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勇者殺しの英雄譚  作者: テンユウ
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ラスボスと前座(勇者)

世界が書き換わる。


崩壊した魔王城は煉瓦へと置き換わり、大理石の床は炎の大地に、雨雲がのさばる空は、美しい夜空へと姿を変える。


「ここは何処だ、我は先程まで魔王城に、」


それは無数の星が煌めく世界に、色も明るさも違う様々な炎の柱が編み上げた大地、そこに鎮座する歴史を感じられる厳めしい図書館、そう、


「私が書き換えた、ここで起きた出来事は女神へは伝わらない、さあ魔王よ、死力を尽くし、私の糧へとなるが良い、」


もはや、どちらが挑戦者かは解らないが、魔王を追い詰めた、いざとなれば俺も援護するが、その必要はあるまい、


「チート能力、アカシックレコードの断片、」


本から溢れる無数の文字は、魔王を縛り、その書物の中へと引きずり込もうと、更に文字を吐き出す。


「なめるな、空間断絶、」


「援護する。」


血を破棄ながらも唱えた呪文は、魔王の拘束を解き、俺の投擲した小刀を打ち落とした。


「素晴らしい、生命力と引き換えに、拘束を解いたか、」


「そうだ、我はすごいのだ、」


「慢心せよそして、無意味だ、」


「何だと!?」


勇者が最後に放った一撃を、わずかだが本に収納していた、


「まさか、倒れてなお、我を苦しめるか勇者、そして我を殺してくれる男よ、感謝しよう。」


言い終わるや否や、魔王は、魔王は無数の文字に飲み込まれ、その中で肉が避け、骨が折れる音がする。


モノガタリ・ショキの魂に、新たな力が刻まれる。


「そうか、モノガタリ・ショキ、貴様が、新たな魔王か、魔王は倒す、殺す、滅ぼす。この手で首を断つ、その存在を認めない、消滅させてやる。」


吹き飛ばされた勇者は、魔王城の方を見ながら、ぶつぶつと喋り、移動を始めた。


「万魔の王、これが魔王のチート能力か、素晴らしい、私はすべてへの可能性を手に入れた、無数の魔術が使え、この力になじめば、新たな魔法さえ生み出せるだろう。」


ああ、これでいい、俺はショキが新たな力を手に入れるのを見て、満足そうにうなずく、


「どうかね、新たな力を手に入れた気分は、」


「最高とだけ言っておく、もちろん勇者殺しは貴様に任せよう。」


「ああ、やつの異能と聖剣は俺が戴く、それでようやく、権利が手に入る。」


その時、初期が展開した世界が崩壊した、空間の裂け目から、一人、まがまがしいオーラを纏う女性が現れ口を開く。


〈「【おとなしく私のシナリオ通りに動けばよいものを、だがここは異世界、貴様らに逃げ場はない、暇つぶしにもならぬ魔王め、だが貴様らが調子にのり、絶望に沈む顔が見たくなった、猶予をくれてやる。それまで牙を研ぐといい、フフフ、」】》


言い終わると同時に、女神は姿を消し、空間の裂け目も元に戻る。


「話しておこう、奴は、女神となり、定期的に地球から人を召喚し、勇者に魔王を倒すというシナリオを繰り返し、その最後にすべてを殺し、チート能力を奪ってきた。貴様がやつを認識すれば、その本に記されるのではないか?」

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