃらしか猫ライト…買ってくれば、良かった」

「あー…ウチの子達、猫じゃらしよりくしゃくしゃに丸めた紙ボールの方が好きですよ」

「そうなんですかっ!やっていいですっ?」

「夕飯だからアウト」

「ぐはっ…!」

「後、猫ちゃん達もご飯だから駄目だよ、窓可」

「そっかー…食べ終わったら…していい?」

「…止めてもするだろ?」

「よく分かってらっしゃる」

「やれやれ…いいですか?教授」

「構いませんよ、ただ…とても早いので、疲れると思いますけど…」

「問題ないですよー♪そうと、決まればっ…いただきまーすっ!」

「いただきまーす」

「いただきます」


 準備万端!と、言わんばかりに火の点いたカセットコンロの上に置いた土鍋の中身は、既に市販の鍋つゆによって味が染みて柔らかくなった…ざく切りにしたキャベツとモヤシが『ぐつぐつ』と、音を立てながらグラグラと踊っていた。


 食べ始めて鍋の中身が、徐々に減り…ハフハフしながらキャベツ&モヤシとしゃぶしゃぶ用の肉がなくなっていく中で新島さんが「それで?なーんで、取り止めになっちゃったの?」と、如月さんに聞くと「良くぞ…良くぞ、聞いてくれました!」と、言いながら愚痴交じりの理由を話してくれた。


 話しを進めるうちに…あっという間に鍋の『シメ』になった。


 そして「やっぱり」と、思わず言いそうになった…何故なら新島さんと如月さんの“鍋のシメ”の論争が、始まった。


 鍋のシメと言ったら…うどんや蕎麦、ご飯を入れて雑炊だろう。

 そして、何故か…僕に結論を求められた。


 僕もだが、かなりの量を食べたので…シメは、良いかなーと思ったが…その事を言ったら大変になる事が、目に見えているので「豆腐の卵とじでも良いですか?」と、季節の変わり目で体調が、悪くなると直ぐに母と伯母が、作ってくれる一品を提案してみた。


 僕の提案に二人は「「豆腐の卵とじ?」」と、聞きなれない料理名に興味を惹かれたらしく…早速、作る事になった。


 早速、シメのために残したのだろう…土鍋の底に溜まった丁度いい量が、残っていた。


 作り方は、とてもシンプル。

 カツとじを作るのと同じだ――…その豚カツか鶏カツの部分を水切りをした豆腐を賽の目切りにして、出し汁にひと煮立ちさせ、醤油や麵つゆ等で味付けをしたら溶き卵を回しかけて蓋をして、火を止めて余熱で、蒸らす。


 蒸らして約1分弱程が、経ったら蓋を開け…小口切りにした万能ねぎ(分葱や三つ葉でも可)や刻み海苔を散らして、また蓋をして、更に蒸らせば出来上がり。


 しかし、今回は『鍋のシメ』なので、出し汁と麺つゆは“不要”だ――…既に味付けされているため、先に水切り豆腐を準備に取り掛かる。


 水切りと言っても…豆腐一丁にキッチンペーパーを全体を包んだらカレー皿のような深めの皿に1~2枚を折りたたんだキッチンペーパーを敷いた上に先ほど、キッチンペーパーで包んだ豆腐をカレー皿に置いてラップをしたら電子レンジで、約600ワットに設定して約3~4分にレンチンをする。


 レンチンをしている間に冷蔵庫から2~3個の卵を割り…溶き卵を作る。

 すると、電子レンジから『チーン♪』と、聞き慣れた音がした…電子レンジの扉を開けると温まった豆腐と豆腐から出た水分量に何度も驚く。


 恐らくコップ一杯分くらいは、出ているだろう。

 そんな下らない事を思いながら…ラップと包んだキッチンペーパーを剥がし、熱いが豆腐を賽の目切りにしながら温めた鍋つゆの中に入れていく――…入れ終えると、ひと煮立ちさせる。


