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勇者殺しの英雄譚  作者: テンユウ
16/19

戦う理由

「ちっ、行っちまったか、草薙の剣暴走で日本が沈むかもな、」


奴は草薙の剣を片手に、呆れたようにそう言うと、自身を足止めしようという不届き者を睨み付ける。


「で、あの人間をよく丸め込めたな亡霊、世界にでも恨みがあるのか、それとも草薙の剣の力を手に入れようと目論む賊か?」


「どちらでもない、そして何より根本から違う。我々が丸め込んだのではない、我々が魅せられたのだ、イミナと言う勇者の道のりを邪魔する貴様には消えて貰う。

我が憎悪、我が憤怒、我が嘆きを知れ、」


我々は自身が勇者でない事に、主役でない事に苛立ちを覚え、勇者に嫉妬していた。


「馬鹿な、私の増殖速度を越えて、申し訳ありませんもう戦えません。」


激怒した、女神の食い物にされ、命も能力も奪われて、女神に復讐しようと躍起になった、


「チート能力全体強化のもう一つの能力、チート能力自信へのオール強化、見なさい今の私は無敵よ、…全く本当に化け物じみた強さね、」


確かに我々は準備し、その上で女神に負けそうになり仕方なくイミナに我々の意思を託した、


「チート能力現代兵器召喚の真の能力、SF兵器召喚、やはり一度は巨大ロボに憧れるものだ、特殊合金の装甲そう簡単には破れはしない、」


だが、我々の意思に反して、イミナは女神を殺そうとはしなかった。それが我々に取って救いになったのだ。


「特殊合金の装甲が、」


女神は我々だ、ショキのように確固たる意思が有るわけでも、イミナの要に高潔で有るわけでもない、ただの人間が力を得た末路が女神なのだ、そしてそうなっていたのは我々の誰かかもしれない、怨念として燻っていたのが良い証拠だ。


「ふはは、どうした怨霊注意散漫か?足止めにもならねえぜ、」


無惨に砕かれる巨大ロボ、


「感謝しろ足を止める理由を作ってやったんだ、最も貴様ごときに負ける気は無いが、戦いたいとは思わない。弱った貴様を倒したところでイミナは喜ばない、」


「言うじゃねえか怨霊、俺が足止めを望むと、どうしてそう思う?」


「貴様の顔を見ればわかるさ、」


奴はしらけたと呟き、草薙の剣をしまう。


「一つ聞いて良いか、」


無防備そうに、その場に横になった奴だが、我々には殺しきる未来が見えなかった。


「何だ?」


鬱陶しそうにそう言う奴に、我等は疑問を投げ掛ける。


「イミナの草薙の剣はお前の持つそれより劣るのか?」


「ああそうだな、俺がアマテラスの奴にくれてやった時に、草薙の剣からヤマタノオロチの権能は失われて、残ったのがオウスのガキが手にした頃の草薙の剣だ、俺の持っているこいつもな、」


そう言って草薙の剣を叩いて見せる。


「そのオウスのガキの魂と草薙の剣が同化してな、代々何処かの人間が草薙の剣を宿して生まれてくる。そして俺はその草薙の剣を管理するために本体から分けられた分霊みたいなもんだ、」


興が乗り出したのか、何処からか酒の入った瓶を取り出し、飲みながら話し始める。


「イミナって言ったか、あいつの持つのはその草薙の剣の更に残滓だな、大方草薙の剣の管理に困った人間が、赤子のうちに魂から草薙の剣を鳥だそうとしたんだろう。

そうして魂から切り離された草薙の剣の、その余力みたいなものがあいつの持つ剣だ、もしあいつが俺が手にいれた頃の草薙の剣を手にしたらその力に飲まれるか、それとも俺の好敵手として一戦交えるか、ああ楽しみだ、」


奴は豪快に笑って見せた、まるでこの時を何千年も待ち望んでいたかのように、


「相手は俺より優れた武器を持ち、俺は本体ですらないああ丁度良いハンデだ、おっと飲みすぎかこれじゃあ俺がヤマタノオロチになっちまう。」

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