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勇者殺しの英雄譚  作者: テンユウ
14/19

白蛇討伐

俺は鎌首をもたげ、一斉に襲いかかる蛇を、物質生成により産み出した小刀で押し止めていた。


「いつから日本の蛇は、狂暴になったのか、」


この白蛇には、連携するだけの知能を持っていなかった、けれどその変わりに、戦うための本能があった。


その戦うためだけの本能が、あれば一匹ではと警鐘をならしている。

故に互いに互いを利用し、気が付けば一子乱れぬ連携をとっていた。


「はやい、そして小賢しい、何より心踊る。」


俺はその白蛇達を強敵であると認識し、草薙の剣を構えた。


「仕方有りません間引きますか、獲物をなぶる習性を付けましたからまだ生きているでしょう、まさか趣味がこのような形で役に立つとは、何が起こるかわかりませんな、」


無論白蛇に余裕は無い、全身の筋肉を酷使し、目の前の強敵の命を奪う為に、自分の命を酷使ししていた。


「こいつら空中を、飛べるのか、」


後方へと受け流したはずの白蛇は、その場で滞空し引き絞られた弓矢のように放たれた。


「物質生成、一斉掃射、」


俺は叫び、銃弾のごとき速度で飛来する蛇を撃ち落とそうと、チート能力を使用する。


「空中で避けるか、想定済みだ。」


その可能性は予想していた、故に小刀をその進路を防ぐように放ち、草薙の剣で切り裂く為の布石とした。


「馬鹿な、これは予想外だ、」


迫る白蛇は、自分の牙があの人間に届く前に、あの剣で切り裂かれるだろうと予想した。

故に、自分の身体の大きさを変え、その距離に牙を届かせようと考えた。


俺は驚愕に目を見開く。先程まで、日本でもよく見かける程度の大きさの白蛇が、アナコンダの如く巨大な大蛇へと姿を変えて、牙を剥く。


「俺に、剣を届かせろ、チート能力ソードマスター」


俺の振り下ろした剣の軌道がぐにゃりと曲がり、その剣の切っ先を白蛇の首へと滑り込ませる。


両断された蛇の首、しかしその代償として、無理やり動かした腕から鈍い嫌な音が聞こえた。


「すまない、俺は貴様らの強さを見誤っていたようだ、全力をもって相手しよう。聖剣展開、」


俺は聖剣を真上に殴り飛ばす。


「草薙の剣展開、撃ち抜け、」


聖剣の光が、縦断爆撃の如く降り注ぎ、草薙の剣が俺の手を離れ、白蛇の命を絶つ為に飛来する。


白蛇達は身体の大きさを変え、空中を足場に跳躍を繰り返すも、聖剣の光に動きを阻害されその命を散らしていく。


「終わったか、」


その時、最初に切り落とした首の目がギョロリト開き、鱗を逆立てたかと思うと、爆発的な速度で俺の首めがけて突き進む。


「首だけで動くか、見事だ、」


一閃それで事足りる筈だった、ここに来て腕の痛みにコンマ数秒の遅れ、それが命取りとなり白蛇の牙が首元に牙を突き立てる結果となった。


「確か、殺された白蛇の数だけ頭が復活するんだったな陰陽師、全て殺されているがこの場合はどうなる?」


アテナと陰陽師は、白蛇の死体とそれを殺したのであろう担い手の死体を眺めていた。


「んー予想外、そして良い意味で計画失敗、いえいえ困ってはいません、困ってしまうのは貴方ですアテナ様、曲なりにも神と戦える化け物が完全な状態で復活してしまったのです。

ええ、かつて神として信仰されていた頃に比べれば、遥かに弱くなってはおりますが、今の貴女では勝てません、」


「侮るな、ヘレーネスだった頃よりも、アテナと呼ばれていた頃よりも力は失ってはいるがそれだけだ……、ともいってられぬか、ギリシャの脳筋とは違い妾には理性がある。暴れまわって弱った所を仕留めてしまえば良い、」


「流石は元守護女神アテナ様、」


わざとらしく頭を下げる陰陽師、


「だが陰陽師、アテナとしての力を取り戻すために蛇の力を用意するといったからには、別の方法も考えてもらうぞ、」


「ええ、そう言う契約ですから、その代わり日本を闇に落として貰う、忘れていませんそれにしてもお酒でも用意してみましょうか、」



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