 ひと煮立ちしたら溶き卵を回しかけたら…火を止めて、直ぐに蓋をして余熱で、蒸らす。


 蒸らす事、数分。

 あっという間に出来上がったので「お待たせしましたー」と、言いながら熱々の土鍋を持って再び居間に戻った。


 豆腐の卵とじ――…好評でした。

 鍋のシメに…僕の自棄な提案した『豆腐の卵とじ』に新島さんと如月さんから「シメ豆腐、ありだわー」と、無我夢中に食べ進めた。


 ついでにキムチ鍋も定番鍋の一つだが、豆腐を進めてみた。


 卵とじではなく、水切りした豆腐を食べやすい大きさに手で、千切るか…スプーンですくった豆腐を鍋に入れて、ひと煮立ちをしたら――…生卵を落とすと『スンドゥブ』風になる事を教えたら「丁度いい量になるから絶対にやる!」と、次回の鍋の楽しみとして、張り切っていた。


 因みに我が家では、生卵派とプルプルな食感が、楽しい“温泉卵”派に分かれる。

 生卵の食感が、苦手な人も居るからだ。


 その注意点を約束をしながらも…あっという間に食べ進めながら先程の話しを蒸し返してみた。


 如月さんからの話しだと、以前から契約していた村側から突然の打ち切り指令が出たらしく、大学が直ぐに理由を聞いたら担当者から「村一番の大事な行事があるため、一時的に立ち入り禁止になるだけです」と、言われたらしい。


 話しを聞くに…その大事な行事は、とてもデリケートらしく他県から来た観光客の人達の立ち入りが禁止されるという。


「…マジで?」

「マジマジ…先生から聞いたんだー…すっごく、ショックー!その村の四季折々の風景…!描くの楽しみにしてたのにぃ~!」

「でも何故に立ち入り禁止?いくらデリケートだからってさ~」

「あー…笑うよ?」

「ん?どゆこと?」

「何でもねー…その村が信仰してる土地神様の正式な?だったかな…結婚式をやるんだそうですよぉー」

「え?」

「あれ?(どこかで聞いたような…?)」


 よほど、頭にきていたのか…如月さんは、次々とノンアルコールとはいえ発泡酒を空けていく中…僕は「(まさか…?)」と、思っていると「ぷはっ!今更っ…て、言いすぎか~…その話しを聞いちゃったら尚更?見たいし!描きたいのにーっ!よっほど、その?土地神様が怖いのかー…受理されちゃってさー」と、言いながらグビグビと飲み干していった。


「ちょっ…窓可?猫ちゃん達と遊ぶんじゃなかったの?」

「んん?んぁー…そーだったぁ~…!ついつい愚痴を言えば、言うほど頭にきちゃって…どーしよ~…もう酒臭いよね?」

「うん」

「うぅ~…猫ちゃん達に振られる~…サイアクだー!お目当ての村は、着ちゃ駄目令が出るしっ…!まぁ~…その村以外の町に行く予定みたいでー…そっち方面の宿かホテルに泊まるんだろうなー」

「あ、そうなんだ」

「うんー…確か、B級グルメをモチーフにした映画の撮影地でもあるんだよー」

「ほほうっ!B級グルメ♪どんなのか聞いてよろしいかな?」

「焼きソバと焼きうどん…焼きラーメンとか~…あ、地鶏が有名みたいでねー…豪快に丸焼き、ローストチキンか?他を上げるとしたら――…炭火焼鳥のタレと塩だれに照り焼きチキンとノーマルの醤油味の唐揚げや塩唐揚げ、サクサク触感が楽しいクリスピー唐揚げに!サラダチキンとレタスのトマトだれのガレット!よだれ鶏のジャガイモ・ガレット!そして…高知出身の店主さんが作る――高知名物“だしかつ”ならぬ“だしチキンかつ”っ!だしかつに欠かせない千切りキャベツの上に食べやすいようにカットされた熱々のチキンカツに…本来のだしかつは、醬油ベースの鰹の出し汁なんだけど、チキンカツに合うようにオニオンスープをひたひたに注いだ一品…いや!一級品ですっ!」

「ス・テ・キ♪」

「あ、中でも熱いっ!って、評判なのがあったなー」

「何ですかな?それは?」

「相変わらず、いい食いつきだねー♪」

「お代官様ほどでは~♪」

「えーっとね~…タルタル唐揚げコッペパン」

「…詳しく聞いてよろしいか?」

【作者の後日談(?)】


 友人・A氏さんに思いつく限り…鶏料理を増やし、レパートリーを相談したら「腹減るだろっ!」と、叱られたのは…書くまでもありません。

 後、お詫びに某コンビニの唐揚げを捧げました。

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