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想ヒ人 -指切-  作者: ツカサシキ
22/179

2-11 『教授』に相談、再開

立て続けに投稿させていただきます。

よろしくお願いします。

 ティーポットから注がれる紅茶の香りが、部室中に広がっていく。


 続いて、切り分けられたフロマージュケーキを置いていくと「すみませんが、教授…これからバイトなんで、失礼しますね」と、言うと新島さんが「無理を言ってごめんね、瀬戸さん」と、謝ると「いやいや…ではでは、ごゆっくり」と、僕達に一礼し自分のカバンを掴んで部室を後にした。


 すると、僕は「今日、お休みじゃ…?」と、言うと新島さんが「何でも、バイト先の先輩が配達中に交通事故に遭った緊急入院したみたいで、借り出されちゃったみたいです」と、言うと…僕は「それは、大変ですね…」と、言うと新島さんは「それで、瀬戸さんからの伝言で“先輩の怪我の具合によるけど、暫くサークルに出られないかもしれない”との事」と、言われ僕は「あ、はい…そうですよね」と、間抜けな返答をしてしまったが仕切り直して「それでは、古城さん…申し訳ないですが、話してくれますか?」と、言った。


 僕の問いかけに、すっかり落ち着きを取り戻した古城さんは「…不可思議な事、なんですけど…いいですか…?こんな話しを聞いてくれますか…?」と、軽くモジモジしながら聞いてきたので「勿論ですよ、聞かせてください」と、答えた。


 僕との簡単なやり取りで、決心したのか古城さんは「分かりました…お話、します…」と、静かに話し始めた。


・・・・・


 ――古城さんから聞いた話しを簡単に纏めるとこうだ。


 母の実家は、代々から続く巫女の家系である事。

 その家系のせいで、呪われている事。

 今から2年前に妹さんが、小学校卒業後に母の父である祖父と妹・冬霞さんの養子縁組した事。


 ――そして、その呪われた宿命に妹・冬霞が“生贄”なるという事だった。


 今の日本の時代に生贄なんてと、思ったが…古城さんは「まだあるんですっ…!存在、してるんですっ…!母の実家がある村はっ…!」と、苦痛を耐えるように訴えた。


 確かに国が違えど、その風習が未だに存在している事を思い出していると…古城さんは「確かに母の実家も村は…四季折々で、のどかですけど…私も母もドコか苦手だったんです…いえ、むしろ馴染みたくなかったんです…!変な気分がするというか妙な感覚に遭うというか…」と、切羽詰りながら答え始めた。


 そして、古城さんは「さっき、喫茶店に居た時にメールを送ってくれたのは…従姉妹からなんですけど…」と、言うと僕は「あ、はい…確か『今年の夏に本祝言を行います』でした…よね…」と、答えると古城さんは「冬霞はっ…村の裏山に住む土地神様にっ…あの『七五三』の儀式で…見初められてしまったんです…!」と、また大粒の涙を流しながら話した。


 すかさず、新島さんが何処から持ってきたのかボックスティッシュを古城さんに渡していると…隣に座っていた藤野さんも古城さんの背中を摩りながら「大丈夫…大丈夫よ、秋ちゃん」と、慰めていた。


 一方、僕は…二人のように何も出来るわけもなく…。

 ただただ…古城さんが、落ち着くのを待つしか出来なかった。


 古城さんは、落ち着きを取り戻しながら…また泣いてしまった事を謝りながら話しを始めてくれた。

 妹の冬霞さんが母の父である祖父の養子になって、一ヶ月も経たない間に妹に会いたくて、家族と一緒に縁を切った母の実家がある村に足を運んだそうだ。


「少し前に藤野先輩や友達と一時、連絡しなかったんですけど…家族と一緒に妹が、居る母の実家に行ったんです」

「あの時…ね?」

「はい…」と、藤野さんの問いかけに古城さんは、また黙ってしまった。


 また沈黙してしまった古城さんを藤野さんと新島さんが慰めている間に…僕は、古城さんの話しを何処かで聞いた事があるのを何となくだが思い出していた。

 グルグルと回る思考しながらも『何時だったか…似たような古書を見たような…?』と、考えを巡らせていた。


 何か嫌な事が、遭ったのだろう。

 その先の事は、言葉を発せなくなってしまった古城さんからヒシヒシと伝わったため「古城さん、大丈夫ですか?もう辛いのであれば…」と、途中まで言い終えると古城さんは「すみませんっ…すみません…!」と、もう限界だったのだろう。


 ――お開きになった。


 何時の間にか、下校時間の門限が迫っていたが…最後に古城さんに「私の話しを聞いてくれてありがとうございました…!藤野先輩、新島さん、辻本さん」と、お礼を言いながらお辞儀をした。


「また何か、話したくなったら何時でも来て構いませんよ」

「美味しいお茶とお菓子を用意しておくね♪藤野さんもサークルとかの愚痴があったら来ていいからね?」

「ありがとう、新島さん」


 そんなやり取りをしながら校舎を出ると…運よくタクシーを捕まえ僕が「すみません、このお二人を駅まで…で、大丈夫ですか?」と、古城さんと藤野さんに聞くと二人は、驚き「だ、大丈夫ですよ、そんなに…お気使いなさらず!」と、交互に言われたが「いやいや、ニュースや掲示板でも載ってるんですが…痴漢が出たみたいですので送らせてください」と、言ったら「す、すみません…」と、恐縮されてしまったが改めて「それで、駅で大丈夫ですか?差し支えなければ、ご自宅まで…」と、言いかけると「え、駅で大丈夫です」と、言われた。


 二人から駅を聞き、運転手さんに駅まで掛かる運賃を聞き、お金を渡した。


 二人をタクシーに乗せると「すみません…」と、言われ僕は「いえいえ、僕が勝手にやってることですから…何度も言って申し訳ないですけど、話したくなったら何時でもどうぞ」と、伝えると古城さんは「ありがとうごさいます」と、お辞儀をした。

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