女神絶対絶命、俺要らなくね?
戦いは終わり、勇者の亡骸は、俺に取り込まれることで消滅した。
辺りには戦いの跡以外、何も残ってはいなかった。
「貴様たち、許さんぞ、」
怨磋のこえが響き、異空間に隠れ、この世界を監視していた女神が、姿を現した。
「よくもよくも、私のシナリオを台無しに、」
「フン、俺は許しを請うつもりは無い」
俺は女神を睨み、そう吐き捨てる。
「こんなシナリオで満足するとは、三流脚本家だ笑ってやる。」
俺らの言葉に女神は激高し、
「召喚されて二日しかたってない貴様らが、すべてのステータスをカンストした私に勝てるはずがなかろう。」
「では、試してみよう。俺は彼女の、勇者の、ミコトの望む勇者へと至れるか、」
女神は少し笑い、
「不敬な奴だ、だが魔王と勇者を倒したことは認めてやる。次のシナリオの役者に、貴様らを使ってやろう。」
辺りの風景が書き換わる。それは無数の星が煌めく世界に、色も明るさも違う様々な炎の柱が編み上げた大地、そこに鎮座する歴史を感じられる厳めしい図書館、そう、
「私が書き換えた、チート能力アカシックレコードの断片、なあ女神、私の駄作の登場人物にはなりたくないのでな、そして悪いなイミナ、先手はもらう。
チート能力万魔の王、どうだこれほどの魔術は全盛期の魔王ですら使えまい、」
黒いオーラが竜の形を模倣する。
魔王の奥の手と同じ魔法、けれど異なる点がある。竜の頭の数だ、同時に空を見上げれば、光の尾を引いて降り注ぐものがある。
「闇創成魔法ヒュドラ、そして、汝に降り注ぐは竜、地へと向かう星々の輝きは流星、流星群だ、」
九つの首から放たれるブレスと、降り注ぐ流星群が降り注ぐ。
「魔術封じのチート、私に触れた魔力を使用した技術は効果を失うのよ、」
女神の言葉と同時に、ショキの書き換えた世界が元の姿に戻る。
「そして、チート能力無効化、アハハ、これで一人脱落ね、」
うろたえたように、ショキがわめく、
「チート能力無効化は、一つのチートしか無効化出来ないはずだ、」
「ええ、そうでしょうね、魔王に与えた万魔の王は、私が持つチート能力の中でも、シナリオのボスにふさわしい、最高の能力よ、それは勇者の能力もそうなのだけれどね、対策しないわけ無いでしょ、」
女神は、イタズラに成功した少女のように、可愛く笑って見せる。
「けれどね、その能力は魔法を使える手助けであり、何れだけ威力を発揮しようと結局の所魔法なの、だからチート能力無効化と、魔術封じのチートで、二つのチート能力を封じるつもりだったのだけど、貴方のチート能力は厄介だから先に殺すわね、」
女神は、俺が反応するよりもはやくショキの目の前に移動し、パンと言う乾いた音が響いた。
「えっ?」
女神のチート能力無効化が解除されたのか、ショキが持つ本から無数の文字が溢れだし、女神の四肢を拘束し、ゆっくりと持ち上げる。
「いやー、感謝するよ、まさかのこのこ私の前に現れてくれるとはね‼️」
女神は、はっと目を見開き叫ぶ。
「銃だと、このファンタジーに生々しい物を持ち込みおって、」
そう、ショキの手には、黒い光沢を放つ、重厚そうな拳銃が握られていた。
「私の強さは、この世界に来て、パッと渡されたこのチート能力だけだ、この素晴らしい能力を使えなくなるのではと考えるのは、とても恐ろしく目を背けたくなるよ、
けれど、この能力が常に使えるなんて楽観視も出来ない、何よりそこのイミナと違って、元々戦闘能力を持たない一般人、いざ戦う為の準備はするさ、」
そう言って、ショキは拳銃の引き金を引く、
「グッ、」
女神の悲鳴、
「さて、人の力を侮ったな、とどめだ。」