王への直訴
絢爛な城の前、門番が不振な格好をしている者たちをにらみつける。
「門を開けろ、」
しかしそれをにらみ返すのは、イミナその人であり、その気迫は仮面の下からでも十分に、門番をひるませた。異世界に似つかわしくない格好に、表情のうかがえない仮面、不審であるが、
「もう一度だけ言おう、門を開けろ。」
「「ひぃ!!」」
憎悪とも言える殺気を受けた門番は、軽い悲鳴を上げて後ずさる。
「クク、フハハ、何故おびえる、俺は、俺たちは勇者一行であり、ここを通る権利があるはずだ、」
「ど、どうぞ、お通りください、」
門番は声を震わせながらそう言った、
「さすが英雄、私に出来ないことを、いともたやすく、やってのける。」
俺の後ろで、ショキがふざけているが、無視することにした。
「すみません、さすがに武器の持ちこみは、こちらで保管させてもらいます。」
「自分の言動に気負付けることだ、発言した言葉には責任を持たねばならない、君もそう思うだろ、」
「えへへ、何でもありません、何も言ってません。」
厳しい訓練を行い、鍛えられた兵士がこのざまか、
「それで?英雄様のイミナ君は何をするのかね、」
「ああ決まっている、魔王側の監視の可能性もあったが、ショキのおかげで、こちら(王国)側だと判明した。王に話に行く。」
そう言った俺は、堂々と城内を突き進む。外から、勇者が何か事件を起こしたといううわさが聞こえるが、王は見つからない、
「シェルターの中にいるのでは?」
ショキの言葉に納得した俺はシェルターを探すことに決めた。
「ほぉ、そのシェルターを切れるのか、がぜん興味がわいた。」
そう言いながら、地下へと向かう途中に、ぬいぐるみを抱えた国王とばったり出会った、
「おや、勇者一行ではないか、勇者はどうした、もう魔王は倒したのか?」
「これは行幸、早速だが我々を見張る者たちに命じろ、」
「な、なにをする、ワシは王じゃ、偉いんだぞ、」
俺は、軽く剣を振るい、壁に立てかけられた鎧を縦に切る。
「わ、わっかた、すぐにそう命じよう。しかしいいのか、異世界の文化を分からない君たちのために用意したのだが、」
「ふようだ、こちらで何とかする、それができる人材もそろっている。」
「まあいい、どうせ魔王を倒せば勝手に消える、監視をやめさせよ、」
王の言葉で、近くの気配のいくつかが動き出した。
「賢明な判断だ、」
「おおい、拙者でござる。ついでに拙者の指名手配もなんとか出来ないでござるか?」
見れば、城壁の上にたたずむ勇者、ミコトがいた。
「いたぞ、」
「くそ、早い、ちょこまかと、」
「拙者に雑魚をいる趣味はないでござる、さらば、」
「逃げた、おえー」
「あれは自業自得、気にしなくていい、」
イミナは、そう言うと、来た時と同じように、堂々と王城を出る。