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想ヒ人 -指切-  作者: ツカサシキ
21/179

2-10 『教授』に相談、一時中断

※今回も「」が多いです。

よろしくお願いします。

 ――すると、古城さんのスクールカバンから振動音が聞こえた。

 その振動音に『ビクッ』と、驚いたが直ぐにカバンを開け、携帯を取り出す。


 携帯を操作する古城さんを見守るしか出来なかったが…突然、携帯の操作を止めた。

 暫くすると、古城さんの両目から大粒の涙がポロポロと零れ落ちた。


 隣に居た藤野さんに「どうしたの?秋ちゃんっ…!」と、言うと古城さんは「ぅぐ…うっうっうっ…!」と、言葉が出ないほど泣き出してしまった。


 恐る恐る古城さんに聞くと…古城さんは、首を横に振りながら携帯を見せてくれた。

 先程から操作していたのは、メールだったらしく…女性の携帯の中身のため、恐縮しながらもメールの内容を確認した。


 内容は、件名もなく本文にだけでシンプルに“一列の言葉”が、書かれていた。


『今年の夏に本祝言を行います。』


 本当にシンプルな文章だが、古城さんからしてみれば“脅迫文”そのものだったのだろう…耐えに耐えかねてしまった古城さんは、我慢の限界だったのか…大きな声を荒げ泣いてしまった。


 突然の騒ぎに店員さんや他の客人さん達の目は、一気に我々の注目していた。


 直ぐに椅子から立ち僕と新島さんは「す、すみませんっ…大丈夫ですので…!お騒がせして申し訳ないですっ…!」と、言いながら平謝り、藤野さんは「大丈夫だよ、秋ちゃん」と、必死に古城さんを慰め続けていた。


 本来だったら店から追い出されるんだろうが…理解力が高い店主さんと店員さん、他のお客さんに見守られてしまった。

 途中、店員さんから「どうぞ、コレを使ってください」と、ティッシュを差し入れてもらった。


 未だに藤野さんに慰めてもらっているが、まだまだ泣きじゃくる古城さんは「なん、で…!どうして!どうしてよっ…!冬っ…冬霞…!あなたは、騙されて…!」と、ずっと言い繰り返していた。


 刻々と時間が過ぎ…と、いっても…長くもなく短くもないが、ようやく古城さんが落ち着きを取り戻し泣き止んでくれた。


 落ち着いて早々、古城さんは「すみません…!すみません…!」と、連呼しながら「ご迷惑掛けてしまったので…お店の人とお客さんに謝ってきます…!」と、言い出し席を立った。


 止める間もなく…古城さんは、お店の人と来店中のお客さん一人一人に突然、取り乱し泣き叫んでしまった事の謝罪を含め、少し鼻声だったが…回って謝罪していた。


 お客さんの中には「気にしていないから」とか「何が遭ったのか、知らないけど気をつけて」とか注意混じりに言われていたが…古城さんは「すみませんでした!」と、お辞儀をして我々の席に戻ってきた。


 席に着いて早々、深い深呼吸をし…また謝罪した。

 古城さんを宥めていると新島さんが「教授…瀬戸さんから連絡があって、部室使えるって」と、小声に話しかけてきた。


 もう新島さんも先程の出来事に居た堪れなくなったのだろう、お店を後にして部室で話しを聞こうという提案だった。


 確かに…あっという間の出来事といえ、居づらい感覚に襲われていたため新島さんの案を呑み「藤野さん、古城さん…少し長く居てしまったので、移動しましょう?もう部室が使えますから其処に…」と、言うと藤野さんは「そ、そうですね」と、言い古城さんは「すみません…すみません…!」と、また連呼していた。


 話が纏まり、そそくさと席を立ちお会計をしながら迷惑を掛けてしまったので、お店のオススメであるフロマージュを人数分をテークアウトと注文した会計と迷惑料を払おうとしたら店長さんが「余計なお世話ですが、お嬢さんの話しを聞いてあげてください」と、迷惑料を受け取らず「今後ともご贔屓に」と、言ってくれた。


 店長さんのお言葉に嬉しかったが『当分、来られないな~…』と、思いつつお店を後にした。


 ――数十分後、大学に到着し部室にと足を運んだ。

 大学校舎内では午後の講義を終え、バイトに向かう者やサークルに向かう者が行き来していた。


 軽い人混みに遭ったが、何とか部室に到着しドアを開けた。

 部室には、新島さんの連絡が行っていたのか…瀬戸さんが黙々と掃除をしながらお茶の準備をしていた。


 僕達に気がつくと新島さんが「行きつけの喫茶店の大人気!フロマージュチーズケーキのホールを買って来ました~♪」と、ケーキボックスを瀬戸さんに渡した。

 新島さんからケーキボックスを受けって早々、瀬戸さんは「直ぐに紅茶を用意いたしましょう♪」と、給湯室に足を運んだ。


 新島さんは「どうぞー」と、藤野さんと古城さんを席に座るように促し椅子を引き座らせていた。


 僕は、そそくさと奥から自分が使っている椅子を引っ張り出し持ってきた。

 丁度、瀬戸さんが紅茶を手際よく淹れていた。

 遅れながら補足させていただきます。

 作中に書かせていただいた『フロマージュ』は、フランス語で“白いチーズ”です。

 よく、お菓子のケーキを連想しますが…正真正銘、カマンベールチーズやクリームチーズと同じなんだそうです。

 今更ながら訂正させていただきます。

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