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勇者殺しの英雄譚  作者: テンユウ
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さらば勇者

「奴は、女神となり、定期的に地球から人を召喚し、勇者に魔王を倒すというシナリオを繰り返し、その最後にすべてを殺し、チート能力を奪ってきた。貴様がやつを認識すれば、その本に記されるのではないか?」


「チート能力、アカシックレコードの断片、それは所有者の認識した出来事全てが切るされた書物を生み出す能力だ、これを書き換えることで、現実にも影響を及ぼすことが出来る。」


俺の質問に対し、ショキは話し始める。


「女神は何かのはずみでこの世界に召喚された、最初の転移者だ、この世界では殺した相手の存在を奪うことで、相手の力を奪えると気が付き、ゲームのレベル上げ感覚で殺戮を続け、神すら殺したのがやつだ。

なるほど、確かにこれまでの人間は奴の餌食になっている。まあ、話しながら王都に戻ろう。」


俺は同意し、王都への帰路へとついた、警戒するべき異能は、

チート能力無効化、一種類のチート能力を使用できなくする。

世界へのデバフ、時間そのものにデバフをかけ、自身以外の時間の流れを遅くして、動きを妨害する。

異世界転移、空間を操作することが出来る。

魔術封じ、魔力を使用した一切の技術を封じることが出来る。


「ああ、やつに挑むなら複数のチート能力が必要だ、俺はともかく貴様はチート能力がなければ一般人だからな、」


俺は、ショキの話を聞き、そう言った、


「それよりくだらないと思わないか、この物語は、」


ショキは、話を切り替えるかのようにそう言った。


「異世界に行くのはいい、最近は特に流行っているからな、喜劇、悲劇、惨劇、大いに結構、

ハッピーエンドで終わろうとも、バットエンドで終わろうとも、どちらでも構わない、

けれど終わりがない、同じものを繰り返そうとしているだけだ、私はもし仮に、万魔の王で地球に戻れる魔法を作ったとしても、気に入らないという理由でつぶすつもりだ、」


「俺とて奴は潰す、俺の戦う理由を聞き出そうと、ペンを出したところすまないが、まだ話すつもりはない、我々はな、

俺は英雄のようにありたいから、女神を倒す。最初に話した通り、俺の理由は変わらんよ。」


酒場では、先ほどの魔王城での戦いについて、話が飛び回る。


「魔王が討伐されたらしい、」


「そんな馬鹿な、」


話題の中心になるというのは、なかなかに心地いい、


「流石、勇者様だ、」


「それが、やったのは獣のような面を被った男と、黒い何かを操る男らしいぞ、」


「なにそれ、新しい魔王?」


酒場の喧騒は、一層騒がしくなる。


「おい、女、俺は気分がいい、ありったけの料理と酒を頼む、連れの分もだ、」


俺は、チート能力、物質生成で金目の物を作り、代金代わりにカウンターに置く、それを見たマスターは、あわてて上等なワインを運んできた。


目撃情報から、勇者の居場所を見つけ出した俺たちは、


「見つけたぞ魔王、」


勇者に不意打ちを受けた、


「絶対防御魔術、ステュクスの水、」


ショキは、とっさに魔術による防御で、勇者の刀をそらした、


「外したか、だが拙者にはまだ仲間がいる。イミナ、魔王を倒せ、」


笑い出すショキ、


「フハハハハ、愚かな勇者よ、いつから彼が仲間だと錯覚していた?」


俺はただ、魔王御殺す機能しか残っていない勇者を憐みの目で見る。一体、あの勇者はどれだけの間、この茶番を繰り返していたのだろう。


「なあ、イミナよ、なぜ私をそんな目で見るのだ?倒せ、魔王を殺せ、」


「痛ましい、いや、あの異能は俺にこそふさわしい、任せてくれるか?」


「うん、君が勇者だイミナ、任せた。」


勇者は、ついに壊れたのか、それとも魔王戦の傷か、目や口から血を流し、それでも憎悪を込めて吠える。


「ああああ、魔王を、拙者を殺せー、」


「いいだろう、やるぞ勇者、スサノオよ、あなたの剣の輝きを照覧せよ、」


まるで、この場が神社の境内にでもなったかのような、厳かな雰囲気に包まれる。


「ああああ、ま、魔王おおお、」


勇者は、何者かに操られているかのようないびつな動きで、斜面をかけ、折れた足をぶら下げながら、魔王と認識した、ショキへと切りかかる。


「言っただろう、俺が相手だと、」


俺はそう言うと、チート能力、物質生成で生み出したナイフを投擲する。


「お前も、魔王の仲間か、」


俺は何も言わず切りかかる。


「はは、よけたぞ、」


勇者は笑うがそれは違う。これは物質生成で生み出した偽物の剣、その剣を捨て俺は、俺に宿った草薙の剣を呼び出せる。


「魔王の仲間?何を言っている、俺はモノガタリ・ショキの仲間だ、あれはいまだ王とは呼べない、力を持っただけの人間だ。」


呼び出した草薙の剣が勇者を貫き、勇者は吹き飛ばされる、だが倒れない。


「拙者はもう死ぬだろう。だが拙者も武士、倒れるものか、倒れるとしても前のめりだ、」


俺は、何処か彼女を甘く見ていたのかもしれない、彼女は紛れもない武士だ、


「認めよう。あなたは、勇者にふさわしい人間だ、ゆえに俺の最大を持って、」


展開準備、草薙の剣射出、


「神剣よ、その禍々しき力を持って破壊をもたらせ、」


「【〔やめなさい、私のシナリオに勇者の死は、含まれていない】》〉


何処からか、女神の声が聞こえてくるが、俺の草薙の剣は、女神の言葉を無視して勇者を貫き、その破壊の力によって勇者を消滅させた。そう意思を持つ彼らに、その命令は届かない、


「この程度のアドリブ、対応して見せろ、それが出来ぬから三流なのだ、」


ショキは女神を鼻で笑い、


俺は、聖剣を手に取り、こう叫ぶ、


「お前の役割は終わりだ、そして、俺が引き継いでやる。俺はお前の出来なかった事を、その無念、俺は神をも殺す英雄へとなろう。俺が勇者だ。」

ようやく、タイトル回収です。


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