2-5 『教授』の異名を持つ大学生
今回から「」が多いです。
よろしくお願いいたします。
――次の瞬間『ドササッ…』と、大きく崩れ落ちる音と共に視界がブラックアウトした。
「!な、何っ!ちょっ…お、重っ…!」
「何を騒いで…って!教授っ?何やってるんですかっ!」
「あっ!そ、その声はっ!坂本さん??す、すみませんっ!一体っ…?」
「下手に動かないでくださいっ!今、発掘しますから!」
「は、発掘って…――また、埋もれたんですね、僕…?」
「分かってるじゃないですか!と・に・か・く!動かないでくださいね!」
発掘という名の救助してもらう事、約十分強が過ぎ――…無造作に置きすぎた本の山から僕を無事に大学図書委員の坂本さんと同じサークルメンバーである瀬戸さん、新島さんに救出された。
「はぁあ~…もぉー…また教授の救助要請が、掛かると思いませんでしたよぉ~…」
「これで、何回目ですか?」
「今月で二十回ですね」
「ははは…も、もうそんなにやらかしてましたか…?」
「笑い事じゃないですよー!教授!」
「そうですよ!たまたま部室に忘れ物があったのを思い出して、来てみれば…まーた夢中熱中してたんでしょ?」
「いい加減、無造作に本を置くの止めたらどうですかー?」
「しかも無自覚に筒状だし…器用過ぎですよ」
「面目ない…――って、あれ?坂本さん?」
「何ですか?教授?」と、言いながら坂本さんは、せっせと読み散らばしていた本を回収していた。
「そ、その文献と古書っ…まだ読んでないんですが…?」
「…またですか?教授?」
「え?」
「あっ…」
「これ、教授の死亡フラグですわ」
「教授…?」と、言いながらゆっくり歩みながら僕に迫り「いい加減にしてもらえないかしら?これまで、お貸しした文献と古書のリストです」と、言いながら僕にズイッとA4サイズの用紙3枚を渡された。
――書かれていたのは、僕が借り出したリスト表だった。
「えっ…?こ、こんなに借りてたんですか?僕っ…?」
「当たり前だ」
「え、えぇ~…困りましたね~…どの本も読み途中ですし…」
「貴方、大学図書室から本を無くす気ですか?」
「とんでもないっ!何を言うんですか?坂本さん!」
「だったら…なーんで、毎日のように文献や古書を掻っ攫うんですか?本を借りるのは、貴方だけじゃないんですよ?」
「そうですけど!まだ読み終えてなくて…」
「お貸しした本を本日中に返却しないとどうなるか…お分かりですよね?」
「!ま、まさか…?」
「本日の午後3時までに返却していただかないと…貴方は、出禁になります♪」
「ギャー!そ、それだけはっ…!それだけはー!」
「だったら早く返しなさいっ!さっきも言いましたが、貴方以外にも読む方がいらっしゃるんですからね!」
「うっ…うぅ~…」
「因みに図書館長も承知済みですので、あしからず」
「ぅぎゃー!そんな殺生な副館長ー!」
ギャーギャーと、騒いでいるとノック音が響いた。
「教授、お客さー…あたしが出ますか」と、言いながら新島さんが応対すると「あれ?美緒?どうしたの、珍しいね?」
「突然、ゴメン…大丈夫かな?」
「問題ないよー、散らかってるけど…どうぞどうぞー」
「お邪魔します…」
「あれ?藤野さんじゃない?珍しいねー」
「こんにちは、お邪魔しますね」
「どうぞどうぞ♪今、お茶を淹れてくるから待っててー」
「あ、お構いなく…」
「そう仰らずに~♪」と、言いながら席を立ち鼻歌をしながら部室の給湯室にて茶菓の準備をし始める瀬戸さんに続くように新島さんは、自分のバックから大学のコンビニで買ったチョコパイやポッキー等の菓子を出していた。
「おぉー♪コンビニ限定のじゃん!」
「迷わず買ってしまった…私は、罪でしょうか?瀬戸さん?」
「私も買うから問題ない」
「手伝う事ある?」
「いやいや!お客様だから!」
そう和気藹々と茶会の準備をし始めていると「と・に・か・くっ!貸しまくった文献と古書を持って帰りますからねっ!」と、坂本さんの怒声が部室に響き渡る。
「まだ…揉めてたのか、あの二人…」
「ホントに仲いいんだから~」
「そ、そうなの?」
「突っ込んじゃいけない」と、瀬戸さんが言うと「はいはーい、お茶が入りましたから座ってくださいなー」と、揉めている二人に言い放った。
「あら?いい馨り…」
「おっ!やはり、分かりますか?行きつけの喫茶店で、奮発して買ったんですよー♪」
「え?何処の喫茶店?」
「大学の近くの…分かりますかね?あの、うねり道の~…」
「あぁー!知ってる知ってる!あそこのフルーツパフェ!最高なのよね~♪」
「マジです!?あたし、別街で、パフェの全コンプしたばっかなんです!」
「えっ!全コンプしたのっ?スゴッ…結構、量あるのに…」
「ストレス発散“やけ食い”で、いけました」
「おぉ~!」
盛り上がりながら部室での女子会がが開かれた。
「それにしても…ホント、マジな話し…美緒が幽霊部室同然のサークルに尋ねてくるなんて…」
「あ、ゴメン…目的の事を忘れるところだった…」
「いやいや」
「こら!そこで立ち読まないっ!」
「は、はぃい~…」
「…忙しそうだね、部長さん」
「ん?あ、教授に用事なの?」
「あ、アレって…いいの?そう呼んで…」
「このサークルに入りたての頃は、呼んでたけど…ね?」
「月日が流れると変わるもんだね~」
「とりあえず…アレに用事なんだね?」
「う、うん…」
「そっかそっか…すみませーん、坂本さーん!教授を一時的に借りていいですかー?」
「仕方ないわね…いいですよ」
「ありがとうございまーす!教授ー!」
「はいはい…すみません、お待たせしました」
「簡単に紹介するね、我が『歴史オカルト研究部』の部長を務める――…何だっけ?あっ…思い出した!…コホンコホンっ!辻本蓬さんですっ!」
「つ、辻本です…教授と呼ばれいてますが、まだ学生で部長しています」
「始めまして…音楽科の藤野美緒って、言います」と、何時の間にか席を立っており部長にお辞儀をし自己紹介をしてくれた。




