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勇者殺しの英雄譚  作者: テンユウ
12/19

現世日本

息子が消息を絶って24時間が経過した。


「ノチノミヤよ、今代の担い手が消えたというのは誠か?」


「はい、申し訳ありません。」


「だが、結界が壊されたわけではないのだろう。捜索のための人員を派遣する。」


男は頭を下げ、通信を切る。


「草薙の剣を狙う者は少なくない、けれどもその剣を扱える者は居ない、かのヤマトタケルですら、最後には命を落とした。」


男は、隠し扉を開き地下への階段を下りる。


そこに奉られるは真の天叢雲剣、別名草薙の剣、


熱田神宮に祀られた、神気がが宿った別の形代の表向きの草薙の剣ですら、日米戦争の際にアメリカ魔術組織を壊滅させ、連合陣営の魔術師にまで被害を与えた、その代償も計り知れないものだったが、


「その本物、担い手に宿る本物の草薙の剣は、それ以上の力を持つ。

ゆえに魂から切り離し、厳重な封印を施したうえで保管するしかない。

もし、今回の事件が草薙の剣を狙うものであれば、国を護る者として、お前を助けられぬかもしれん、父親として、間違っているのだろう。」


男は悲しそうにそう呟いた。


神社の鳥居の一つ、ぐにゃりと空間が歪み、その中から人が現れる。


「スゲー、ワープゲートだ、神職の連中はこんなすごい物持ってるんだ。」


学生服を着た青年が、鳥居と周りの風景を見ながら騒いでいる。


「静かにしろ、新人、陰陽師全体の品位が落ちる。」


陰陽師の他にも、仏僧や、山伏、巫女、忍び、異能私服警察等、十字架のアクセサリーを身につけた一団もいることから、キリスト教の関係者も集まっているのだろう。


今回の、イミナ失踪に伴い、捜索だけではなく、草薙の剣の管理を神宮司庁だけに任せたくないというのが本音だろう。


「我々陰陽寮も、できれば監視用の人員を派遣出来ればとは思っているが、海外勢力の介入だけは避けたい、それとくれぐれも問題は起こすなよ。」


俺は意識を取り戻した、山の中にいくつもの気配を感じる、いったいどれほどの間異世界にいたのか、どちらにしても神社に戻らなくてはいけないな。


「帰ったぞ、」


「おお、良かった、今までどこに行っておったんじゃ、」


泣いているのか、喜んでいるのか、それとも怒っているのか、あるいはそのすべてなのか、色々な感情が混ざった顔をしていたのを覚えている。


「すまない、だがここ数日の記憶があいまいなんだ、」


俺は嘘をついた、親父は今日は休むようにと言って、仕事に戻る。


「怨霊の類に憑りつかれた痕跡がございました。」

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