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勇者殺しの英雄譚  作者: テンユウ
13/19

復活の道のり

日本独特の宗教に、修験道というものがある。


日本古来の山岳信仰を仏教に取り入れ、山で厳しい修行をするもので、この修行を実践する者、聖護院門跡から草薙の剣の監視のために派遣された山吹達は、山の竜脈に違和感を感じていた。


「もしもし、主要な竜脈付近に蛇の死体が置かれていました。我々知らぬ竜脈にも蛇の死体が置かれていることから、情報を漏らした人間がいる可能性があります。」


魔術組織として国に認められたのは、昭和20年代、戦後復興の為に伐採と植林を繰り返した際、霊的被害を減らすために、これまで独立していた彼等を雇用した。


「何故そんなことを?」


電話をかける山伏に、部下らしき山伏が疑問を漏らす。


「これまで独立していた事もあり、国の組織になる事を不満に思う者が、嫌がらせ感覚で情報を漏らしたんだろう。片付けるぞ、」


8匹ずつ置かれた蛇の死体、そしてその死体には酒がかけられていた。


「あからさま過ぎるな、要はこの犯人はここに草薙の剣が有るのは解っていると言いたいのだろう。」


近所の高校に通う途中、頭の中で剣を振るう自身の姿を想像する。


何度か振るううちに、違和感を覚える、この程度の物だっただろうか?この程度の力が、草薙の剣である者かと、そう叫んでいる気がする。


そう、最初に草薙の剣を手にした時と同じような感覚、また剣を振りたくなったな、うちの神社の裏山に上るか、昔は頂上まで上るのに二時間ほどかかったが、今なら数秒で登れそうな気がする。


「おはよう、」


「お、イミナじゃないか、二日間も学校休んでどうしたんだ、真面目なお前が珍しい、」


「ああ、色々あってな、ところで授業はどのくらい進んだ?」


「ノート写すか、」


「助かる。」


素早く要点を纏めて、一時間目が始まる前までにノートを写し終える。何てことはない、ありきたりな日常だ。


「さてさて、人間の皆様には理解してくれたでしょうか?ただ宣戦布告の為だけに蛇を置いたと思われては困りますね、もしや不可能と思われている。有りそうですね、」


男がそう言うと、取り出したのは一枚の札が貼られたお札、


「ひ、 ふ、 み、 よ、 いつ、 む、 や、」


彼の呪文により現れるのは8匹の白蛇、この蛇達は元は蛇神として祭られていたが、この不愉快な男により知能の無い獣、怪物へと落とされていた。


「彼等は失った神格を求める。

この術式は彼等をヤマタノオロチへと近づける呪文、ヤマタノオロチは一本の剣を失い、神から怪物へと落とされた、さあ剣を求めてさ迷うと良い、元の神様がた、」


嘲笑うような笑い声に追いたてられるかのように、8匹の白蛇が放たれた。


「おい陰陽師、あれらは確かに凄まじい化け物だが、剣を持つだけの人間に殺せる程弱くも、ここに集まった呪術師共を殺しきれるほど弱そうにも見えない、本当に一匹は草薙の剣の担い手に殺されてくれるのか?」


あの蛇神は、その力の全てを戦闘に特化させた怪物であり、国一つ落とすだけの化け物であるが、イギリスやバチカンに並ぶ程の日本の魔術組織は、神話に出てこぬ無名の神なら殺せる力を持つ。


「おやアテナ様、草薙の剣の知名度とそれを手にした神の残滓を暴走させれば一匹は殺せるでしょう。」


それはただの凡人が、ただ草薙の剣を暴走させた時の話だ、逆に言えば凡人ですら神殺しを出来る剣を、それに相応しい英雄が扱えばどうなるか、


「おやおや、いきなり戦闘とは、見廻りの山伏の連中でしょうか運がない、」


「違うようだぞ陰陽師、この鋼の気配貴様の言う担い手とやらだろう。」


これまで、嘲るように笑っていた男は取り乱す。


「困りました、困りました、あの蛇が草薙の剣に殺されなければ呪に成らない、」


「存外貴様の策も役に立たないな、」


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